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うしおととら ★★★★★ 藤田和日郎 全33巻 週刊少年サンデー連載

 少年漫画の王道にして、妖怪物作品の最高峰の一つ。怖いバケモノを出して暴れさせる、という当然の水準は当たり前のようにクリアし、熱さと荒さを兼ね備えたパワーで痛快なアクションを描く。グロさだけではなく、表情もいいね。生々しすぎる。
 登場人物が非常に多いですが、ちゃんとキャラ立ちしているので混乱することはないし、いらない奴もいない。最終決戦で今まで出てきたキャラクターが総登場する所はゾクゾクしっ放しでした。
 キャラだけではなく、舞台設定も盛りだくさん。日本や中国の妖怪・神様系だけでなく、西洋の妖怪や魔術、錬金術、更には現代科学までも入れた特盛りぶり。ある意味女神転生である。
 これらの要素をきっちりとまとめ上げる脚本力は、名作の名に恥じぬレベルの高さ。多分計算づくではなく、テンションに任せながらも辻褄を上手く合わせて作ったタイプの作品。
 何より素晴らしいと思ったのは、一方を持ち上げる為に一方を貶めるという展開を使わないこと。例えば自然と科学の対立(主人公が自然側)にしても、科学を単純悪とはしない立ち位置にしており、それぞれの矜持を尊重してるんですね。そりゃ燃えるし、泣けるわな。
『背中を丸めてマッチなんぞすってるんじゃねえ』
 マッチ売りの少女が嫌いな作者が、最終巻のコメント欄で書いた一言ですが、この一言で大体の説明がつく作品。
 あととらかわいいよとら。うしおとのやり取りかわいいよとら(一応言っとくと分類上はオス)その辺の、ツンデレと暴力を勘違いしとるヒロインより遥かにかわいいよとら(2012.4.21)






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