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オールド・ボーイ ★★★★★

「韓国映画かよ、キムチ臭ぇんだよオ゛エ゛ーーーーーッ!!」なんて思わずに、絶対に観て頂きたいです、これは。復讐をテーマにした作品なんですが、とにかくエグく、恐ろしく、そして哀しい物語。
 まず脚本がいい。『いきなり15年間監禁される』ことから始まり、復讐を主軸に据えながらも次々と副題が変わっていくんですが、これが本当に秀逸。スピーディーな展開も相まって飽きさせない。
 しかも終盤以降では怒涛の展開。あえて伏せますが、物凄いどんでん返しが待ち受けているんです。これが本当に衝撃的だった。復讐するに至る理由も納得行ったし。
 そして哀しさだけが残るラスト。総じて催眠術の万能性にちょっと「え?」と思わなくもなかったものの、伏線の組み方や緩急の付け方がとても良かった。言葉遊びのセンスも個人的には好みでした。
 役者の演技力も素晴らしいの一言。まず主人公であるデス役の俳優さん。狂った哀しいモンスターを凄まじい迫力で演じ切っています。そして黒幕のエバーグリーン役も素晴らしい。クライマックス、哀願するデスを笑いながら見下ろしている時の、一見泣いているようにも見える表情の作り方が特に良かったです。
 復讐に至る理由や、(内容や撮り方を含めて)どうやってそれを実行するのか、役者の演技力、そして何よりどれだけ狂えるか。この辺りがしっかりしていれば、この手の作品は他にいくら欠点があっても構わないと思うんですよね、極端な話。その点この作品は、先に挙げた要素を完璧に満たしています。観る人をかなり選びますが、自信をもって傑作だと断言できます(2011.12.19)


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