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天国の青い蝶 ★★★★★

 実話を基にした作品です。余命数ヶ月の少年が「青い蝶(ブルーモルフォ)を見たい」という願いを叶えるべく、母親と昆虫学者の助けを得て中南米の熱帯雨林へ向かう……そんなお話。
 最後、少年は願い通りブルーモルフォと出会い、なんとその後ガンまで消えてしまうんですが、映画的な誇張ではなくこれも事実なんだそうです。これが創作だったら死に値する愚行ですが、事実ならば仕方ない。
 製作者は、青い蝶=生命の奇跡、ということが言いたかったのかなと。中盤、原住民の少女が少年に「あなたも青い蝶、わたしも青い蝶、全てが、青い蝶なのよ」と言うんですが、そこに全てが詰まっているように感じました。
 その生命の奇跡は、輝くことで周りを変えていくと。まさに少年を通じて、母親と学者の心は変わっていきます。
 なのでこの映画、少年だけの物語だけではないんですね。少年の母親や、昆虫学者にもスポットが当てられながら話が進んでいくと。しかもそれが物語的に無駄ではなく、ちゃんと活きている。少年の方が悟りを開いたような物静かさで、母親と学者の方が大人気ない部分があるという対比も面白い。
 映像も素晴らしかった。ドキュメンタリー映画ばりの、淡々かつ克明に捉えている自然描写は、美しくて見とれてしまいました。虫好きにはたまらないでしょう。別に僕虫が好きなわけではないんですけどね。
 泣けるタイプの作品ではありませんが、感動しました。もし僕が余命数ヶ月の状態になったら、ブルーシャトー(詳細はググって下さい)に行くという願いを叶えるべく、福岡の中洲に向かおうと思います(2012.8.10)



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