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2nd Album 君の靴と未来 2001年 ★★★★★
3rd Album a dead sinking story 2003年 ★★★★★
4th Album Insomniac doze 2006年 ★★★★
5th Album Recitation 2010年 ★★★★★








君の靴と未来 2nd Album

01.Zero
02.Farewell to words
03.Lies, and release from silence
04.Left hand
05.A cradle of arguments and anxiousness
06.Mystery and peace
07.Invisible thread
08.The spiral manupilation
09.A cage it falls into
10.The light of my footprints
11.Your shoes and the world to come


 人智を超えた光景を目の当たりにすると人はしばし言葉を失ってしまうように、この音楽に対しては、圧倒されるという言葉しか出てこないです。
 初期衝動なんて個人レベルの器じゃ到底収まらない、例えるなら山脈規模のデカすぎるスケールで大地が隆起・陥没するように音が、声が押し寄せては引いていく。静と動でなく、静と『激』を使いこなす激情ポスト・ハードコア。
 それを成しえるのが、基本的にスクリームとポエトリーディングor棒読み歌唱をひたすら交互に繰り返すスタイルのヴォーカルと、分厚い轟音をゴゥンゴゥン掻き鳴らす演奏。技術も優れてますが、アンサンブル及び作曲能力が非常に素晴らしい。終わりの知れない大災害のような鬼気迫る破壊、その中でわずかにもたらされる慈しみにただ翻弄されるしかない。
 そして歌詞。悲壮・怒り・焦燥・絶望・破滅・再生……そして、一滴の希望と愛情が詩的に綴られている。ただせっかくいいこと書いてあるのに、絶叫パートだと何歌ってるかよく聴き取れん(苦笑)
 テンションの振り幅が一定なこともあり、一聴しただけではどれも同じに聴こえるし、聴いていて疲れるからヘビロテには向かないし、かなりリスナーが限定されるアルバム。
 しかし本当に凄い。ハードコア畑なのに心の深い所を揺さぶられ、感動してしまう。個人的には稀代の名盤と呼んでも差し支えないレベル(2011.1.16)







a dead sinking story 3rd Album

01.CHAIN WONDERING DEEPLY
02.DISTRESS OF IGNORANCE
03.EVIDENCE
04.COLOR OF FETTERS
05.UNREPAIRABLE GENTLENESS
06.GO MAD AND MARK
07.A CONVICTION THAT SPEEDS
08.REASONS AND OBLIVION
09.A WILL REMAINS IN THE ASHES


 前作の、全てを飲み込んでしまいそうな轟音は少しなりを潜め、ハードコア以外のアプローチも試みつつあります。まあポストロックなんですけど。機械の駆動音のようなエレクトロがメインな#3、ポエトリーディングを主体に構成される#7なんか特にそうですね。他にも各所で、仲良しのMogwaiみたいな音が。
 そのせいか、前作よりも温かみを感じる内容に。同様に歌詞も心なしか救いが強く表れているような。前作ほどの圧倒的なインパクトこそありませんが、絞り叫ぶ痛みとのコントラストがより明確に浮かび上がるようになったのは事実。
 命を削り続けるような痛みを綴った歌詞の中にも、地上から光降り注ぐ天上へと上っていくような幸福感を見出さずにはいられない、約12分の大曲#9が一番気に入った、というか感動しました。アルバム全体でも、曲数が減った代わりに1曲辺りの情報量が増している。ただ前述のようにアプローチ手段を増やしているので、識別はしやすくなってます。
 やっぱり集中してヘビロテしたいとは思えないんですけどね、名盤なんですが(2011.1.17)







Insomniac doze 4th Album

01.Further ahead of warp
02.Shield of selflessness
03.Scene
04.Crystallize
05.The unknown glow
06.Night in winter
07.A warm room


 かつてなく叙情的で、『慈』の部分を強く打ち出してきた4thアルバム。
 とはいえ、決してポスト・ハードコアとしての本分を忘れた訳ではないので安心。必要な場面ではきっちり叫び、演奏が轟音を伴い唸りを上げています。フレージング自体はそこまで大きく変化していません。前作よりも上手く、Mogwaiっぽさと自分達のサウンドを親和させられていると思います。
 天を覆う圧倒的な闇と、そこに灯る光が浮かぶ情景が浮かんでくる#3、力強い生命の躍動を感じずにはいられない#5、至上の温かさに満ちた#7辺りが特に素晴らしい。
 とは言っても、お分かりかとは思いますが癒し系とかには程遠いサウンドですので、そういうのを求めている人には不向き。作業用BGMって感じでもないですね。一見矛盾しているようだけど、安らぎを得るために集中しなければならないというか。そういう聴き方が出来るなら(2011.1.18)







Recitation 5th Album

01.Guidance
02.Last hours of eternity
03.Rain clouds running in a holy night
04.Pieces of the moon I weaved
05.Light and solitude
06.Dreams coming to an end
07.Incomplete
08.Worn heels and the hands we hold
09.A hint and the incapacity
10.A breath clad in happiness
11.0 and 1
12.Your hand


 激情型ポスト・ハードコアバンドの5thアルバム。
 今作はなんと、女性ヴォーカルによるポエトリーディングが登場。最初と最後だけですが。
 ちなみにやっているのは女優の奥貫薫。大河ドラマの龍馬伝にも出てる人ですね。ちなみに彼女は咆哮したりはしません(当たり前)
 音の方は、まるで宇宙まで届くかのような空間的な広がりを、これまで以上に感じられるようになりました。ここ数作では、ハードコアとポストロックを親和させようとしている印象を受けましたが、今回はスイッチのようにはっきりした切り替え方をしている感じ。#4なんか特にそうですね。
 全体的にかなり分かりやすく、優しくなっている。#6・10なんかヴォーカルを除いたらチャート上位にもいるようなハードロックバンドみたいな音だし。つーか前者、イントロがLUNA SEAの『TONIGHT』みたい。
 いい変化ではないでしょうか。ワンパターンに陥られるのも嫌だから。そして何より、一つ一つの音符をより綺麗に、温かく鳴らす技術が更に向上しているし(≒丁寧な弾き方)
 元々のアイデンティティーを崩壊させることなく、彼らの音を一本調子と評して敬遠しがちだったリスナーにも訴えうる、懐の広い一枚。個人的には大いに支持したいです。彼らの作品で、ヘビロテが苦にならないと感じたのは今作が始めて。
 しかしヒットチャート中心に聴いているような層には、ただの雑音でしかないでしょう(2010.12.19)







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