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BUCK-TICK



Indies Album HURRY UP MODE 1987年 ★★
1st Album SEXUAL×××××! 1987年 ★★★
2nd Album SEVENTH HEAVEN 1988年 ★★
3rd Album TABOO 1989年 ★★★
4th Album 悪の華 1990年 ★★★
5th Album 狂った太陽 1991年 ★★★★★
Self Cover Album 殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits 1992年 ★★★★★
6th Album darker than darkness -style93- 1993年 ★★★★★
7th Album Six/Nine 1995年 ★★★★★
8th Album COSMOS 1996年 ★★★★★
9th Album SEXY STREAM LINER 1997年 ★★★★
Live Album SWEET STRANGE LIVE DISC 1998年 ★★★★
10th Album ONE LIFE,ONE DEATH 2000年 ★★★★
11th Album 極東 I LOVE YOU 2002年 ★★★★
12th Album Mona Lisa OVERDRIVE 2003年 ★★★★★
13th Album 十三階は月光 2005年 ★★★★
14th Album 天使のリボルバー 2007年 ★★★★★
15th Album memento mori 2009年 ★★★★★
16th Album RAZZLE DAZZLE 2010年 ★★★★★
17th Album 夢見る宇宙 2012年 ★★★★




劇場版 BUCK-TICK 〜バクチク現象〜 Tを観に行った感想
劇場版 BUCK-TICK 〜バクチク現象〜 Uを観に行った感想






HURRY UP MODE Indies Album

01.PROLOGUE
02.PLASTIC SYNDROME TYPE U
03.HURRY UP MODE
04.TELEPHONE MURDER
05.FLY HIGH
06.ONE NIGHT BALLET
07.MOON LIGHT
08.FOR DANGEROUS KIDS
09.ROMANESQUE
10.SECRET REACTION
11.STAY GOLD


 1985年の結成以来、メンバーチェンジも休止もなく(謹慎はあったけど)今も現役で精力的に活動を続けるV系界の最長老・BUCK-TICKのインディーズアルバム。自分が持っているのは1990年に出た復刻版です。
 内容ですが……お、音が薄い……! 妙に明るい……!
 ビートロックを終始貫徹しておりますが、カッティングが微妙にござる。細かいスネアワークも微妙にござる。普通に8ビート刻む分にはパワーがあって特に問題ないんですけど。まあ今更技術的なことを気にしても仕方ないというか、負けな気がする。ちなみに一番良いプレイなのはベースかな。
 歌詞も時代を感じるというか、櫻井敦司の若い声と相まってタイムスリップした感覚を味わわせてくれます。そういう意図で作られた作品ではないはずなんですが。
 #3で延々と繰り返されるフレーズや、歌謡スカみたいな感じの#8などの妙な中毒性だとか、ペラい音質ながら時折変なギター音を噛ませてきたりとか、抗いがたい不思議な魔力はこの頃から持っている。ナイトレスッバビロンッ!
 出来不出来をいちいち気にせず、とりあえず感覚で楽しめるならいいかも知れない。後にリリースする作品とは違った意味でのグルーヴを有しています。ハリアッモー!(2012.5.18)






SEXUAL×××××! 1st Album

01.EMPTY GIRL
02.FUTURE FOR FUTURE
03.DREAM OR TRUTH
04.DO THE "I LOVE YOU"
05.ILLUSION
06.SEXUAL×××××!
07.SISSY BOY
08.MIS-CAST
09.HYPER LOVE
10.MY EYES & YOUR EYES


 ハリアッモーをもっと気持ち悪くした感じですね。コード進行をいじったり、変なコーラスやシンセを付け足してみたり。明るい雰囲気の#3にしても、妙な気持ち悪さが拭えないし。歌メロのつけ方もちょっと捻くれてるというか。タイトルのネーミングセンスからは想像もつかないくらいアイデアに満ちている#9とか、特に好きだな。「大宮ハイパーラーブ!」と、空耳も絶好調。
 それとは別に、歌詞も面白くなってます。#1の「軽くて薄くて便利な頭」「舌はいつでもSPAREを持ってて」なんて、薄い音と良く合ってて面白い。他にも「歯ぐきのように軟らかくしたら始めよう」なんて歌ってる曲があったり。
 締めが王道系のミディアム曲というのも、またオツなもの。惜しいのは、技術的な進歩が特に見られないことでしょうか。ドラムはシャッフルビートが苦手なんだろうか。
 これだけ気持ち悪い要素があっても土台にあるのは歌謡曲っぽさなので、あっさり聴けてしまう。意外と間口は広いのかも。かといって、この手の音が苦手な人まで惹き付ける力があるのかと聞かれれば、自信を持っては頷けませんが(2012.5.19)






SEVENTH HEAVEN 2nd Album

01.FRAGILE ARTICLE
02.…IN HEAVEN…
03.CAPSULE TEARS -PLASTIC SYNDROME V-
04.CASTLE IN THE AIR
05.ORIENTAL LOVE STORY
06.PHYSICAL NEUROSE
07.DESPERATE GIRL
08.VICTIMS OF LOVE
09.MEMORIES…
10.SEVENTH HEAVEN


 幻想的な雰囲気を醸し出すアルバムで、後の作品への片鱗を所々覗かせる音使い・コード感などを見せてはいますが、全体的にはやはり物足りない。音はペナペナだし、アレンジも半端。#1のコーラスとか。#3とかもっとケルトっぽくすればいいのに。
 結果、技術的な粗がより目立つような結果に。#4の演奏全体的にバラバラじゃない? ライブに定評のないバンドの生演奏を聴いてるような感じ。
 いかにもV系な疾走曲#2が一番気に入りました。「あーいきゃんどぅ、あーいきゃんどぅ」を「らーんらんるー、らーんらんるー」と歌いたくなる。同じく疾走する#7も中々。シンプルな音数で効率よくメロディアスに仕上げてます。
 そして#6。これが一番、後に繋がる変態的なサウンドメイキングを聴かせてくれますね。時代を感じる歌メロが妙に浮いてたりするのが難点ですが。
 #5も別の意味で印象に残りました。めっちゃ80年代!なんかチャチなセットの歌番組で歌ってる図がありありと浮かんでくるよ!
 あまりオススメは出来ません。あっちゃんのご尊顔をお肌のスミズミまで見たい人向け。僕が何を言いたいか、実際見てもらえれば分かると思います(2012.11.27)

 こっちのSEVENTH HEAVENの方がいいかもしれません。






TABOO 3rd Album

01.ICONOCLASM
02.TOKYO
03.SEX FOR YOU
04.EMBRYO
05."J"
06.FEAST OF DEMORALIZATION
07.ANGELIC CONVERSATION
08.SILENT NIGHT
09.TABOO
10.JUST ONE MORE KISS


 なんか一気に歌詞のV系度が増した感が。つまりゴシック的に。#6ではドラムの人が作詞してますが、これもバンドのカラーに即した内容。
 #2は何気に凄いと思う。時代を感じる歌謡ロックで、キメもベタベタなんですが、歌メロに乗せる言葉の当てはめ方が異常なまでにリズミカルで流麗。
 しかし歌がちょっと……というか、英語のあまりに日本語すぎる発音が足を引っ張っている曲もちらほら。インダストリアルっぽい#1のような曲は特にダメじゃなイカ? 前述の#2も、もちろんカクカク。
 サウンド面では、ツインギターの絡みと音色が主導権を握ってきた印象。つまりBUCK-TICKの特徴がこの辺りから生まれ出したってことですね。物凄くマニアック、とまでは行かないんですが、面白いアイデアをポンポンリスナーに投げてくれる。
 ドラムはスネアが大分引き締まってきたんじゃないでしょうか。#5みたいな曲でシャッフルでなく、普通に刻むようにしたのは適切な判断だと思うんですが、今度はハイハットワークの粗(間奏の所)が……
 とはいっても、アコースティック主体のバラードである#8みたいな曲だと、やっぱり聴いててHARA-HARAしてしまいますが。というか継ぎ目に不自然な部分があるんですが、一発録りじゃないの?それともこちら(再生機器)の問題?
 曲のクオリティは、代表曲の一つでもある#10が頭一つ抜けてるかな。売れ線を意識しながらも、ちゃんと面白いこともやってるし。
 脱皮しかかってる作品、といった所でしょうか。特に思い入れなく、客観的な立場で聴くと大して面白くはなく、垢抜けない古臭い音に聴こえるかと。BUCK-TICK入門としてもお勧めできない。V系を掘り下げたい人・歴史を遡りたい人向け(2012.5.21)






悪の華 4th Album

01.NATIONAL MEDIA BOYS
02.幻の都
03.LOVE ME
04.PLEASURE LAND
05.MISTY BLUE
06.DIZZY MOON
07.SABBAT
08.THE WORLD IS YOURS
09.悪の華
10.KISS ME GOOD-BYE


 サウンドの中枢を担うギタリスト・今井寿の逮捕による謹慎期間を経て製作された4枚目のアルバム。
 プロダクションが劣悪すぎやしませんか? 音に厚みがないだけで曲の魅力が三割減になった気さえしますね。ドラムの刻みもベースラインも、シンプルというか単調に聴こえてしまうというか。色々やってるギターも平坦。技術的な問題ってのもあるんですけど。
 こんな感じで、アレンジやプレイ的には前作よりもまた少し面白くなっているのに、プロダクションの悪さで台無しになっている作品。悪の華というか悪の音。せっかく#9のイントロで櫻井さんが荒ぶってらっしゃるのに、あまり悪さが伝わってこない。
 そんな中自分は、ノイズみたいなギター音を鳴らすエキゾチックな#2が一番好きかな。また#3・4はLUNA SEA好きなら気に入るかも。
 自分はオリジナル盤を聴いたんですけど、リマスタ盤の方は改善されてるんですかね? 良くなってるならば、是非リマスタ盤の方を(2012.5.22)






狂った太陽 5th Album

01.スピード
02.MACHINE
03.MY FUNNY VALENTINE
04.変身[REBORN]
05.エンジェル フィッシュ
06.JUPITER
07.さくら
08.Brain,Whisper,Head,Hate is noise
09.MAD
10.地下室のメロディー
11.太陽ニ殺サレタ


 何が起こった!?と言いたくなるような確変が起こった5枚目のアルバム。ギターシンセの多用と、音の厚みが増すだけでもこんなに変わるもんなのか。技術的には確変が起こっていませんが、表現力が格段に向上しています。この辺の曲なら、今聴いてもあまり古臭さはないのでは。
 煌びやかさと疾走感を兼ね備えた#1、土台のしっかりしたリズム隊に、よく聴くとマニアックなギターと這いつくばる低音ヴォーカルが前曲とは違った疾走感を生み出している#2、V系らしいツインギターの絡みが気持ち悪い#3、インダストリアル風味の#4、妖艶なメロディとヴォーカルが聴き手を蕩けさせる#5、12弦ギターと美しいメロディが生み出す珠玉のバラード#6、櫻井敦司が亡き母へ捧げた、和の空気が物悲しい#7、ドラムに軽くフランジャーをかけたり、呪詛的なコーラスや中東的なギターサウンドが特徴的な#8、テクノ的なアプローチを取り入れたカチカチノイジーなロック#9、閉塞した空間を追い回されるような2ビートの#10、ゴシックホラーとニューウェーヴを足して割ったような#11、いずれも個性派揃いでいい曲です。
 ちなみにリズム隊は今まで通り、割とシンプル。なればこそ、ギターが好きに暴れられるのかも知れない。
 これはV系を聴く人間なら外すべき作品ではないですね。特に七変化するギターを存分に堪能できるので、変化球ギタリストが好きなら是非。
 しかしこのアートワークスを見てると、どうもロマサガ2のラスボス・七英雄を思い出すんですが。ありえなくはないですよね? キャラデザの小林智美はあっちゃんの大ファンで、ワグナスも確か彼を元ネタにしてたはずだし(2012.6.12)






殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits Self Cover Album

01.ICONOCLASM
02.悪の華
03.DO THE "I LOVE YOU"
04.VICTIMS OF LOVE
05.M・A・D
06.ORIENTAL LOVE STORY
07.スピード
08.LOVE ME
09.JUPITER
10.…IN HEAVEN…
11.MOON LIGHT
12.JUST ONE MORE KISS
13.TABOO(Interlude melody taken from "TABOO" by Lecuona Margarita)
14.HYPER LOVE


 HURRY UP MODE〜狂った太陽までの収録曲を抜粋して再録したセルフカバーアルバム。
 思いのほか、と言っちゃ失礼かもしれませんが、良かったです。ちゃんと原曲よりパワーアップしているから。
 ペナペナで薄っぺらかった原曲が聴けなくなるくらい純粋にパワーアップした曲もあるし、よりアレンジを凝らせて深みを持たせた曲もある。あえてテンポを落としたり、演奏時間を長くすることで違った一面を見せてきた曲もあります。完全にリミックスした別物になってるような曲も。技術の向上はもとより、ちゃんとセルフプロデュースで行っているのが偉い。
 選曲のバランスも良いんですが、直近の『狂った太陽』からの3曲はレコード会社の都合で入れざるを得なかったそうで、アレンジに苦心したそうです。確かに、#7はフランジャーや、ゼビウスみたいなシンセのループで何とか対応した印象だし、#9はオペラティックなコーラスを入れたぐらい。#5は完全に破壊してリミックス状態にすることで対応したと。
 空耳も修正されてるんですよね。#12は「タブーの都」が若干「架空の都」に寄ってますし。これはいいんですけど、許せなかったのは#14。「大宮ハイパーーラーーブ!!」が修正されているではないか! 外部の評判を聞いて、意図的に修正したかのように「Oh dear hyper love!」と力強く歌ってるんですよね。これは由々しき事態である。
 という訳で、#14のサビ歌以外は完璧にパワーアップしているアルバムです。人間って成長するんですね。魔王もいるけど。
 初期のアルバムを一通り押さえてから、これを聴いた方がより楽しめるでしょう(2012.12.6)






darker than darkness -style93- 6th Album

01.キラメキの中で...
02.Deep Slow
03.誘惑
04.青の世界
05.神風
06.ZERO
07.ドレス
08.LION
09.Madman Blues −ミナシ児ノ憂鬱−
10.die
93.D・T・D


 前作で見事確変を起こした彼らですが、今作では更なる深みへと到達。今までとは比べ物にならないくらい、ヘヴィでダークな音世界を作り出しています。単純にベース音を強調しただけではないパワーを感じますね。
 バンドのサウンド面での司令塔である今井さんは生粋のロック好きという訳ではなかったそうですが、今作は色々なロックの要素を取り込んでるんですよね。リズム隊だけジャズっぽい#3、レッチリに若干影響受けたのようなノリを聴かせる#6、ソフトバレエ入ってる#7、歌謡曲とかガレージを彷彿とさせるレトロなギターリフが印象的な#8、何か色んなジャンルを混ぜすぎてカオスってる#9、中近東っぽい妖艶さを匂わせるシークレットトラック#93。確かにまんま取り込むのではなく、どこかイビツさがあるんですよね(#3・7はヒデさん作曲)
 割と正統派っぽいロックにしてもやっぱりヘンテコ。ハードロックの#2・4なんて、前者は 場面場面で様々なエフェクトかけてるし、後者はバイク音みたいな音と透明系のシンセを対比させてるし。#10なんて普通のアコギ入りバラードと思わせときながらいきなりフィードバックきつすぎるギターだとか高い声でシャウトですからね。あと#1は全然音がキラメいてねぇよ!ドロドロだよ!
 後発のV系もやってるような、ジャズではない『ジャジー』な#5が一番普通っちゃ普通なんじゃないでしょうか。
 今作のカラーに合わせたのか、ヴォーカルもけっこう荒ぶってます。悪の華以来ではないでしょうか。シャウトは決して上手いわけではないんでうsが、妙な迫力があるんですよね。ヘタウマ? ライオンっぽい威嚇はてらもゆるす。
 歌詞も今までより退廃的な世界観を打ち出してきてます。別に斬新な表現とかは見当たらなかったんですけど、音に合わせた言葉選びはいいですね。近年の歌詞ほど遊んでませんし、特に空耳も見つけられず。
 これを書いている2012年11月現在、オリジナルアルバムだけでも18枚出している彼らですが、個人的にはこれが最高傑作。1993年に出したアルバムとは思えないくらい、時代の先を行っております。ひねくれながらも柔軟かつ貪欲に様々なロックを食い散らかし、ダークに吐き出した超傑作。
 あとはジャケットを何とかしていただけたなら。こっちのライオンにはもゆるすできません(2012.11.26)

DARKER THAN BLACK
 a.b.sは良かったけど、何故アンカフェ使ったし。
 BUCK-TICKで良かったし。






Six/Nine 7th Album

01.Loop
02.love letter
03.君のヴァニラ
04.鼓動
05.限りなく鼠
06.楽園(祈り 希い)
07.細い線
08.Somewhere Nowhere
09.相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり
10.デタラメ野郎
11.密室
12.Kick(大地を蹴る男)
13.愛しのロック・スター
14.唄
15.見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ
16.Loop MARKU


「今までより、変わったタイトルが多くね?」
 と思ったアナタ。正しいです。今作は『狂った太陽』とはまた一味違った方向性です。
 様々な楽器を駆使することは継続しつつ、ノイズやエフェクトをウニョウニョガンガンとかけ、またヘヴィさが増してハードロックやメタルに近接したり、カオスってます。リフを重視したアンビエントサイケな音ですね。
 パーカッションがいかにもこなれていない(#6)などの要素はご愛嬌。やりすぎたが故に抗議が起こり(逆再生コーラン使って苦情発生)差し替え事件が発生したのもご愛嬌。
 アルバムとしてのまとまりは抜群だし、曲順も考えられてて飽きない。こりゃもう名盤と言っていいでしょう。アイデアとセンス全開。ただし、かなりとっつきにくいので好き嫌いは別れること確実でしょうね(2012.6.26)

性器相互愛撫―シックスナイン・マニュアル
 これ、アダルト商品じゃないんだぜ……






COSMOS 8th Album

01.Maria
02.キャンディ
03.チョコレート
04.SANE
05.Tight Rope
06.idol
07.Living on the Net
08.Foolish
09.IN
10.Ash-ra
11.COSMOS


 ここ数作のダークな雰囲気から多少脱却したというか、メロディラインを大切にしたポップな仕上がりに。前作の延長線上にあるような#1もちょっと聴きやすいですし。飛び道具的なギターやサビでガッと来る急展開にちょっとビックリするけど。
 全体的にはダークさの代わりに、ノイジーさを押し出してきている印象ですね。例えば#2なんか、土台はオーソドックスなポップロックですけど、ギターの歪みが半端ないことに。低音がセクシーに這うミディアム曲#3にしても、もはやインダストリアルに近い音を鳴らしてます。
 同時に#5・11のように浮遊感を重視した音を入れた曲を配置しているのも特徴。いいアクセントになっているのではないでしょうか。
 他にも、多彩な変化球を駆使しながらもストレートなメロディを聴かせる#6、半端なラップと怪しげなギターリフをノイズでコーティングした#7、ピー音が言葉通り楽曲のエロさを引き立たせる#9、今作中最もストレートで純粋にカッコいい#10と、実にバリエーション豊富。
 これもほとんど今井さんが、やりたい放題音を鳴らしてるからと言っても過言ではありません。前作では歪んだツインギターの絡め方が独特でしたが、今回はリフ重視ですね。今井さんパートが前述のようにやりたい放題なので、これは正解だと思います。
 普段「バンドサウンド食われてるじゃねぇか!」みたいな罵倒をすることがありますが、こういう融合のさせ方なら全く文句はないんですよ。バンドサウンドとシンセの境界線がいい意味で曖昧で。頑張ってくれコバタケ。あれ、これBUCK-TICKの感想でしたっけ。
 演奏とか機材とか良く分からない方にこそ、むしろオススメできるアルバムなんじゃないかと思います。マニアックそうで間口が広いかと(2012.11.23)

別冊カドカワ 総力特集 小林武史 (カドカワムック 290)






SEXY STREAM LINER 9th Album

01.タナトス
02.SEXY STREAM LINER
03.ヒロイン -angel dust mix-
04.無知の涙
05.リザードスキンの少女
06.螺旋 虫
07.蝶蝶
08.囁き
09.迦陵頻伽 Kalavinka
10.MY FUCKIN' VALENTINE
11.Schiz・o幻想
12.キミガシン..ダラ


 彼女にB-Tを勧めたら、いつの間にか自分よりもハマってたみたいで、貸してもらった未所持アルバムのうちの1つ。
 ダークで退廃的な空気を漂わせながらもサイバー。アンビエントやラップも交えつつ、全体的にはテクノとロックの半身合体みたいな作品です。『Six/Nine』を継承しつつの『Mona Lisa OVERDRIVE』プロトタイプと言うか、変化の途中みたいな。オーバードライブしてないモナリザですね。それじゃただのモナリザか。ニューウェーブって言った方が早いかも知れません。
 歌謡曲的なメロディが分かりやすく立っている曲は少ないです。ミニマルな展開が多め。
 バンドの演奏技術がこういうジャンルに対応しきれてるとは言い難いんですが、アレンジが面白いのでいいんじゃないでしょうか。ホント柔軟なバンドだなと。
 ちなみにタイトルの意味は『最新型の流線形』みたいな意味なんだそうです。別にエロな意図はないようです。曲に色気はありますけどね(2012.10.18)

ToHeart2 AnotherDays 向坂環 挑発 (1/6スケールPVC塗装済み完成品)
 これがワイにとってのセクシーストリームライナーや!






SWEET STRANGE LIVE DISC Live Album

01.SEXY STREAM LINER
02.ヒロイン
03.蝶蝶
04.迦陵頻伽(Kalavinka)
05.囁き
06.螺旋 虫
07.Tight Rope
08.CHAOS〜キラメキの中で
09.MY FUCKIN' VALENTINE
10.リザードスキンの少女
11.無知の涙
12.見えないものを見ようとする誤解 全て誤解だ
13.キミガシン..ダラ
14.Schiz・o幻想
15.タナトス
16.キャンディ


『SEXY STREAM LINER』ツアーファイナルの日本武道館ライブの様子を収録したアルバムです。なので当然、収録曲も同アルバム中心。
 いきなり結論から申し上げますと、取り立てて聴く必要もないかと。(作り方・音響双方の意味で)音もプレイも良好ではあるんですけど、ライブアルバムならではの臨場感があまりないんですよね。個人的にはここでちょっと満足度が落ちてしまいました。ちなみにライブアレンジはちょっとだけ、といった所。
 という訳で、これはハマったファン向けです。別に面白MCや、これでしか聴けない限定曲・ジャムセッションがある訳でもないので(2012.11.24)

SWEET STRANGE LIVE FILM
 こちらの方がいいかもしれませんね。






ONE LIFE,ONE DEATH 10th Album

01.Baby,I want you.
02.CHECK UP
03.GLAMOROUS -FLUXUS-
04.細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM
05.カイン
06.Death wish
07.女神
08.サファイア
09.RHAPSODY
10.FLAME


 デジタルロック路線を継続しつつも、よりタフなバンドサウンドを聴かせてくれます。キャッチーな#3にしても音が強靭ですし、#5なんてこんなにも頼もしくベースが曲を引っ張ってくれてる! ダーカーの時とかは頑張ってましたけど、基本シンプルに土台を支えるプレイばっかりだったから、これは感心させられました。
 そんな感じで、全体的にちょいとグルーヴィー。やっと説得力が出てきたか、と。#1・2は普通にノレる音楽ですからね。しかしグルーヴを意識した反面、中盤の曲の印象がやや薄いのが難点。メロディもこのバンドの武器ですしね。そこがちょっと物足りなかったです。
 インパクトのあった曲の方が、個人的にはいい出来だったと感じました。まず曲からしてブッ飛んでる#4。コーラスと浮遊系の電子音が鳴るイントロを、デジタルノイズが突如破壊するサイバーチューン。「ドリーが1匹ドリーが2匹……」という今井さんの歌がやたら耳に残る怪曲です。
 そして#9。『SEVENTH HEAVEN』に入ってそうな曲をパワーアップさせた、変に幻想的なスローナンバーなんですが、Aメロがとにかくおかしい(褒め言葉)何考えてこんなメロディつけたんだろう。曲の最後は「こんな完結のさせ方アリか!」みたいな。そしてドラムの残響がやたら深い。とどめは「愛と勇気とケータイ持って」もう何でもアリじゃないですか今井さん。
 ラストの#10は別にインパクトがあったり、奇をてらっている訳ではないんですが、純粋にいいバラードで気に入りました。炎が揺らめくような雰囲気で、温かさがじんわり伝わってくる。
 2000年代中期のGacktとかが好きならイケるんじゃないでしょうか(2012.12.7)






極東 I LOVE YOU 11th Album

01.疾風のブレードランナー
02.21st Cherry Boy
03.WARP DAY
04.謝肉祭−カーニバル−
05.TRIGGER
06.Long Distance Call
07.極東より愛を込めて
08.GHOST
09.Brilliant
10.王国 Kingdom come 〜moon rise〜
11.Continue


 この時期の作品にしてはダークさやマニアックさが薄く、かなりポップで温かみに満ちた作品です。無機質な言い方をすると、アコギ多めに使ったり、リバーブかけたりベース音を強めかつ丸めて鳴らしたり。これまでの作品よりも、今作の方が『生身と電子音の有機的な融合』を上手く体現出来ているように聴こえます。
 しかし歌詞の方は分かりやすく愛情たっぷり……とは行ってないのは、彼ららしくて面白いですね。破滅的な面だとか、アナーキーな部分をしっかり見せてきます。そういうことを踏まえてのI LOVE YOUってことでしょうか。アルバム通して、母性をテーマとして匂わせているのも良いですね。
 タイトルこそふざけてるように見えるかも知れませんが、中身はけっこうシリアスで、「愛とは何ぞや?」的な疑問を投げかけてくるような一枚。ラストのインストは次作『Mona Lisa OVERDRIVE』とリンクしているので、聴く時は是非2枚併せて聴きましょう。音楽性が間逆で面白いですよ(2012.10.19)






Mona Lisa OVERDRIVE 12th Album

01.ナカユビ
02.BUSTER
03.残骸 -Shape2-
04.LIMBO
05.Mona Lisa
06.GIRL -Shape2-
07.Sid Vicious ON THE BEACH
08.BLACK CHERRY
09.原罪
10.MONSTER
11.愛ノ歌
12.Continuous


 ハードコアテクノやミクスチャーロック路線に入ったアルバム。
 カッコいいです。バンドサウンドを殺さず、いい具合に打ち込みが混ざっていて。やはり彼らはセンスのいいバンドである。締めのインスト#12も、アイデアの詰まったナイスな曲。
 ガチガチのハードコアテクノ系だけではなく、#7のように、妙にポップなサマーチューン(?)もやったりしているのが面白い。にしても『混乱こそ我が墓標』が「コーランこそ」に聴こえるように歌ってる辺り、今井さんは絶対反省してないだろと(笑)
 他にも歌詞をリスペクト的な意味でスターリンから引用したり、#4では自身らがリリースした過去の曲名から引用したり、サービスもふんだんに行ってます。
 また今作は今井さんが積極的に歌っていて、それもまた味があっていいんですよね。ヘタウマ。
 マッドカプセルマーケッツとかが好きな人にはいいんじゃないでしょうか。あとテクノ系やインダストリアルが苦手な人も、ある程度聴けると思います。ロックかテクノかどっちかに分けろ、と言われたら問答無用でロックだし、どの曲も淡々とした展開とは無縁だし。
 電子タバコならぬ電子爆竹を、是非お試しあれ(2012.7.3)

超像可動 「ジョジョの奇妙な冒険」第四部 20.吉良吉影(荒木飛呂彦指定カラー)
 その…下品なんですが…フフ…………勃起……しちゃいましてね……

コーランを知っていますか (新潮文庫)
 ざっとコーランのことをなぞりたいならオススメ。






十三階は月光 13th Album

01.ENTER CLOWN
02.降臨
03.道化師A
04.Cabaret
05.異人の夜
06.CLOWN LOVES Senorita
07.Goblin
08.ALIVE
09.月蝕
10.Lullaby 2
11.DOLL
12.Passion
13.13秒
14.ROMANCE-Incubo-
15.seraphim
16.夢魔-The Nightmare
17.DIABOLO -Lucifer-
18.WHO'S CLOWN?


 長々としたキャリア中、初のコンセプトアルバムだそうです。
 濃厚なアルバムだなというのが第一印象。
 その割に音数は割と少な目なんだなというのが第二印象。
 なのに重くて、通して聴くとちょっと疲れるなというのが第三印象。

 今回の作風はというと、ゴシックホラーな世界観。彼らのカラーにハマってますね。
 他のアルバムのような変則性は薄めですが、けっこうとっつきにくい。音楽的にも世界観的にも。ゴシックホラーと聞いて、劇的なクサメロを求めている人には不向き。
 そんな中、ヴォーカルの表現力が上手く引っ張って曲の主題を完結に表現している印象。まあインスト曲もあるんですけど、別に曲が物足りないという訳ではありませんしね。一枚通して上手く、映画のような世界観を作り出せていると思います。
 演奏やアレンジの妙を楽しむより、世界観を味わう聴き方がお勧め(2012.7.7)







天使のリボルバー 14th Album

01.Mr.Darkness & Mrs.Moonlight
02.RENDEZVOUS 〜ランデヴー〜
03.モンタージュ
04.リリィ
05.La vie en Rose 〜ラヴィアン・ローズ〜
06.CREAM SODA
07.RAIN
08.BEAST
09.絶界
10.Snow white
11.スパイダー
12.Alice in Wonder Underground
13.REVOLVER


 バンドのメジャーデビュー20周年という節目に発売された、14枚目のアルバム。
 シンプル指向という部分は継続しながらも、前作とはまた違った方向性。ハッキリした8ビートのロックンロールを展開してます。天使とか悪魔とか魔王とかルシファーみたいな単語を羅列しながらも骨太で艶やか。同期ものを使わなくてもグルーヴ出せるんだよと。
 #9のイントロから聴けるギターの危なっかしさはもはやお家芸ということで。もう片方は原則堅実だし、リズム隊がしっかりしてるからいいでしょう。
 にしても#2を聴くと、妙な懐かしさを覚えますな。80〜90年代を駆け抜けたバンドなんだなというのが伝わってくる(笑)他にもアルバム通して所々で匂わせる歌謡曲っぽさがもう。
 そして#3の「イェイイェイイェイ」といい、#6の「ねぇねぇ君って何てチャーミング」といい、#12の妙な可愛らしさといい、真面目なのか小バカにしてるのか分からないセンスは流石。面白いからいい。
 その「分からない掛け合わせ具合」が最もカッコ良く出てるのが、最後の#13ですね。エフェクトかけまくりのアカペラに驚かされ、続いての切れ味鋭いリフと不気味なコーラスの掛け合いが曲を牽引。「あの子は歌う 劣化ウランの上」と、今ならちょっと危ないネタも含んでいる。もうたまらんでしょ。
 これ初心者向きでいいんじゃないでしょうか。マニアックすぎることもなく、昔の作品みたいな時代錯誤感も薄いし。それに、聴いてて何となく「ああ天使のリボルバーっぽい」って思えてくるし。意味を図りにくいフレーズをとにかく納得させてしまう、訳の分からない説得力があるって、何気に凄いことでは(2012.7.8)


チャーリーとチョコレート工場 [DVD]
 何故コラボしなかったし。
 あっちゃんとジョニー・デップって絶対似てますよね。

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 最後の曲はこれを彷彿とさせます。






memento mori 15th Album

01.真っ赤な夜 -Bloody-
02.Les Enfants Terribles
03.GALAXY
04.アンブレラ
05.勝手にしやがれ
06.Coyote
07.Message
08.Memento mori
09.Jonathan Jet-Coaster
10.スズメバチ
11.Lullaby-V
12.MOTEL 13
13.セレナーデ -愛しのアンブレラ-Sweety-
14.天使は誰だ
15.HEAVEN


 今井寿が『これまでの集大成』と語る15枚目のアルバムは、バンドサウンド中心の歌謡ロック。電子音は味付け程度の使い方をしています。
 集大成という言葉を聞くまでは特にそんな印象を受けなくて、『天使のリボルバー』から連なるバンド感重視のロックアルバムだと思ってたんですが、言われてみると確かに集大成に聴こえますね。
 懐かしい歌謡曲臭さをまとったポップさに、所々ダークでマニアックな雰囲気が噛み合わさっている。バンド音が中心だけど、それ以外の音も入ってくる……かつて通ってきた道を大体カバーしているんですよね。
 違うのは、昔とは比べ物にならないくらい強靭で、更に妖艶さを増していること。腰骨を粉々に打ち砕かれそうです。
 まだB-Tの曲を聴いたことがない方は、これから入るといいでしょう。気に入って、もっとマニアックなのが聴きたくなったら、他の作品に派生していくような流れで(2012.10.20)






RAZZLE DAZZLE 16th Album

01.RAZZLE DAZZLE FRAGILE
02.RAZZLE DAZZLE
03.狂気のデッドヒート
04.独壇場Beauty -R.I.P.-
05.羽虫のように
06.妖月 -ようげつの宴-
07.BOLERO
08.Django!!! -眩惑のジャンゴ-
09.錯乱Baby
10.PIXY
11.くちづけ -SERIAL THRILL KISSER-
12.月下麗人
13.夢幻
14.TANGO Swanka
15.Solaris


 V系界における最長老的存在なバンドの16thアルバム。
 ええと、これ25年目のベテランがやる音ですか? と言いたくなるくらいふざけてる。
 ほんと面白いバンドですな! ここまで柔軟かつマイペースに、時代に対応してるのかそっぽ向いてるのか良く分からんスタンスで音楽性を変化させていくのは本当に凄い。とりあえず楽しんでやってるってのは伝わってくる。
 技術的に難しいことはしておらず、別段上手い訳でもありませんが、それをカバーして余りあるアレンジが秀逸。打ち込みを駆使した、いわゆる踊れるロックの様相を呈しているんですが、バンドサウンド以外の部分で遊びすぎ。そしてしっかりV系でありつつも、メロがめっちゃ80年代。
 歌詞も凄いことに。思いっきり要約すると「ちゅっちゅしたいお^^」となるくらい(端折りすぎ)その他にもジャンゴだのビビデバビデブーだの、滑稽と妖艶の狭間に立ってるへんちくりんなフレーズばっかり。
 とっつきにくそうで、実際触れ合ってみると親しみやすい。人間でもそういうタイプの人いますよね(何)正にそんな感じのアルバム。お勧めです(2010.11.15)


シカゴ スペシャルエディション [DVD]
 タイトルの元ネタとなった映画です。

AQUIRAX UNO POSTERS 1959‐1975―宇野亜喜良60年代ポスター集
 ジャケ絵を手がけた、宇野亜喜良の画集。






夢見る宇宙 17th Album

01.エリーゼのために - ROCK for Elise
02.CLIMAX TOGETHER
03.LADY SKELETON
04.人魚 - mermaid
05.夢路
06.ONLY YOU −WE ARE NOT ALONE
07.禁じられた遊び - ADULT CHILDREN
08.夜想
09.INTER RAPTOR
10.MISS TAKE I'm not miss take
11.夢見る宇宙 - cosmix


 一度もメンバーチェンジがないまま、デビュー25周年という節目を迎えての、通算17枚目のアルバム。
 Sexy Stream Linerをポップにしたような感じですかね。ミニマルなフレーズとギターリフを融合させたような組み方が目立ちますし、タイトルが示すよう、確かに音響はちょっと広がりが感じられるんですけど、今回はキャッチーさが大分前に来ている印象。
 ジャンル分けはあまり関係ない気がしました。遊んでるだとか空間的だとか、あとは『お色気』というまとめ方をすべきでしょうか。伏字を使わずはっきり言ってしまえば、夢見る宇宙=セックスの最中、みたいなね。相変わらず変な可愛い子ぶりっ子みたいなことをやってきたりするし、凄いセンスのおじさま達だ。
 やっぱりこのバンドは、アレンジの遊びが柔軟で二歩三歩と抜けていることを再確認。フレーズ単位では今までの音楽の歴史で散々鳴らされてるようなものが多いのに、5人+αのバンドマジックを起こすとこの化学反応ですよ。現在、一部で流行っているレトロなリバイバルブームのバンドとは確実に鳴らしている音が違う。
 今作ではダークさや退廃的な部分は控えめなので、そういうものを求めているリスナーはちょっと期待外れに聴こえてしまうかも。個人的には、25周年のアニバーサリーイヤーにポップなものを持ってきたくせに、全然守りに入ってない所に流石だと唸らされました。無論、音楽的な良さでも。
 最後に、自分だったらタイトルを『Sex Stream Semen』にしてました(2012.10.21)


クリムト (アート・ライブラリー)
 ジャケットに使用された、画家・クリムトのアートライブラリー。







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