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ゴジラ対ヘドラ ★★★★★

 いわゆる『昭和ゴジラシリーズ』第11作目。感想リストにも表れている通り、今まで特撮にあまり縁のない人生を送ってきたのですが、この度観る運びとなりました。理由を簡単に言うと、人に勧められたからです。
 これは本当にキッズ向けでいいのかと思ったくらい、ヘヴィなテーマなことに加えてグロい作品でした。予告編の『世紀のタイトルマッチ』という煽りはいかがなものかと思わせるくらい。
 最初からいきなり強烈。汚れた海を映しながら、主題歌歌ってる麻里圭子が登場するというこの絵面!歌の最後に壊れた時計を浮かべるのはいいアイデアですが、マネキンて!オーマイキーでもここまでやらないだろと。
 その後も、メインキャラの一角を張ってボディペイント風の全身タイツを纏いゴーゴー喫茶に登場したり、やりたい放題。サインはVだけじゃ物足りなかったのか。この人のプロモーションビデオかと錯覚するくらい。演技は悪くなかったですけどね。
 演技と言えば時代柄か、子役に限らず滑舌の悪い人が多い気がしました。安倍晋三ですらこの時代だったら「滑舌を取り戻す!」って言ってるでしょうね。
 なんか横道に逸れて変なことばっかり書いている気がしますが、内容は秀逸でした。まず鋭い社会的メッセージを打ち出すための下地作りが優れてますよね。当時、経済的に成長し続ける日本の狂騒を具現化したかのようにサイコにイカれてオッパッピーな描写と、ヘドラのグロテスクさ・ヘドラがもたらす残酷なまでの容赦のなさを対比させて描いている。タイガーマスクでやってたことにも近い手法ですが、光と影をハッキリさせてるんですよね。アニメーション演出も良かった。
 内容的にも説教臭くなりすぎず、適切に問題提起しながら、エンターテイメント性に優れた作品に仕上がっていると感じました。最後、子役が「これからは地球をキレイに使わなくちゃね!」的なキレイゴトをほざいたら画面にヘドを吐きかけてる所でしたが、そういうのもありませんでしたし。
 他のシリーズは観ていないに等しいからピンチ度の比較はできないのですが、ゴジラが追い詰められるのも、観ていてワクワクしました。後半は戦闘シーンが多いから尚更。
 BGMの使い方は時にギャグとすら思わせるほどサイケさを漂わせていましたが、これも何らかの計算が働いているのでしょうか。ゴジラの戦いを人類の願いとして投影するのを嘲笑う意図みたいな。
 余談ですが、特典として主題歌『かえせ!太陽を』のカラオケver.も収録されています。確かに主題歌も作品を表している超重要なファクターでしたから、これくらい優遇してもいいと思います。また、キノコホテルのマリアンヌ東雲に続いてカバーしたい方は、これで腕を磨くと良いでしょう。
 今、こういうご時世だからこそ観ておきたい一作と言えるでしょう。さかなクンさんも先取りしてますしね!観終わった後「(金を)かーえせ♪(レンタル料金を)かーえせ♪」と言わずに済むであろうことは保証致します(2013.7.19)




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