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ミスト ★★★★★

 スティーブン・キング原作のミステリーホラー映画。監督はフランク・ダラボン。
 分かる方はすぐピンと来ると思いますが、『ショーシャンクの空に』『グリーン・マイル』の組み合わせなんですね。
 ホントこの組み合わせは素晴らしい化学反応をするなと。これも面白かったです。本当に衝撃的な作品でした。
 引き込み方が上手いです。タイトルでもある、霧の描写からして素晴らしい。上手く恐怖を演出。先日見た『サイレントワールド』の寒冷前線とは大違いである。
 霧の中の怪物に包囲され、隔絶された閉鎖空間で段々と疑心暗鬼になり、果ては争いを起こしてしまう人々。怪物よりも人間の弱さや愚かさの方が怖いんですよ(ネタバレになりますが、最終的に怪物は殲滅される)
 普通、イデオロギーが異なるグループ同士は衝突を避けるようにそれぞれ独立しそうなものですが、この作品の人々は元々小さな町の住人で、顔見知り同士なんですよね。だからぶつかってしまうという構図が秀逸。
 そして、ラストの二転三転する衝撃的な展開。『衝撃のラスト15分』というキャッチコピーに偽りなし。映画版のラストは原作と異なるのですが、原作者も太鼓判を押したぐらいなんですよね。
 大抵この手の謳い文句をつける映画にはガッカリさせられますが、この作品はそれに恥じない終わり方だと断言できます。ちなみにプッチ神父の考えで行くと、この映画の登場人物は『幸福』ではないですよね。
 こんな感じで、テーマは怪物やそれに立ち向かう人間達の姿ではなく、人間の弱さに焦点を当てています。なればこそ、最後に主人公が取った決断も悪手で然るべき。
 目立った欠点は、CGの粗さぐらいですかね。しかしそんなことはどうでもいいのです。これはお勧めの映画です。本気の絶望と、後味の悪さが欲しい人に(2012.9.12)




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