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アマデウス ★★★★★

 一定の層向けに分かりやすく言うと、『けいおんの某有名同人作品の元ネタの一つ』です。
 天才と凡人ではなく、天才と秀才の物語なのがまず興味深い。サリエリが本当に凡人だったらある程度の実績は得られなかったはず。何よりあそこまでモーツァルトの才能を理解できないはずだし、愛憎入り混じった感情を抱けないと思うんですよ。
 しかし才能を理解できても、ついていけてないのがまた残酷。床に伏せったモーツァルトに代わって、彼の脳内にある楽曲をサリエリが譜面に起こすシーン。あそこは見ていて何故か辛くなってきましたね。でも残酷だけど、サリエリはきっと苦しみながらも喜びを感じていたんだろうなと。
 才能といえば、作曲家や奏者としての才能はないものの、芸術を愛し、寛容な心を持つヨーゼフ2世のキャラクターも魅力的。後半の方で分かるんですが、この『才能がないけど芸術を愛してはいる』というのがポイントなんですよね。
 あと上手い構成だと思ったのは、実際のサリエリは後年、慈善活動に熱心であったという部分をこの作品では丸々カットしていること。代わり?にあるのがラストの、患者達に微笑みながら「罪を赦そう」と言い続けるシーン。
 途中で神を憎むようになったことと、冒頭で神に赦しを乞うているシーンと併せて観ると、一言では言い切れない複雑すぎる心情が嫌でも伝わってくる。
 映像的にも豪奢で非常に美しかったです。演劇パートも完璧。序盤、美味しそうなお菓子が次々出てくるのも良かったな(笑)ちなみに音楽的な部分では最早何も言うことはありません。だってこういうテーマの作品なら分かるでしょ?
 そんなことより、コンスタンツェを演じるエリザベス・ベリッジのおっぱいが実に魅力的である(爆)いや爆じゃなくて(巨)か。乳輪といい色といい実に……ってやめときましょうか。女性読者もいることですし。
 とにかく登場人物の、心理描写の緻密さに最も惹き付けられた作品。才能に関係なく、誰も彼も実に"人間"臭くて。正直自分はモーツァルトにもサリエリにも、コンスタンツェにも感情移入できなかったんですけど、だからこそフラットに楽しめました(2011.12.16)

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