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ノーコメント by ゲンスブール ★★★

 稀代のプレイボーイ・セルジュ=ゲンスブールのドキュメンタリー映画。
 自分はあまり彼に詳しい訳ではありません。なのに何故観たかというと、彼女についていったからです。詳しくない視点の人間が観たらこういう感想を抱きました、ぐらいに思って頂ければ。
 いきなり結論を言いますと、ちゃんと彼のことを知っている人でないと楽しめないと思いました。生前のインタビューやライヴ映像をかき集めて編集したと思われる内容ですが、彼が起こしたイベントや功績を客観的に振り返っていくのではなく、もっと別の形を取っています。
 淡々とスクリーンから流れてくる、彼が遺した言葉や音楽を取っ掛かりとして、観る側が能動的に彼の内面を掘り下げていかなければなりません。おまけに時系列に沿っていませんし、文学に造詣が深いセルジュなだけあり、その言葉自体ももけっこう難解。
 これは自分が勝手に感じたことなのですが、内に抱えていた二面性のジレンマにずっと悩んでいて、その内めんどくさくなって、だからこそあんなに退廃的な振る舞いばっかだったのかなと。そういった愛憎が自分だけでなく、父親や恋人・家族といった他者にも向いてたのかなと。
 それか、太宰治『人間失格』の主人公みたいなタイプ。共通項がかなり多いですよね。どちらにせよ、個人的にはあまり実際に付き合いたくないです(笑)
 これは内容にはあまり関係ないですが、映像が良かったです。昔らしい、カラーだけどちょっと褪せた色合いだとか、セルジュがコート着てたりジャケットを少し着崩したりしている姿だとか……やはり画になってるんですよね。欧米コンプレックスではないですが、やはりあちらさんは画になっていいなー、と。
 彼の人間性に惹かれた、ジェーン・バーキンやフランス・ギャルのような女性向けの映画だと感じました。
 僭越ながら男性向けにプレゼンするなら「プレイボーイになりたいけどルックスに自信がない……そんなアナタはこの映画を観ろ!」こんな所でどうでしょう(2013.7.30)


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