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Mini Album MISSA 1997年 ★★
1st Album GAUZE 1999年 ★★★
2nd Album MACABRE 2000年 ★★★★
3rd Album 鬼葬 2002年 ★★★
Mini Album Six Ugly 2002年 ★★★
4th Album VULGAR 2003年 ★★★★
5th Album Withering to death. 2005年 ★★★★★
6th Album THE MARROW OF A BONE 2007年 ★★★
7th Album UROBOROS 2008年 ★★★★★
25th Single 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇 2009年 ★★★
8th Album DUM SPIRO SPERO 2011年 ★★★★★
Mini Album THE UNRAVELING 2013年 ★★★








MISSA Mini Album

01.霧と繭
02.「S」
03.ERODE
04.蒼い月
05.GARDEN
06.秒「」深


 本人達の中でも黒歴史なのではと思うインディーズ時代のミニアルバム。
 正直自分の中でもなかったことになってたんですが(苦笑)これを書くのに改めて聴いてみたらメロディ自体はそんなに悪くないことに気付きました。先入観やイメージに支配されるのは良くないですな。疲れ果てた中年サラリーマンの頭頂部みたいな音質や各パートの噛み合わせには相変わらず悲哀が込み上げてきますが(爆)
 多分メジャー初期でも即戦力レベルになり得たであろう#5は良いですが、総じてやっぱり無理して聴く必要はないアルバム。近年の音源から入ったリスナーにもあまりお勧めできない(2010.1.3)







GAUZE 1st Album

01.GAUZE -mode of adam-
02.Schweinの椅子
03.ゆらめき
04.raison detre
05.304号室、白死の桜
06.cage
07.蜜と唾
08.mazohyst of decadence
09.予感
10.MASK
11.残 -ZAN-
12.アクロの丘
13.GAUZE -mode of eve-


 XのYOSHIKIプロデュースによるデビューアルバム。
 この頃は激しい曲もいかにもV系といった感じですが、当時なりに持ちうるポテンシャルを最大限に発揮して激しさを表現しているのが伝わってくる。しかし売れ線専門リスナーにはこれくらいでもキツいというのが、Mステで#11を演奏した時のあの事件が証明しております(笑)
 個人的にもこの頃の曲なら、激しいのよりポップセンスが光る#9、叙情性に訴えるバラード#5・12の方が好みだったり(2010.1.3)







MACABRE 2nd Album

01.Deity
02.脈
03.理由
04.egnirys cimredopyh +) an injection
05.Hydra
06.蛍火
07.【KR】cube
08.Berry
09.MACABRE−揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹−
10.audrey
11.羅刹国
12.ザクロ
13.太陽の碧


 ハンガリー舞曲5番+ロシア語という異色な組み合わせの#1、ブリッジ・ヴァースで暴れる+メロディアスなサビ、という彼らの王道パターンの礎的存在なカニバリズムソングの#2、自殺直前の回想ソング#3、展開が忙しなく変化する#4、デジタルロックな#5、儚く美しいヴァイオリンが特徴的な戦争バラード#6、京(Vo.ではない)を想起させる世界観を持つ#7、児童虐待ソング#8、10分超えの大作#9、黒夢のMARIAみたいな#10、半ばデスメタルな強烈ナンバー#11、女のドロドロ情念バラード#12、ポップで清涼な曲調とは裏腹に来世に期待した自殺をテーマとした#13と、思わず全部取り上げてしまったほどバラエティ豊かな曲が並ぶ。しかし散漫さは感じない。
 この時期の特徴の例に漏れず、やっぱり安直なエログロ成分は多いですが、今作は精神的な痛みを抉り出す歌詞が多いのが特徴で、そこは上手く表現できていると思う。綺麗事を並べるタイプのバンドではないので、そこがプラスに作用している。
 スカスカな#8、構成が甘く冗長な#9のように、まだまだアイデアに技術が追いついていない点も結構見受けられますが、トータルで見ると完成度の高いアルバム。#6・11・12は文句なしの名曲。#13もポップだけど悪くない(2010.1.3)







鬼葬 3rd Album

01.鬼眼 -kigan-
02.ZOMBOID
03.24個シリンダー
04.FILTH
05.Bottom of the death valley
06.embryo
07.「深葬」
08.逆上堪能ケロイドミルク
09.The Domestic Fucker Family
10.undecided
11.蟲 -mushi-
12.「芯葬」
13.JESSICA
14.鴉 -karasu-
15.ピンクキラー
16.「神葬」


 和を基盤としながらも、グランジっぽさやアメリカ風モダンヘヴィネス、また#7・12のSE曲ではダンスミュージック的なアプローチを見せる意外と幅の広い作風。が、全体的にまだ試行錯誤の段階といった感じで、曲中での和洋融合ではなく曲ごとで和洋が分けられており、そこがちょっと中途半端。
 安直なエログロが正直しんどかったりしますが(苦笑)、#2・4・15くらいぶっ飛んでればこれはこれでいいと思ってしまうことも。シングルでは大人の事情で歌詞を変えざるを得なかった#6もアルバムで本来の姿を取り戻し、より精神作用の強い過激なものに。
 アグレッション重視のためか、彼らの持ち味であるメロディが若干弱めですが、エログロに嫌悪感がなければ聴いてもいいかも(2010.1.3)







Six Ugly Mini Album

01.Mr.NEWSMAN
02.Ugly
03.Hades
04.Umbrella
05.Children
06.秒「」深


 ノリと勢いでグイグイ押し切っていく曲ばかりで、様々なアイデアを盛り込んでいるものの良くも悪くもラフ。そしてアメリカン。
 生命線であるリフはどれも良くできており、南斗鳳凰拳が如く前進制圧しか頭にないヴォーカルをしっかり盛り立てております。ドラムが甘いのが残念ですが。再録である#5・6もより凶悪に進化している。
 全てライブ音源を引っ張ってきてライブミニアルバムに仕立てた方が、よりカッコ良く仕上がったのではと個人的には思います(2010.1.3)







VULGAR 4th Album

01.audience KILLER LOOP
02.THE VD EMPIRE
03.INCREASE BLUE
04.蝕紅
05.砂上の唄
06.RED...【em】
07.明日無き幸福、呼笑亡き明日
08.MARMALADE CHAINSAW
09.かすみ
10.Я TO THE CORE
11.DRAIN AWAY
12.NEW AGE CULTURE
13.OBSCURE
14.CHILD PREY
15.AMBER


『鬼葬』『Six Ugly』でちらつかせていたヘヴィ化への舵取りが明確になったアルバム。
 ある程度売れている並のバンドなら、枚数を重ねる毎に売れ線へと傾いていくものですが、この人達の場合「そんなの関係ねぇ!」とばかりに、よりコアな方向に突っ込んでいくのが面白い(笑)しかしプロダクションがあまり良くなく、特にギターが潰れすぎているのが難点。
 2コードのストロークで進行していくメロディアスナンバー#5、高速シャッフルナンバー#7、和風エログロの極地な#13辺りは名曲。特に#13はPV含めヤバすぎて最高です(笑)
 まだ洋楽要素と、元来自分達が持っていた特性を上手くすり合わせきれていない感がありますが、この手の音楽が好きなら一度は聴いておきたい佳作(2010.1.3)







Withering to death. 5th Album

01.Merciless Cult
02.C
03.朔 -saku-
04.孤独に死す、故に孤独。
05.愛しさは腐敗につき
06.Jesus Christ R'n R
07.GARBAGE
08.Machiavellism
09.dead tree
10.THE FINAL
11.Beautiful Dirt
12.Spilled Milk
13.悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱
14.鼓動


 V系要素と洋楽ハードコア、ラウドロックのいいとこ取りのようなアルバム。演奏技術の未熟さを補って余りあるその魅力は、音楽は技巧ではないという格言をある意味最も端的に表してると言えるのかも。
 熱血ハードコアナンバー#2、超美メロなサビと暴れ狂う他セクションとのコントラストがけばけばしい#3、ファンクミクスチャーな#6、多彩な歌唱を駆使して暴れ狂うハードコアナンバー#7、カッティングリフと早口Vo.が特徴的な#8、今作のハイライト的な反戦バラード#9、耽美性を押し出したヘヴィロック#10、某後輩バンドに向けたメッセージソングと噂される#11、あるファンへのレクイエムである寂寥たるバラード#13、間奏後の絶叫が否応なく心を掻き毟る#14辺りが良いですね。
 またこの頃が最もダウナーな歌詞を書いているような(この時期京の精神状態がどん底で、解散の危機にあったらしい)
 本格的に海外進出を果たす契機となったアルバムであり、劣化フォロワーを大量に生み出す契機となったアルバムでもある。痛みを知らない子供向け(謎)(2010.1.3)







THE MARROW OF A BONE 6th Album

01.CONCEIVED SORROW
02.LIE BURIED WITH A VENGEANCE
03.THE FATAL BELIEVER
04.AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS
05.GRIEF
06.凌辱の雨
07.DISABLED COMPLEXES
08.ROTTING ROOT
09.艶かしき安息、躊躇いに微笑み
10.THE PLEDGE
11.REPITITION OF HATRED
12.THE DEEPER VILENESS
13.CLEVER SLEAZOID


 全体的に海外メタルコア・ハードコア勢の劣化模倣といった感じで微妙。技術勝負のバンドではないからこうやって真っ向勝負されると厳しい。メロディラインと曲展開が良い#3やヴォーカルのブチ切れ適性を最大限に発揮した#5辺りはいいんですが。バラード系のアルバム曲#1・9・10がどれも秀逸というのがまた皮肉な話。
 また初回盤には#1・9・10をアンプラグドアレンジしたボーナスCDが付属しているんですが、これは文句なしに素晴らしい出来。アレンジの良さもさることながら、音を絞ることでヴォーカルがクリアになり、よりダイレクトに『痛み』が伝わってくる。歌唱力は高くないですが、非常に優れた表現力が説得力を何倍にも倍加してくれます(2010.1.3)







UROBOROS 7th Album

01.SA BIR
02.VINUSHKA
03.RED SOIL
04.慟哭と去りぬ
05.蜷局
06.GLASS SKIN
07.STUCK MAN
08.冷血なりせば
09.我、闇とて...
10.BUGABOO
11.凱歌、沈黙が眠る頃
12.DOZING GREEN
13.INCONVENIENT IDEAL


 一体このバンドはどこまで行くんだ、と思わずにはいられない。
 あらゆる暗黒や負の感情が混じり合いながら渦を巻く澱みを、哲学的・密教的・空虚的・耽美的な世界観で表現しているようなイメージ。ToolやOpethにやや近い感じですが、彼らなりの唯一無二のサウンドに仕上がっております。
 9分半を全く長く感じさせない、バンドの全てを惜しみなく注ぎ込み圧倒的な展開を見せる#2、トリッキーさが光る(真っ黒な今作で光るって言うのもどうかと思うけど)#3・4・7・8、以前から得意としていた『和』と『狂気』の黄金配合な#5・12、サビだけメロディアスで他暴れまくりというこれまた彼らの黄金配合、しかし更に破壊力を増した#11、ヴォーカルの広音域が痛々しく響くバラード#6・9、暗闇に一条の光が差し込むような、神々しさすら感じさせる#13と、どの曲を切り取っても隙がない。
 シングル曲(#6・12)は何故か英語ver.として収録されてますが、これは日本語のまま変えずに収録して欲しかったです。歌メロの当てはめ方にちょっと無理矢理な所が見られるし、発音が綺麗な訳でもないし。
 メロディアス路線ではありますが決して聴き易くはなく、今まで以上に間口は狭いですが、これは超傑作(2010.1.3)







激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇 25th SIngle

01.激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
02.残
03.蝕紅 (Shot In One Take)


 前アルバム『UROBOROS』の延長線上にある、Convergeっぽいカオティック・ハードコアナンバー。『凱歌、沈黙が眠る頃』みたいなサビだけメロディアス、他暴れまくりタイプです。
 この間Convergeの新作聴いちゃったからか、どうしても比較して聴いてしまいますね。マゴッツの頃よりは大分マシになってますが、まだまだ技術面では相手にならない印象。
『残』のリメイクは、よりデスメタル化したアレンジこそ邪悪になってますが、このバンドの場合それが無難に期待に応えてるってことになるんだよな(笑)これでまたMステ出てくれないかなあ。
『蝕紅』の一発撮りver.は、まああってもなくてもどちらでも、といった感じ。
 次は羅刹国のリメイクをして欲しいですね(2010.1.3)







DUM SPIRO SPERO 8th Album

01.狂骨の鳴り
02.THE BLOSSOMING BEELZEBUB
03.DIFFERENT SENSE
04.AMON
05.「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨
06.獣慾
07.滴る朦朧
08.LOTUS
09.DIABOLOS
10.暁
11.DECAYED CROW
12.激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
13.VANITAS
14.流転の塔


 タイトルはラテン語で『生きている限り、希望を持つことができる』の意。いつになくポジティブなメッセージが込められてます。
 前作から兆候は見られていましたが、歌詞が確実に変わってきてますね。『withering to death.』『THE MARROW OF A BONE』辺りまでは京の個人的な日記に近い内容が多い印象でしたが、段々と客観性を交えた物語的になってきたというか、昔から彼らが訴えようとしてきた『痛み』『絶望』などといったメッセージを克明に伝えようとするための世界観描写が多くなってきてるなと。目を背けたくなるような内容を敢えて描き出して、目を背けるなと眼前に突きつけてくるような。
 同時に昔よく見られた、安直なエログロからの脱却を果たしているのも好印象。正直表現が難解すぎて自分の脳みそでは全てを理解ませんが(苦笑)
 サウンド面では、前作路線のより深みへと潜った、より複雑で難解なものに。Tool+The Dillinger Escape Plan+マイク・パットン÷3して和風ドレッシングをかけた感じというか。
 曲毎の役割分担が薄れ、アルバム通して1つの曲のような内容になっているのも特徴。一応この曲が聴かせるバラード担当とか、この曲では暴れ狂ってるとか、そういう区切りはあるんですが、境界線が限りなく透明に近い色をしてます。
 なのでどの曲でもいいから視聴してみて、ピンと来たら手にとってみるといいんじゃないでしょうか。
 難解だし狂ってるし暴れてるしで全くもって取っ付きにくい音なんですが、それでもメロディアスさは忘れておらず、各所で美旋律を聴かせてくれる所もいい。ここは昔ながらの彼らの美点というか、他の海外バンドと差別化を図れる大きなアドバンテージですね。
 またミキシングのバランスが各パート毎均整の取れたものになっていたり、音質自体も良くなっているので、前作でそこを不満に感じたリスナーもこれなら納得できるのでは。
 今回は特にギター2人が大分頑張っている印象。時にプログレ、時にメタル、時にカオティックコアなフレーズを弾き倒しています。ベースも自己主張し過ぎない程度にブリブリしていて実に絶妙。ミキサーと本人のプレイが成せる技。
 ドラムもイカ娘状態な(爆)複雑怪奇に入り組んだ叩きっぷり、そしてヴォーカルも更に武器を増やした上、1曲単位、更にはワンセンテンス単位でも目まぐるしく歌唱法を変化させてくる。もう変幻自在という言葉では足りないくらい。その反面、歌詞を見ながらじゃないと非常に分かり辛いですが(苦笑)
 新作を聴く度に感じる「もうこれ以上の進化は難しいのでは」っていう壁をブチ壊してくる所に、ほんと毎度毎度驚かされます。前作がキャッチーに感じてしまうくらい。スルメってレベルじゃないですね。一体どれだけ聴き込めば全貌を把握できるのか。もっと感性を駆使して聴きまくりたいと思います。これだけ内面に訴えてくるバンドも世界有数なのでは。
 ちなみに自分が入手したのは通常盤なので、リミックスやアンプラグドver.の感想は書けませんので悪しからず(2011.8.13)


イカ娘
このバンドの声出してる人が「面白い」といった作品の主役。
西川貴教が言ったんじゃないですよ?DIRが言ったんですよ?






DUM SPIRO SPERO 8th Album

01.Unraveling
02.業
03.かすみ
04.鴉
05.Bottom of the death valley
06.Unknown.Despair.Lost
07.THE FINAL


 シングルは2012年12月に出してましたが、リリースは随分久々な気がしますね。
 しかし今作、7曲中6曲が既発曲のリメイク。個人的にはその時点で微妙な作品でした。昔とは比較にならないくらい成長しているのは今更分かりきってることですから、そこに驚く気にはなりません。
 また、以前ならばともかく、今は過去曲のリメイクにあまり興味がないのもあるし(最新で最新でなんて言ってたらキリがないから)概ね予想通りの内容だったというのもあります。
 内容的には、大きくブッ壊している曲もあれば、原曲を尊重した曲もありと、決してワンパターンではないんですが、大枠ではある程度決まってるというか。七弦ギターで音重くしてフレーズも変則的にして、ヴォーカルがキチガイのように喚き立てたりファルセット出したりして、隙間を埋めにかかると。リミックスではないから型にハマることは当たり前だと理解してはいるんですが、それでもなあ。
 #3・7は原曲の方が生々しくて良かったです。#4・5はアリだと思います。そして#6は「栽培野菜ッ!」がカットされている時点で受け入れがたい(笑)
 最後に、唯一の新曲である#1ですが、DUM SPIRO SPEROの流れを受け継ぐヘヴィでプログレッシヴな展開と千変万化するヴォーカルが禍々しく咲き乱れる楽曲で、これは良いです。
 クオリティ自体は悪くなく、正しくアップデートされている作品だとは思うので、ファンならば聴いておいてハズレはないでしょう(2013.4.16)








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