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APOGEE


1st Album Fantastic 2006年 ★★★★
2nd Album Touch in Light 2008年 ★★★★








Fantastic 1st Album

01.Let It Snow
02.ゴースト・ソング
03.流星
04.GIRAFFE
05.Reflaction
06.ロードムービー
07.夜間飛行
08.Route Another
09.P.A.P.E.R.W.O.R.K
10.グッド・バイ
11.Mother, I Love You
12.Program


 慶應大のサークル+上智大出身者で結成された高学歴バンド・APOGEE。慶應と言えば以前トルネード竜巻の感想も書かせて頂きましたが、当人同士も親交があるらしく、対バンしたこともあるそうです。
 やはりと言うのもなんですが、こちらもハイセンスな音楽性の持ち主です。ファンクやレゲエ、ヒップホップといった、いわゆる横ノリ系の音楽をニューウェーブやテクノ、ロックに落とし込み、美メロと上手く融合させた音楽。
 まず何より、メロディセンスがズバ抜けています。本当にキレイなメロディを書ける人です。なんか90年代の久保田利伸とか中西圭三を勝手に思い出してしまう懐かしさも含んだ、浮遊感のある美しさ。なんだろう、安易に解決音を使わないのがいいのかな? このバンドの魅力を損なうような極端な話ですが、アコギやピアノ一本で聴かせてもうっとりしちゃうくらい。ああもう気持ち悪いくらい褒めてますね。
 でももっと加えて言っちゃいますと、ヴォーカルの歌声もキレイなんですよ。白いごはん&梅干しレベルに、バンドの音と完璧にマッチしています。いい意味で音符に忠実な歌い方も良い。こういうジャンルはしっかり区切った方がいいと思いますので。
 更に音色の選び方も素晴らしい。情景を具現化する選択に長けています。#1のシンセは形を変えていく雪のようだったり、#3の高音系シンセは夜空を流れる星そのものだったり、#4のベースラインは歩行音を想起させる雰囲気を醸しだしたり、#6での落ち葉降りしきる中を進むが如き哀愁漂うセピア色のメロディと各パートの演奏……
 冗長になりそうだから後半の曲は以下略とさせて頂きますが、総合的な作曲能力で見ても、もう極上レベルに素晴らしいです。#3・6・12辺りはもう先制パンチする勢いで名曲の太鼓判を押したいですドン!
 ……と、全てをベタ褒めしたい所ですが、残念なことに欠点も少々見えてきてしまったのです。
 それは、演奏です。特にドラムの音がゴシャゴシャしていて、せっかくの美しい音楽のポテンシャルを100%発揮しきれていないんですよ。こういう音楽性だったら、絶対音粒はハッキリさせた方がいいですよ。
 並のバンドだったら「もっと練習すればいいんじゃないでしょうか」とだけ書いて終了してしまいがちですが、このバンドの場合は非常に勿体無い。もっと言うと、バンドの音もバッチリ揃っているとは言いがたいんですよね。特に#2などで顕著ですが。
 というわけで、クオリティだけで言うなら文句なしに満足度×5を献上したいのですが、ここはあえて4だッ! メロディが良けりゃ何でもいいって人にも向いてますが、サカナクションとかが好きな人には特にオススメです(2013.7.6)






Touch in Light 2nd Album

01.Touch in Light
02.ESCAPE
03.アヒル
04.Spacy Blues
05.The Sniper
06.???What is the life???
07.Tell Me Why
08.Rain Rain Rain
09.Drop
10.Who's your Enemy?
11.Transparent
12.Just a Seeker's Song
13.Creatures(What Are We?)


 前作の延長線上にある進化形……とはちょっと違ってまして、ストレート気味になってます。
 場面場面で音色を微細に使い分ける幻想的なシンセ使い、浮遊感たっぷりの極上美メロは健在なんですけど、結構キャッチーになってると思います。#13ではまるでキッズ音楽みたいな盛り上がりを見せてますし。APOGEEという名の歌のおにいさんの周りに群がる子ども達の図が浮かびます。
 このバンド、つくづく取り込んだジャンルを美しい音楽に仕立て上げるのが上手いですよね。例えば#2、言うなればキレイなグランジみたいですし。矛盾してる表現ですけど、こう言い表すのがいいんじゃないかって思っちゃうんですよ。
 そもそも詞の響きにすら、美しさを匂い立たせてしまうレベルですからね。#10を聴いて、こんなに「エネミー」という言葉を美しく聴かせる人間が存在するのか!と、割とガチで思ってしまったくらい。憎しみを伴う言葉にすら美を感じさせる。戦争を止めるのは彼らかもしれない。そして僕は頭がおかしいのかもしれない。
 話を戻しましょう。演奏面も改善されています。音の粒が前作よりもハッキリするようになっていて、より楽曲の魅力が引き立つ形になってます。やっぱりこういう音の方がいいですよ。#8でのカッティングギターとシンセのコンビネーションだとか、ドラム主体になる後半のAメロとか、ゴシャゴシャした音だったら魅力半減していたと思います。元々演奏が下手な訳ではないから、出来るはずなんです。
 良曲が揃ったナイスなアルバムですけど……すいません、楽曲的には前作の方が好みでした。重複になりますが、サイケさと美しさを極限まで引き出していた前作よりもキャッチーになっているので、ややこの両者が後退気味なんですよ。
 ということで今回も満足度マックスとは行かず。ホントすんません!(2013.7.7)






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