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アトランティスのこころ ★★★★

 原作はスティーブン・キングの小説。その一部を切り取って再構築したものだそうです。
 まず言ってしまうと、自分にとっては「面白い」というタイプの作品ではありませんでした。
 内容を簡単に言うと、鋭い第六感的な能力を持つ老人・テッドと、父を失い、傷と問題を抱えた母親と暮らす少年・ボビー、そしてガールフレンドのキャロルを中心に織り成す、一夏の友情ストーリー。ほとんどそれだけ。起伏やどんでん返しとは無縁の、淡々とした内容です。
 多分この映画を気に入る人は、郷愁に駆られた人だと思うんですよね。作者が作者だけに、ちょっとスタンドバイミーっぽい空気感や映像、度々挿入される当時の名曲が紡ぐ美しさだとか、人と人との触れ合いは、離れた後も残るんだなとか。含蓄深い台詞もいい味出しています。
 それはごもっともだけど俺の考えは違った。テッドは絶対悟りを開いてるよなーと思いながら観てました。度々瞑想状態に入ったり、「外界は内面の反映」という概念を体感しているような発言をしたり。そこが個人的に興味深かった。アトランティスという言葉を持ってきたのも秀逸だなと。
 純粋に映画として観たら、かなり中途半端。淡々としてるとか関係なく、激しく心を動かすような作りではないし、原作を知らなくても掘り下げ不足で端折りすぎなのが分かる。日本の映画やアニメでもよくある現象ですよね。中途半端に映像化して、結局訳の分からない展開になると。
 一部で悟り映画とも言われてる『マトリックス』はエンターテイメント性も盛り込むことで興行的にもヒットしましたが、こちらは地味な分、割りを食った印象。テレビ向きではないですね。
そもそもあまり日本人受けはしないんじゃないかな。ジブリの『ぽんぽこ』とかの方がいいかも。
 潜在意識に興味がある人は、色々と気付きを得られるかも知れません(2012.6.19)

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