トップページ音楽感想
BLANKEY JET CITY



1st Album Red Guitar And The Truth 1991年 ★★★★
3rd Album C.B.Jim 1993年 ★★★★★
Mini Album Metal Moon 1993年 ★★★★
4th Album 幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする 1994年 ★★★
5th Album Skunk 1995年 ★★★★★
6th Album Love Flash Fever 1997年 ★★★★★
7th Album ロメオの心臓 1998年 ★★★★
8th Album Harlem Jets 2000年 ★★★★★








Red Guitar And The Truth 1st Album

01.CAT WAS DEAD
02.僕の心を取り戻すために
03.胸がこわれそう
04.不良少年のうた
05.TEXAS
06.公園
07.ガードレールに座りながら
08.あてのない世界
09.狂った朝日
10.MOTHER


 今更このバンドのことを書くのもどうかと思ったんですが、まあいいか。ちなみに自分はメンバーの人となりなども知らなかったりと、全然熱心なファンではありませんし、解散後に聴き始めた思いっきり後追いなリスナーです。
 クールだけど、ヒリヒリしたテンションで突っ走っていく様は正しく不良少年のロックンロール。まくしたてるようなヴォーカルがカッコいい#2、アメリカナイズドなロカビリー#5などのような、ナイフみたくシャープで、バイクみたく風を切るバンドサウンドは聴き手をもワルにしていくようである(爆)また、間奏の妙な空気感が独特のピリピリした雰囲気を生み出す#8のような楽曲も出来る幅の広さも。
 演奏面ではドラムが特に良いです。聴いた感じ、セット自体はシンプルそうですが、手数の多さやタメの上手さが絶妙すぎる。特に凄いと思ったのが#9。イントロから物凄いプレイ。イモっぽくて残念なギターアルペジオを補って余りある叩きっぷり。
 歌詞は日常風景に鬱屈した感情を乗せるのと、ちょっと前でも書いた、荒野を暴れ回るワル共といったアメリカナイズな世界観の二枚看板。一人称ライトノベルだったら説明的すぎると批判されかねないくらい細かい描写ですが、詞の場合はこれもアリ。『ねこ踏んじゃった』と『ねこ死んじゃった』をかけてるのかどうか不明な#1からして独特で絶望的なムード。
 しかし本当に#3で出てくるような内容の置き手紙なんか書かれたら、胸がこわれそうになる所か相手の頭が壊れてないか心配したくなりますね、僕は(爆)
 ラストの#10が個人的なベストトラック。「ピストル突きつけられ 両手を縛られるベトナムの少年」と、いきなり絶体絶命の状況から話が始まる、ベトナム戦争を下敷きにした死の歌。この曲はあまり多くを語りすぎていないのが逆にいい。
 本人達はこの音に満足していないそうですが(Wiki調べ)、個人的には満足の一枚。確かに後のアルバムと比べると音が良くないし、質感も全然違いますけどね。
 これは自分だけなのかも知れませんが、ベンジーの歪ませた歌とチープめな音、シャッフルビートの組み合わせが、初期のLUNA SEAを思い出すんですね。なのでV系好きも意外と気に入るかも(2011.11.17)






C.B.Jim 3rd Album

01.PUNKY BAD HIP
02.RED-RUM (夢見るBELL BOY)
03.D.I.J.のピストル
04.死神のサングラス
05.12月
06.ROBOT
07.ライラック
08.ヴァニラ
09.車泥棒
10.ICE CANDY
11.3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ
12.悪いひとたち


 自分の中でのブランキーのイメージって、この作品なんですよね。
 今作では完全に一つの独立した架空世界を形成し、その中で繰り広げられる短編をかき集めた、オムニバス集みたいな構成。#12のように、実際の歴史をモチーフにしたと思われる曲もありますが。Sound Horizonみたいなのを期待してはいけませ……いないですねすいません。
 奇天烈な言い回しから生み出されるベンジー節は相変わらず強烈。「魅力的なおまえの その白い足にミートソースをぶっかける」「今度の火曜日が来たら指先がなくなる」「月へ行く予定だったロケットが湖のほとりにつき刺さった そこに住んでいたペリカンの親子は即死だったらしい」ある意味ラリってます(爆)
 2ndを聴いたことはないんですが、よりバンドサウンドはシャープになりつつ、独特のザラつきが加わっています。ロカビリーやブルースを機軸としたスタイルは変わらず。中盤にミディアム曲が集中してて、この手のオールドスタイルな楽曲が好きでもないと飽きが来てしまうかも知れません。
「ギターを歪ませなくても、こんなクールで激しい音が出せるのか」と、当時重低音に傾倒していた自分を驚嘆させた#10、詞の中だけでなく、まるで実際に演奏している場でも狂気的なテンションで踊り狂ってるんじゃないかと思わせる#11、先でも触れた、実際の歴史からインスピレーションを受けたと思われる#12、この3曲が特にお気に入りですね。
 この言い回しが気に食わない、古臭いのにアレルギー反応が起こる、この両方の理由に当てはまらない限りは是非聴いてもらいたいと思います(2011.11.18)






Metal Moon Mini Album

01.おまえが欲しい
02.Sweet Milk Shake
03.Orage
04.脱落
05.綺麗な首飾り
06.鉄の月


 限界ギリギリのテンションでまくしたてる曲がない代わりに、重低音をやや強調したプロダクションでドッシリと聴かせる作りに。しかし歌を筆頭とするプレイが主に鬼気迫る方向に振り幅豊かなのは変わらず。
 最も顕著なのが#6。アコースティックの弾き語りから始まり、中盤から段々と楽器が増えながらヘヴィで悲痛なものへと曲調が変わっていき、またアコースティックに戻ったりする曲展開が秀逸。あと「残酷だけど、世界は美しい」的な内容の歌詞の#5もいい。メロがポップなのも特徴的。
 『C.B.Jim』の単なるアウトテイク集とかでもなく、きっちり一つの独立した作品として聴けます。とりあえず『鉄の月』だけでも聴いて欲しい(2011.11.19)






幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする 4th Album

01.円を描く時
02.親愛なる母へ
03.風になるまで
04.カモメ
05.嘆きの白
06.螺旋階段
07.小さなガラスの空
08.幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする
09.砂漠
10.青い花


 メンバーのやる気ナッシングな女装ジャケ(爆)が目に止まる4枚目のフルアルバム。
パーカッションやホーン、トランペット、ストリングスと、多数の外部音を使ったアルバムになっています。無遠慮にガンガン鳴らすんじゃなく、あくまでバンドサウンドを引き立てるための味付けなので、そこはまず良い所。
 また全体的に、今までのぶっ壊れるギリギリを行くテンションが抑え目になってます。代わりにムーディーさを強調したり、牧歌的なのどかささえ感じさせるような曲調になったりと、
 アルバム中唯一と言ってもいい、アコギを攻撃的に使った曲の#8がベストトラック。もう一本のギターが出すリフやアコギと絡むパーカッション、ピカレスク的な歌詞も実にクールです。
 怪しげな雰囲気がプンプン漂う#1、港区のマンションから何故か意味不明の狂った街に舞台が移っているジャズロックナンバー#6、全体的には落ち着いているが、アウトロで急に弾き倒しまくる演奏がカッコいい#9辺りも好きです。 逆に#4・10はやけに歌メロが普通な気が。悪くはないんですけど。
 こういう雰囲気ってあまり日本人受けしないんじゃないでしょうか。あと純粋に激しいのが好きとか、そういうロックリスナーにも向かない。センスの良さは認めますが、自分も正直、そこまでハマれなかったアルバム(2011.11.20)






Skunk 5th Album

01.Skunk
02.Dynamite Pussy Cats
03.15才
04.Hell Inn
05.くちづけ
06.斜陽
07.Snow Badge
08.Romance
09.Fringe
10.Purple Jelly


 一回目に聴いた時から「きたあああああああ」となった5thアルバム。下半身に来る低音がたまんねぇ!
 元々グルーヴを出すことに抜群に長けているバンドなので、こういう曲が合う合う。ベンジーの音符を無視しがちな歌い回しも、やっぱこういう曲の方がハマってると思うんですよね。
 頭の#1・2からしてもう最高なんですけど。前者は正に全てをズタズタに引き裂くチェーンソーのような暴走っぷりがクレイジーだし、後者は退廃したライブバーで乱痴気騒ぎしてる様がリアルに浮かんでくる。
 逆に、今までのイメージらしからぬ#7もいい。いわゆるツンデレ理論という奴である(笑)静かな雪の夜の情景が浮かんでくるようで、ベンジーの歌も優しい。
 あとはテンションの差が激しいグランジ風の#8、これまたあんまり"らしくない"クサいメロを押し出した#9辺りも好きな曲。
 ジャンル云々でなく、こういうグルーヴ感こそが彼らの武器なんだよなと思いますね。後発ですが、SADSとかが好きな人も気に入るんじゃないかと(2011.11.21)






Love Flash Fever 6th Album

01.プラネタリウム
02.Pudding
03.Mickey Duck
04.皆殺しのトランペット
05.感情
06.Spaghetti Hair
07.Candy Store
08.ガソリンの揺れかた
09.デニスホッパー
10.海を探す


 ここに来て比較的オーソドックスなロックンロールへと回帰。
 彼らの地力をまざまざと見せ付けられた内容に。歌詞を日本語だと認識せずに聴いたとしたら、「本当に日本のバンドですか?」と言いたくなる内容。何だこの演奏力。
 プロダクションも最高。プレイの生々しさも相まって、もうほぼライヴ盤な生音仕様。これセルフプロデュースだそうですが、素晴らしい。今までも良かったですが、それ以上と言っていい。
 チキチキギターとブンブンベースを鳴らす#1、シンプルかつクールにガンガン押してくる#2、ヘヴィな音と夢の国のキャラクターをネタにした歌詞の#3では、それぞれ違ったタイプのロックンロールを披露。
 #4は「悪いひとたち」とは別の意味で強烈な、ポエトリーディングを主体とした曲。インストでも十分通用する作り込みのバックも良い。狂っていくピアノとトランペットに、背筋をゾクっとさせられる。
 無機質なギターリフと掻き毟る激情ヴォーカルのコントラストが映える#5もいい曲。狂騒的なテンションと開き直った歌詞が笑いを誘う#6、ロカの匂いも感じさせながら淡々と進行する#7辺りは、個人的にアルバム中では落ちますがそれでも中々。
 そしてラスト3曲が素晴らしい。#8ではストレートな熱がガンガンとリスナーの血液を燃やし、#9ではベースの人が序盤のヴォーカルを取るという試みも。ベンジーとはまた違った魅力があっていいですねこれは。曲の方も、独特の浮遊感や色気、背中を冷水が伝うような感覚が特徴的。
 #10は珠玉のミディアムバラード。普通にいい曲。ツンデレ理ろ(ry
 このように10曲それぞれ、様々なタイプの曲がフラッシュフィーバー。通はこのアルバムを最高傑作に挙げるそうです。別に通ぶるつもりはないし、なれませんが、確かに素晴らしいロックアルバム(2011.11.22)






ロメオの心臓 7th Album

01.パイナップルサンド
02.ぼくはヤンキー
03.VIOLET FIZZ
04.彼女は死んだ
05.君の手のひらに
06.スクラッチ
07.赤いタンバリン
08.ロメオ
09.HAPPY SUNDAY MORNING
10.古い灯台
11.幸せな人
12.ドブネズミ
13.小さな恋のメロディ
14.ハツカネズミ


 色々な音を使うというアプローチは、『幸せの鐘〜』に近い。更に今回はコード進行や音のバランスなどでも遊びを入れている。音作りなどは大分違いますが、あちらが好きなら今作も気に入ると思います。
 自分はというと『幸せの鐘〜』さほど好きではないので、そこまでハマれなかった作品でした。
 ……って締めようかと思いましたが、感想書くために聴いてる内に、そうも思えなくなってきました(笑)あっちよりはカッコいいアルバムですね。#3・6・9・10辺りは実験性がプラスに働いてますし。
 ノリノリなロックンロール#1だって、下手すればコントになりかねない、パトカーのサイレン音のSEがきちんと曲に緊張感を付加しているし、同系統の#8、ポップに振れつつもカッコ良さは捨ててない#7とかだっていい曲。
 閉塞的で深々と響くバラード#12、それと対を成していると思われるインスト#14も、まるで映画のエンドロールのような余韻を残してくれる。
 かつてなく優しい#5はえええええと正直思った。娘さんに向けた曲らしいですが、熱心なファンじゃない自分にはそんなの分かんないよベンジー! でも#13はいい(笑)映画観ようぜ!(意味不明)
『幸せの鐘〜』よりはこちらを勧めたい(2011.11.23)






Harlem Jets 8th Album

01.SEA SIDE JET CITY
02.CAMARO
03.ADVENTURE OF GOOFY
04.PANTERA
05.SALINGER
06.不良の森
07.SWEET DAYS
08.動物実験撲滅ソング
09.DERRINGER
10.リス(STRIP ver.)
11.COME ON(VERSION1)


 ラストアルバムは、これまで取り込んできた要素を全て結集させたようなロックンロールを、ややポップ風味に仕上げています。この音こそが#1でも言っている『夢に見た街』なんでしょうか。皮肉と重さが効いている#2にせよ、緊張感が空気を満たす#3にせよ、聴きやすさが織り込まれているし。ラストはめっちゃ明るくポップな曲であっさり締めちゃうし。
 これをセルアウトと片付けるのは甚だ失礼。自分には円熟しているようにしか聴こえませんでした。クールなカッコ良さもヒリついたテンションも、皮肉も優しさも、実験要素もルーツをストレートに押し出すことも、その他諸々、繰り返しになりますがこれまでの軌跡全てをひっくるめた上でのこの作品。音だけでなく、歌詞を含めてね。
『悪いひとたち』系の#6がちょっと長すぎることを除けば(悪くはないんだけど)、およそ欠点などあるようには思えなかったアルバム。確かにこれだけのものを作ってしまった以上、解散も致し方なかったのかも。
 出来ればこのアルバム、他の作品を何作か聴いた後で手に取って欲しい。その方が何倍も楽しめます(2011.11.24)






inserted by FC2 system