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俺たちのフィールド ★★★★★ 村枝賢一 全34巻 週刊少年サンデー連載

 リアルタイムで読んでいた人間しか、この作品を100%味わうことは出来なかったかも知れません。Jリーグ開幕前〜98年のフランスW杯本戦まで、現実のサッカーとシンクロしていたから。
 しかし今読んでも面白いですよ! 泥臭いを通り越して、泥が高熱で煮えたぎってる作品。
 正直高校サッカー編辺りまでは微妙でした。Jリーグ発足前の日本サッカー界においてスター選手だった主人公の父親が死ぬ、というベッタベタすぎる展開に萎えかけたり。でもちゃんとそのイベントを最後まで使い尽くすことで、終盤では萎える所かギンギンに勃っちゃいましたけど(爆)あとキャプテン翼ばりの必殺シュートではないものの、序盤〜中盤辺りまで特にトンデモプレーが目立つし。
 本格的に面白くなってくるのは、J1(現在のJFLみたいなもの)編に入ってから。主人公だけでなく、多角的な目線から日本サッカー界の状況を描き、そしてフランスW杯に向けて、満身創痍になりながら予選突破を目指していく。
 出場を決めるまでに、現実のサッカーに負けないくらい幾つものドラマがあるんですよ。作者が本当にきっちりと取材して、それを血肉にした上で漫画に具現化したんだなというのが伝わってくる。
 本戦はグループリーグ初戦のアルゼンチン戦のみ描かれてるんですが、もう地獄ですね。ウイイレのCOMは文字通り無尽蔵のスタミナでプレスかけてきますが、それを現実に再現するとこんな感じになるんじゃないかってぐらい。
 ちなみに結末は、現実のサッカーと多少異なってます。例えて言うなら、スラムダンクで山王に勝った後の湘北(爆)言っちゃった。まあいいか、大分前の作品だし。
 サッカー漫画の最高峰として挙げられることも多いですが、その称号に恥じない名作です。あまりサッカーを知らない人や興味のない人にも勧めたい(2012.5.5)






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