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天野月子



3rd Album 天龍 2004年 ★★★★
4th Album A MOON CHILD IN THE SKY 2005年 ★★★★








天龍 3rd Album

01.劔
02.鮫
03.恋
04.骨
05.龍
06.天
07.蝶
08.月
09.虹
10.轍
11.枳


 ギターを主軸にしつつシンセやアンプラグドな楽器を入れた、時折激情を覗かせるHR/HMにやや近い系統のサウンドが特徴。ギターを弾き倒す状況が多々あり、ギター好きにはウケが良さそう。と思ってたらギターはEARTHSHAKERの人でした。
 しかしこの人はどちらかというとJ-POPがルーツにあるように思える。歌詞もJ-POP的なテーマや構成を、大仰だったりファンタジックだったりな内容で装飾したようなものだし。畑亜貴のようなタイプとはまた別のベクトル。更に日常的なアイテムなども絡んでくるので、かなり混沌とした世界観となってます。これは面白い。完全に現実から隔離された世界を好むタイプには不向きで、そこが一般的なJ-POPリスナーを遠ざける要因になってしまうかも。
 歌はロックに向いた声質で、歌唱力も高め。楽曲負けしておらず良くマッチしているかと。ポップス系にも柔軟に適応。
 曲とテーマは物凄くありきたりだけど歌詞の生々しさで一線を画している、死別の日を思うバラード#4が一番気に入りました。力強さを感じる#11もいい。
 また#3・9は明らかに浮いているんですが、前者は分かりやすくなった椎名林檎、もしくは矢井田瞳って感じで面白かった。
 語りの後ろでメタルにピロピロ弾き倒し、弦楽器の音が鳴る半インスト曲#6は妙に様式美で、メタラー受けしそう。一方、サビで激情ツーバスに突入する#2、曲自体はいいんですけどそのドラムが不安定に聴こえる。これ生音だよね?
 総合すると、女性Vo.のHR/HMをポップス的解釈で馴染みやすくしたようなアルバム、といった所でしょうか。実力は備わっていると思いますが、人によっては単に中途半端なだけに聴こえるかもしれない。自分は結構楽しめました(2011.2.22)






A MOON CHILD IN THE SKY 4th Album

01.A MOON CHILD IN THE SKY
02.Devil Flamingo
03.JOKER JOE
04.イデア(A Moon Child mix)
05.Stone
06.翡翠(A Moon Child type)
07.1/2-a half-
08.聲
09.砂糖水
10.パレード
11.博士と孔雀
12.花冠
ex.体操


 前作でもそんな空気がありましたが、椎名林檎+矢井田瞳+鬼束ちひろ+Cocco+ちょっと激しいaiko/5、という式がはっきりと成立しそうなアルバムです(爆)
 いいとこ取りと見るか、単なる真似事と捉えるか。そこが評価の分かれる最大のポイントですね。
 個人的には、自分なりの持ち味を追求しようとしている曲の方が好みでした。例えば、エレクトロサウンドにギター、そして掠れさせた歌声が乗っかる#2。カッコいいです。そして力強く歌い上げるバラード#8。これが一番良かった。ちょっと意外性のある終盤の盛り上がりも○。
 80〜90年代の匂いがする歌詞の#3はもうちょっとだけ音に骨太さが欲しかったかな。メタルに寄ってるだけに。#4はズッコケそうになる爽やかなサビの歌メロを何とかしてくれれば。裏でギターはスウィープしまくってるのに。
 出所が割と分かりやすい曲は、決して悪くはないんですけど、決定打には欠けるんですね。椎名林檎だか矢井田瞳だかを連想させる#5は、上澄みだけのコピーって感じ。#6は鬼束ちひろと比べると声の存在感で劣りますが、切り離して聴けばそこそこの出来。
 ちなみに天野月子流aikoみたいな#9、天野月子流初期の椎名林檎(しつこい?)みたいな#10は意外と楽しめました。Coccoっぽい#11も。
 そしてボーナストラック。色んな意味で衝撃的でした。アルバムの余韻を粉々に破壊するイカレ体操曲。個人的にはこういうの好きだから構いませんけど。
 試行錯誤の産物にせよ何にせよ、色々やってくれていて、これはこれで結構面白かったですね(2011.2.23)






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