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るろうに剣心 ★★★★

 ヒテンミツルギスタイル!ガトチュゼロスタイル!フタエノキワミ、アッー! ご存じ、かつてのジャンプの看板漫画であるッ!
 実写化決定時の衝撃、発表される演者、寝言みたいなキャッチコピー……もう期待値はダダ下がりで、思わず劇場公開時はスルーしてたんですけど、中身は確かめたかったので必竟観てしまうことに。
 存外悪くない良作でした。下手したらデビルマンぐらいの歴史的な駄作とは行かずとも、キャシャーンぐらいは行くかなってのは覚悟していたので。
 良かった点は、アクションがスタイリッシュ&派手で見応えがある所が第一に挙げられます。ここ超重要ですよね。原作からして格闘ゲーム要素を取り込んでいるバトル漫画ですから。
 そんな最大のポイントを、見事にクリアしています。原作のように必殺技名を叫びながら繰り出したりはほぼしませんが、それを補って余りあるくらいスピーディーで爽快。格ゲーを上手く無双ゲーに解釈した気持ち良さを味わえます。話も、テロップの後いきなり殺陣から入りますからね。作る側の意地と覚悟が透けて見えるってもんですよ。
 でも牙突はやめてほしかった。クライマックスのいい所なのに、一気に醒めるくらい悪い意味で強烈。構え自体は様になってたんですけど。  演者は、いい人は最高、ダメな人はガックリ、というコントラストが極端。刃衛役の吉川晃司、武田観柳役の香川照之辺りは最高です。そして何より、署長役の斉藤洋介が蝶・サイコー!そのものじゃないですか。
 佐藤健は、アクションは凄く頑張ってますけど、剣心モードと抜刀斎モードの二面性を演じ分けきれていなかったのが残念。ちなみに須藤元気はある意味アリ。
 女優群はもっとやり直し、というかチェンジを要求する。薫役の武井咲はまあ、はっきり言って下手です。これじゃ道場どころかお花畑すら守れねぇよ。蒼井優の恵も、幼すぎて色気を感じない。そらの方が良かったかもしれません。
 脚本は原作を凝縮して再構成した形ですが、まあ何とか許容範囲。2時間ちょっとに収めるのならば、サブキャラの掘り下げが甘くなってしまって、あのような登場人物オールスター大決戦の様相を呈してしまっても仕方ないでしょう。エピソードを絞って濃くするより、画面映えする派手さを優先したと好意的に解釈しときましょう。途中、何か『仁』みたいになった時はどうしようかと思いましたが。
 あと「逆刃刀って鍔迫り合いに弱くね?」っていう、自分がかねてより抱いていた疑問を見事に解消してくれたのは嬉しかったですね。
 作中BGMはちょっと場違いというか、時代背景にそぐわない感じが。主題歌のワンオクも、バンド自体は好きですけどちょっと違うような。でもアニメ版も川本真琴やSIAM SHADE普通に使ってたからいいか。
 重ね重ね言ってしまいますが、アクションが本当に良かったので、それだけでも観た甲斐がありました。致命的な破綻でもない限り、原作との差異ぐらいは気にしないし。邦画アクション物の、一抹の意地みたいなものを感じました。
「何が何でも原作通りでなきゃ許せねぇ!」という考えでもない限り、原作読者だった方は観てもいいと思います。これなら普通に続編も期待したいです(2013.2.13)





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