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ダークナイト ★★★★★

 全米では大ヒットしたものの、日本では大がつくほどのヒットではなかったこの作品。各所で傑作と言われていたから、気になって観てみたんですが、確かに素晴らしい作品でした。
 光と闇、善と悪、切っても切れない相反する対極の存在をバットマンとジョーカー、ハービー・デントとトゥーフェイスといった存在で上手く表現している。ヒーロー物でこういうテーマをやること自体は別段斬新ではないですが、とにかく完成度の高さが半端じゃない。
 まず今回の悪役であるジョーカー。ヒース・レジャー演じる、彼の鬼気迫る狂気の演技が素晴らし過ぎる。損得勘定もモラルもなくただただ人間の本性を暴く為のみに動き、過去も持たない(自身が語ってはいるものの真実味がない)というキャラ設定がまたいい。
 本編の言葉をちょこっと借りると『狂気という重力』に引かれていくハービー、彼もいい。闇に堕ちていく過程をきっちり描写することで、トゥーフェイスとしての彼に説得力が出てる。
 2時間半と長めですが、飽きさせない脚本も素晴らしかったです。正義を遂行するために悪を行うジレンマや二者択一を迫られる場面と、容赦なく追い詰めていく脚本に、クライマックスかと思わせながら二転三転する展開、胃にもたれるくらいお腹一杯になる詰め込み具合。
 今作の象徴でもある、光と闇を美しくコントラストさせた映像も良かった。自分はDVDで観たんですが、BDで観られる環境の人は絶対そっちで観た方がいいと思います。
 個人的に感じた不満点は、レイチェル役の女優が変わっていたことぐらいでしょうか。美人なら良かったんだけど(爆)、はっきり言ってこの人は……
 もっと言うと、あまり悲劇のヒロインって感じはしなかったな。自分がブルースやハービーだったら、あそこまで感情が動かないんじゃないかなと(爆)
 2時間半という長さですが、全然ダレることなく観られました。1〜2部辺りのジョジョが好きな人とか、案外気に入るんじゃないかと思います。ラストの台詞回しとかにジョジョ的な匂いを感じたんですよ。
 単純な勧善懲悪で最後はハッピーエンド、みたいなのを求めている人には不向き。ただ一つだけ言わせてもらうと、確かに深く重い作品ではありますが、決して暗いだけの作品ではありません。終盤で、あのいかつい囚人が取った行動が示しているように。ちゃんと光も差している(2011.10.27)



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