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ショーシャンクの空に ★★★★★

 名作と名高いだけのことはありますよ。感動したのはもちろんのこと(ラストの青い海と空は是非目に焼き付けてもらいたい)、登場するアイテムや設定に一切の無駄がなく、伏線となって終盤に収束していく様や、観ている人間の裏をかく展開などなど、ストーリーの組み立ても素晴らしい。
 主人公のキャラ付けも良かったです。ありがちな、底抜けに陽気な奴ではなく、知的で物静かでちょっと変わってるという。一見レールから外れると一気に崩れそうに見えるタイプなのに、どんな状況でも決して希望を捨てない、誰よりも強靭なメンタリティと粘り強さを持つ人間。
 ある意味常軌を逸してるなと。だって濡れ衣を着せた真犯人への復讐心は持ってないし。普通だったら報復を考えたりするじゃないですか。でもこの主人公はやらないんですよ。脱獄した後の快適な暮らしに焦点を向けている。それに怒りの感情をほぼ見せないんですよね。なのに、戦う時はとことん戦い抜く。常人では辿り着けない境地じゃないでしょうか。
 だから最初、自分にはよく分からなかったんですよ。主人公が正しい生き方をしているから環境が変化したのか、それとも計算ずくの振る舞いで変えたのか。あるいは両方か。
 で、この作品の裏主人公って、モーガン・フリーマン演じるレッドなんでしょうね。だって基本的に彼の語りで話が進んでくし、多分観てる人間は彼の方に感情移入すると思うんですよ。
 レッドやブルックスが仮釈放後、孤独や疎外感を味わうシーンも良く入れてくれたと言いたい。これのおかげで、リアリティや重々しさがグッと増したから。あと台詞もいちいち美しい言葉が多いんですよね。
 努力すればいつか必ず報われるよ、ってなことを言いたい訳ではないんですよねこの作品は。希望を持てと。そして捨てるなと。希望と報われることは100%イコールではないから。と、自分はそう解釈したんですが。『常に希望を抱き続けて今を生きる』大切さを改めて教えられた作品でした。個人的には『きれいなオールド・ボーイ』と呼びたい(爆)こちらの方が10数年先に発表された作品なんですけどね(2012.1.1)



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