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Downy


1st Album 無題 2001年 ★★★
2nd Album 無題 2002年 ★★★★
3rd Album 無題 2003年 ★★★★★
4th Album 無題 2004年 ★★★★★








無題 1st Album

01.酩酊フリーク
02.野ばなし
03.昭和ジャズ
04.左の種
05.狂わない窓
06.アンテナ頭
07.62回転
08.麗日
09.脱力紳士
10.猿の手柄


 洗剤とは関係ありません。日本のポストロックバンドのアルバムです。
 タイプ的には結構スタンダード。静と動の緩急がハッキリした展開、きつめのノイズが飛び交いながらも、クリーンだったり浮遊感のある音が混じり、混沌や無の空間の中に仄かな理性を指し示す。
 ちなみにヴォーカル入りです。かき消されそうな上に滑舌が良くないので(意図的?)何言ってるか分かり辛いですが、一応日本語詞なんだとか。しかしあまり気にしないでもいいでしょう。
 既にお気付きでしょうが、このバンド、アルバム名がありません。他のアルバムも全てそうです。その代わりなのかは分かりませんが、曲名はかなり独創的。
 よくこの手の音楽を聴くに辺り、曲名から風景を脳内に組み立てていくのが常套手段であり、自分もそうしがちですが、これだとやり辛いですよね。なので直に聴いて感じて下さいという意見に帰結するのですが(笑)ライブはともかく、音源だけでは組み立てるのがちょっと難しいかも知れません。例えば#3では、確かにちょっとレトロでアングラな空気を醸し出していますが、特にジャズ要素を感じませんし。#9は脱力どころか力一杯弦を掻き鳴らしたり、太鼓を叩いてますし。
 とは言っても、割と聴きやすいタイプの音楽ではあると思います。特に#6・7・8辺りは抵抗がなければすんなり入れるのではないでしょうか。
 te'辺りと近い匂いを感じるので、残響レコード所属バンドが好きなら相性がいいかも知れません。あと音の質感がナンバーガール系統のバンドに近いので、そちら辺が好きならどうぞ。
 しかし個人的には後の作品を勧めますが。この時点の曲はどうも決定打に欠けるのに加え『割とありそうなポストロック』の域を出ていないんですよ(2013.5.23)






無題 2nd Album

01.葵
02.夜の淵
03.黒い雨
04.象牙の塔
05.三月
06.無空
07.犬枯れる
08.月が見ている


 情緒的な曲名が目立ちますが、曲調もアルバム通して割と大人しめ。1曲目はダイナミズムに溢れた轟音を満ち引きさせてますが、その後は前作の美意識はそのままに、ミニマルな展開を多用した空間系ポストロックとも言える様相を呈しています。後轟音出てくるのは#3ぐらいのもの。
 #5・6辺りは文句なしの空間美。前者は不安定な音色をあえて軸にしていて先が気になる展開になってますし、後者は溶けそうなヴォーカルと幻想的な音色が融合し、無の空間を形成。これが個人的には一番好きかも。変拍子と揺れ系エフェクターを二枚看板にした#2も結構好きかも。
 逆に#4はもうちょっと頑張って欲しかったなと。イントロの重低音は面白くておっと引き込まれるんですけど、中盤以降が単調なのが勿体無い。ちなみに冒頭で取り上げた#1も、緩急つける演奏力がもうちょっと欲しかった。下手ではないんですけどね。
 主旋律がないと音楽聴けない!ってリスナーには不向き(2013.5.24)






無題 3rd Album

01.鉄の風景
02.アナーキーダンス
03.抒情譜
04.形而上学
05.暁にて
06.「 」
07.苒
08.月
09.酩酊フリーク


 打ち込みを導入したことで、一層ポストロックらしい作品になったのではないでしょうか。また、ヴォーカルも大分クリアになっていて、それなりに聴き取りやすくなってます。ナンバーガールとRadioheadを足して2で割ったような音。
 いい変化ではないでしょうか。金属的な音作りと打ち込みが上手く噛み合ってます。#1・2辺りはようやく彼ら独自の音楽性が見えてきた感がありますね。特に後者は面白い。無機質な上に変拍子も入れてるんですが、ちゃんとダンサブルに聴こえてくるんですよ。確かにアナーキーなダンス。
 そして#3。イントロの幽玄なアルペジオからしてもう、個人的には大好物。同様の理由で#7も大好物。更にこちらは多層的なコーラスが美しいメロディを形成していて、より深みに引き込まれます。
 ラストの曲は1st収録分のアレンジ版ですが、こちらの方がより意識が混濁させる風になっていて、順当なバージョンアップと言っていいでしょう。
 静かに、美しく狂っていくような音楽が好きな人にオススメな一枚と言えるでしょう(2013.5.25)






無題 4th Album

01.弌
02.△
03.underground
04.Fresh
05.漸
06.サンキュー来春
07.木蓮
08.「   」
09.暗闇と賛歌


 これが活動休止前最後のオリジナルアルバムだそうです。ようやく完成形を一つ作り出せた印象があります。なので何だか「さあここから面白くなってきた」って所で打ち切られる漫画みたいな感じですね。
 ではその完成形がどんなものか、大雑把に言いますと、これまでの路線を受け継いだ集大成でありつつ、レベルアップした演奏力をかなり前に押し出している感じです。特に#4の、ジャズを取り入れたスリリングな展開には息を飲みました。鬼気迫るガチっぷり。演奏力・表現力が増したことで、他曲で登場するミニマルな展開の使い方もグッと活きるようになっております。
 また、ヴォーカルも更に聴き取りやすくなっており、ポストロック界隈ならば十分歌物寄りと言っていいレベルではないでしょうか。これのおかげで、一層ナンバーガールに近付いた感もあるんですけどね。#5とか。
 それだけには終わらず、#3はタイトルに反してポップで浮遊感があり、曲の後半ではトラッドな音色もあったりと、きちんと独自の音楽性も提示しています。またここに来て轟音成分も増えてますので、そっち系が好きな人も満足できるカロリーを含有しています。
 もう、このアルバムを現時点での最高傑作だと断言してしまっていいでしょう。興味を持たれましたら是非これから入ってみて下さい(2013.5.26)






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