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エグザイル/絆 ★★★★★
まず書いておくと、日本のグループとは一切関係ありません。
とにかくクサい漢映画って感じでした。もう演出からしてクサすぎる(笑)リボルバーを持つウーと対等になるように、オートマチック持ちのブレイズが弾数を減らし、更にそのブレイズと対等になるようにタイも弾数を減らすシーンにしても、中盤以降コイントスで行き先を決めるシーンも、最後フェイ達の待つホテルに乗り込んでから満面の笑顔で死んでいくまでの壮絶な展開も、もうやりすぎだろってなくらいクサい。そして終盤になるにつれ、西部劇みたいな演出が増えていくんですよね。
しかし、個人的にはそこがたまらなかった。ことごとくが自分の琴線に触れてくる(笑)だってカッコいいんだもん。
香港映画だけあってまずアクションがカッコいい。銃撃戦が多いですが、美しさすら感じさせるほどスタイリッシュ。リアリティを多少犠牲にしても魅せることを優先しているのは成功ですね。撃たれると血煙が出るのも特徴的。
台詞やバックボーンの説明を必要最小限に留め、演出に語らせる手法もまたカッコいいんだな。冒頭からほとんど説明なしに進んでいき、写真を撮る所で初めて5人の関係性が分かるシーン、あそこは思わず唸ってしましました。『エィガ一刀両断』でエガちゃんも言ってましたが。
写真の演出といえば、ラストの証明写真もベタなんですけど、泣けるくらい切なくてカッコ良かったです。
そういう演出が見事プラスに働いているのは、もちろん監督の手腕によるところもありますが、俳優達のルックスによる所も大きい。決して端正なルックスではないし、太ってる奴もいるんですが、オーラがあるというか、立っているだけで絵になるカッコ良さ。それを引き立たせるカメラワークもナイス。
本筋にあまり関係ないサブキャラが無駄に存在感溢れているのも特徴。最後まで出てくる娼婦や退職間近の刑事とか、銃弾が飛び交う中も一生懸命治療する闇医者とか、仲間が全滅していく中でも煙草吸いながらクールにライフルをぶっ放して強盗達を次々殺っていく、金塊を警備していた兄ちゃんとか。
渋くて悪そうで、だけど悪ガキっぽさが抜け切れていないカッコいいおっさん好きにはたまんないんじゃないでしょうかね。練り込まれた脚本を求めている人には不向きか(2011.10.27)