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ASIAN KUNG-FU GENERATION



1st MiniAlbum 崩壊アンプリファー 2002年 ★★
1st Album 君繋ファイブエム 2003年 ★★
2nd Album ソルファ 2004年 ★★★
3rd Album ファンクラブ 2006年 ★★★
4th Album ワールド ワールド ワールド 2008年 ★★★★
2nd MiniAlbum 未だ見ぬ明日へ 2008年 ★★★
5th Album サーフ ブンガク カマクラ 2008年 ★★★★
6th Album マジックディスク 2010年 ★★★★★








崩壊アンプリファー 1st MiniAlbum

01.遙か彼方
02.羅針盤
03.粉雪
04.青の歌
05.サンデイ
06.12


 各所で散々使われてる喩えをここでも使ってしまって申し訳ないんですが、和製WEEZERです。だってしょうがないじゃん(爆)下北沢にいるような、垢抜けないモヤシ兄ちゃん達と言うよりは少しマシかと。
 悪い意味ではないけどね。技巧やオリジナリティには遠いものの、パワーコードでガンガン鳴らす程よく歪んだギター音と、エモーショナルな歌を中心としたアンサンブルは、何も考えず聴いていて気持ちよくさせるだけの説得力は最低限有している。
 ところで頻繁にシャウト気味になるヴォーカルは、迫力があるというより音域が狭くて無理矢理絞り出してる感じ。歌が不安定だし、邪推ではないかと。ギターも特に二本使ってる必要性を感じない。
 歌詞は抽象的ではありますが難解ではない。言い回しやぼかし方が上手いというより、無駄を削いで少なめな言葉でソリッドに伝えることに長けている印象。
 勢い任せで荒削りで生来のセンス頼み。身の程をわきまえてるというか、実にインディーズのロックバンドらしい作品。こまけぇこたぁいいんだよ!(2010.12.5)






君繋ファイブエム 1st Album

01.フラッシュバック
02.未来の破片
03.電波塔
04.アンダースタンド
05.夏の日、残像
06.無限グライダー
07.その訳を
08.N.G.S
09.自閉探索
10.E
11.君という花
12.ノーネーム


 徐々に曲の幅が広がってきましたが、フレーズは変わらず似たり寄ったりな傾向。
 ドラムが一番技術的には上手そう。スネアやハイハットは叩けてるけど、リムショットは苦手っぽい。
 あとベース音が小さいから低音が痩せて聴こえるんですが、本当に面白みのないフレーズしか弾いてないから大した問題じゃないか。
 曲構成もちょっと気になる。骨子はいいのに、ダラダラしすぎて間延びしているものが。#6・12とか。
 ナンバーガールの二次創作曲みたいな#8は、上っ面だけ真似た感じで面白くない。ギター音とフレーズをそれっぽくすりゃいいってもんじゃない。
 マイナス評価ばっかりしてるように見えるかも知れませんが、個人的には特に嫌いでもないです、シンプルで分かりやすいことが悪だとは思わないし。世間的にも名曲扱いされてる#11は確かに良く出来てるし。ハイハット裏打ちのディスコビートに乗っかるポップなギターと歌メロが気持ちいい。
 スナック菓子感覚で、軽くつまんで聴くようなロックですね。あと歌詞を読みながら浸って聴くのが好きな人向け(2010.12.6)






ソルファ 2nd Album

01.振動覚
02.リライト
03.君の街まで
04.マイワールド
05.夜の向こう
06.ラストシーン
07.サイレン
08.Re:Re:
09.24時
10.真夜中と真昼の夢
11.海岸通り
12.ループ&ループ


 メジャー1枚目。今までとあまり変わった印象がないですね。元々ポップだし。
 だから#12が一番かな。これくらいポップに突き抜けてくれると気持ちいい。サビがバンプの『彼女と星の椅子』みたいですが、ありがちなメロなのでパクリではないかと。文字通りサイレンみたいなツインギターが絡む#7もいいですね。
 万能感ではなく焦燥が原動力の、いい意味で思春期らしい歌詞は個人的に好み。情景描写と心理描写のバランスがよく、無駄な言葉もなく綺麗に伝達されるのも長所。あとは歌ですね。
 やはりプレイ面での描写力不足が最大のネックと感じる一枚。歌詞がどうでもいいリスナーには必要のない作品(2010.12.7)






ファンクラブ 3rd Album

01.暗号のワルツ
02.ワールドアパート
03.ブラックアウト
04.桜草
05.路地裏のうさぎ
06.ブルートレイン
07.真冬のダンス
08.バタフライ
09.センスレス
10.月光
11.タイトロープ


 今までとは少し趣が異なり、全体的に少し薄暗いトーンに包まれた作品。繋がらない感覚や終焉・喪失をテーマにしているそうで。
 歌詞からも衝動感が奪われており、一発目の冒頭からいきなり、
「慌てなくたって 何時か僕は 消えてしまうけど
 そうやって何度も 逃げ出すから 何もないんだよ」
 と痛いお言葉。
 方向性の変化としてはいいと思いますが、変わらずベースの効きが弱いので、音が一層薄くなったのが残念。あまりダウナーにもしたくなかったのか、別の理由でもあるのか。
 クリーンギターとドラムが絡み合うイントロがカッコいい#6、ギターの音作りと曲の雰囲気が上手くマッチしてる#8・9(後者はクライマックスの疾走がカッコいい)、空間の輪郭がぼやけるようなミディアムスロー曲#10辺りがお気に入り。
 それにしてもこの人達、技術向上に時間を費やしたりしないんだろうか。#2の歌とか聴いてるとそう思わずにはいられない。センスレスとか言ってても、結構センス頼みな印象なんですよね、この時点だと(2010.12.8)






ワールド ワールド ワールド 4th Album

01.ワールド ワールド ワールド
02.アフターダーク
03.旅立つ君へ
04.ネオテニー
05.トラベログ
06.No.9
07.ナイトダイビング
08.ライカ
09.惑星
10.転がる岩、君に朝が降る
11.ワールド ワールド
12.或る街の群青
13.新しい世界


 4枚目のフルアルバム。この作品からタイトルに『ファ』が入らなくなった。『ファファファ、しねい!』とかやってくれたら面白かったのに(爆)
 前作で技術の向上云々と書きましたが、今作でかなり技術や構成力・パート毎の連携が引き上がった感が。#4・5辺りのギターリフとか、軽快な2ビートの#3、シャッフルビートの#8とか、以前よりも高いレベルで、ポップかつエモーショナルなギターロックを体現出来ております。しかしコーラスはともかく、ヴォーカル以外のメンバーは歌わない方がいい。
 歌詞にも再び情熱が戻ってきてます。しかし本当にこのバンドの歌詞は詞的な言い回しでいいですね。文学的と言われることもあるけど、個人的にはそういう雰囲気は感じないかな。
 前作のような方向性もいいですが、やっぱり彼らにはストレートなギターロックの方が似合ってますね(2010.12.9)






未だ見ぬ明日へ 2nd MiniAlbum

01.脈打つ生命
02.サイエンスフィクション
03.ムスタング
04.深呼吸
05.融雪
06.未だ見ぬ明日に


『ワールド ワールド ワールド』のコンセプト外だった楽曲を収録したミニアルバム。だそうです。
 ぶっちゃけた話、別段大きな違いがあるとは思えないので、よほど彼らの楽曲に入れ込んだ人以外は特に聴く必要はないかな。
 ただ、違いがないということは、質が劣っているという訳でもないので、聴いて損をするということもないのでは。興味があればどうぞ(2010.12.10)






サーブ ブンガク カマクラ 5th Album

01.藤沢ルーザー
02.鵠沼サーフ
03.江ノ島エスカー
04.腰越クライベイビー
05.七里ヶ浜スカイウォーク
06.稲村ヶ崎ジェーン
07.極楽寺ハートブレイク
08.長谷サンズ
09.由比ヶ浜カイト
10.鎌倉グッドバイ


 全ての曲名に江ノ島電鉄の駅名を冠した、ちょっと遊び心を見せた5枚目のフルアルバム。笑いを取りに来てるような言葉遊びもちらほら。
 彼らの楽曲には割とシリアスな印象があるので、こう来たのはちょっと意外。サウンド面もラフというか、いい意味で力を抜いている。
 いい感じですね。というか個人的にはこういう路線の方が向いてると思うくらい。シャウトやカッチリとした演奏技術とは無縁のバンドだから、衝動や生真面目さを売りにするよりは、こうやってまったり日常系の方がいい。けいおんとかひだまりスケッチみたいなもんですね(爆)
 オリジナリティを求める人には不向きだけど、パワーポップ好きならお勧め(2010.12.11)






マジックディスク 6th Album

01.新世紀のラブソング
02.マジックディスク
03.双子葉
04.さよならロストジェネレイション
05.迷子犬と雨のビート
06.青空と黒い猫
07.架空生物のブルース
08.ラストダンスは悲しみを乗せて
09.マイクロフォン
10.ライジングサン
11.イエス
12.橙
13.ソラニン


 バンドサウンド以外の音も積極的に取り入れた意欲作。歌や演奏に職人気質な拘りがあるバンドでもなさそうなので、単純にバリエーションが増えたと喜んでいいのでは。外部音がバンドサウンドを食うこともなってないし。フジファブリックがああなってしまった今、このままだと今後彼らがポストくるりの最右翼になっちゃいそうだけど(笑)
 曲も良くなったけど、歌詞も今までで一番良い。肩の力が抜けて過去現在未来、全ての時代を肯定できるようになったというか。アレだ、大人になったんだ、彼らは。それも取り巻く世界に屈した訳じゃなく、自ら納得した形で。
 と、何となく綺麗にまとまった所で結論付けますと、現時点での最高傑作ではないかと。今作は学生より社会人が聴くと共感できるんじゃないでしょうか(2010.7.22)






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