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レスラー ★★★★★

『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督による作品。
 自分はプロレスに興味がないんですが、それでも楽しめました。というのも、そこまでレスラーというものに重く依存した作品でもないと感じたから。
 自分が思うに、主人公の『人生』ですよね、スポットライトが当たっているのは。まるでドキュメンタリーのように、主人公の生活を徹頭徹尾淡々と描写するんですが、この淡々とした見せ方が、時に狂気を感じるくらい徹底されていて、思わず背筋が寒くなりました。試合前の打ち合わせや仕込み、投薬や怪我・病気との闘い、女遊びと労働……生々しい裏側や私生活も克明に描き出すんです。
 だからこそクライマックス、再び自分の生き甲斐である場所に立つあのシーンが映える。例え色々と『作られた』虚飾の空間であったとしても、あの場所には生命を迸らせたくなるモノが詰まってるんでしょうね。リアルもウソも関係ねぇよと。
 重複してしまいますけど、僕はプロレスに興味がありません。でも観ていて、精神が昂揚せずにはいられませんでした。あのラストもたまらなかった。
 さて、この作品の主演はミッキー・ロークなんですが……何か久々に見たら雰囲気変わってる!? 木曜洋画劇場のCMで『ナンパなチャラ坊』なんて勝手に呼ばれていた頃の面影はなく、すっかりガチムチなレスラーに。ここまで書いたらもはや言うまでもありませんが、演技も見事でした。
 ブラックスワンが好きな人は、同じくこの作品にも入り込めると思います。男版ブラックスワンと言ってもいいのでは(2013.10.10)




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