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ブラック・スワン ★★★★★

 舞踊道とは死狂いなり。なんて抜かしたくなるくらいの狂気の物語でした。
 自分はバレエには全くの無知だし、『白鳥の湖』も名前しか知らなかったんですが、これは凄かった。
 この作品の肝は、ナタリー・ポートマン演じるニナが追い詰められていく様と、クライマックスで実際に白鳥の湖を演舞するシーン(と自分は思っている)
 素人目線ですが、見事な演技で応えていたと思います、彼女は。観る前は正直ナメてましたが、すいませんでしたとしか言いようがない。もうクライマックスでの舞には目を釘付けにされました。背面の隆りを見るに、鳥二羽分の働きは充分にするものと覚えたり。役作りからして素晴らしかったです。実際目の肥えた人にどう写るかは分かりません。
 幻覚が段々と現実を蝕んでいく所も、映像効果と相まって見事。何より一番鳥肌が立ったのは、ベスが「nothing!! nothing!!」と言いながら、自分の頬にナイフを突き刺すシーン。えーと、これは現実だっけか。でも怖かったんですよ。
 オナニーシーンもレズシーンも中々に良かったです。官能的な上、ちゃんと「なんかイケないことをしている雰囲気」が出ていて。まあ乳首も陰毛も出ないんですが。
 レディースコミックばりにドロドロした裏側を見せられるのも面白かった。実際のバレエ界はどうなんでしょうかね。
 狂気成分が不足している人には絶対お勧めです。多分ミステリー的な要素も含んでるんでしょうけど(どれが現実でどれが幻かという)、この作品に関しては何も考えず、目の前で繰り広げられる光景に目を奪われっ放しでも構わないと思う。それこそ言葉を失った観衆のように。2011年に観た映画の中ではこれがベストでした(2011.12.14)



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