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さまよう刃 ★★

 東野圭吾の小説を映画化したもの。復讐をテーマにした作品ですね。ちなみに原作は未読です。
 こういうテーマ自体は、時代・媒体・国を問わず色んな作品が扱ってますが、この作品の特徴は、協力者が複数いることでしょうか。そこは人間臭さがあって良かったですね。人間、正論だけでは動けないんですよ。
 役者の演技も概ね良かったです。特に主演の寺尾聡、もう完璧ではないかと。
 ここからはマイナスポイントを書かせて頂きたいのですが。はっきり言って、リアリティは少々欠落気味。色々あるんですけど、主に警察がうっかりしすぎ(留守電をチェックしていない・少年や足を怪我している主人公をあっさり川崎へ行かせてたり、捜査網は?)
 クライマックスでスロー演出使いすぎなのもかったるかった。あと、何で通行人はあんなのんびりと見学してるんだろうと。警察も主人公も銃持ってるのに、流れ弾が飛んでくるかもとか考えなかったんだろうか。自分だったら速やかに逃げますけど。
 説明も足りてない。想像に任せるというかこれは不足でしょう。少年の人間像をもっと掘り下げたり、父と娘のつながりももっと多く描いて欲しかったです。スロー演出を削れば入ったんじゃない? 少年法への問題提起を含んでいるとしたら、なおさら必要なはず。
 結末も、衝撃と言うか「おいおいおい」って感じ。いや片方を真っ先に刺し殺したじゃん。なのに最後アレはねぇだろと正直思いました。「『復讐』とは、自分の運命への決着をつけるためにあるッ!」と思ってる自分にはね。ちなみに、密告者の少年の部屋にはジョジョの単行本(6部じゃないけど)が置いてあるんですよね。小道具さん狙った?
 物語としても、問題提起としても中途半端というか、切れ味が鈍め。そんな映画でした。主人公がセガールだったらと、途中で何度思ったことか(2012.8.16)



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