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フジファブリック



1st Album フジファブリック 2004年 ★★★★
2nd Album FAB BOX 2005年 ★★★★
3rd Album TEENAGER 2008年 ★★★★
6th Album STAR 2011年 ★★★★








フジファブリック 1st Album

01.桜の季節
02.TAIFU
03.陽炎
04.追ってけ 追ってけ
05.打上げ花火
06.TOKYO MIDNIGHT
07.花
08.サボテンレコード
09.赤黄色の金木犀
10.夜汽車


 2009年末、ヴォーカルが悲運の夭折をしてしまったバンド・フジファブリック。今こそ彼らの作品に触れてみようではないか!(遅い)
 ビート感を意識した、比較的オーソドックスなポップロック。でもビートロックとは違いますね。かと思えば、#4のような変態チックな曲もやってみせたり。序盤は日本的な風流を備えた曲、中盤は変態チックだったりムーディな曲を、そして後半はアコースティックな音色を多めに用いた、ノスタルジックな曲を配置してます。
 他にアルバム通しての共通要素は、歌謡っぽさも交えながらも総体的にはクサみの薄い美メロと、几帳面な演奏、ピッチが危なっかしいヴォーカル。更に時折なまってるように聴こえることもありますが、これはこのアルバムで良く描かれる、『君』が『僕』の住む場所から離れて云々〜、みたいな歌詞の情景とマッチしていて、いいアイデア。
 1曲目から素晴らしい曲を聴かせてくれます。カッティングギターやピアノがJanne Da Arcの桜を彷彿とさせる(フレージングなどは全く別物ですが)日本的な切なさと風流をふんだんに詰め込んだ名曲。曲構成が何気に凝ってるのも物語性があって○。同じく#9も、どこか切なさを呼び覚ますメロディが秀逸。
 歌詞は最後の曲が一番良かったです。「この照れ屋さんのロマンチストめ!」と言いたくなる(爆)鮮明にワンシーンが浮かんでくる描写が素晴らしい。
 あとは繰り返されるサビメロが耳に残る#2、「ゆらゆら〜」の所で輪唱風のエフェクトをかけるアイデアや、突っ込んだ描写もあまりせず、こんな気まずい空気を書いている歌詞が面白い#4辺りが良かった。
 #5は湿度の高いギターとキーボードが中盤のドラムで一気に弾ける所で何回聴いてもハッとするんですが、後半の曲調がどうもパッとしないのが残念。逆に#6は、序盤のかったるい空気を吹き飛ばす、変則的なフレーズが交錯する間奏が面白い。間奏だけですが。
 かなりポップなのに、若者らしからぬ老獪さが滲み出ている、一筋縄では行かない一枚。○ジテレビなんざクソ喰らえじゃヴァーカ! とお思いなそこのアナタにもお勧め(爆)こっちのフジには何の罪もありませんからね(2011.10.14)







FAB BOX 2nd Album

01.モノノケハカランダ
02.Sunny Morning
03.銀河(Album ver.)
04.唇のソレ
05.地平線を越えて
06.マリアとアマゾネス
07.ベースボールは終わらない
08.雨のマーチ
09.水飴と綿飴
10.虹
11.Birthday
12.茜色の夕日


 後半の曲はそうでもないものの、ひねくれ具合が一層強くなった。と同時に、このバンドの演奏の巧さや、影響を受けてきたであろうバンドミュージックの幅広さをまざまざと見せ付けられる。
 #2のメロディ運びは全く読めませんでした。でもポップなのが凄い。#3は細かい刻みが散りばめられた星屑のようにも錯覚させられる。ファンシーでコミカルなリフが特徴的な#4、往年のハードロックバンドみたいな渋いリフが、月浮かぶ夜の荒野を往く情景を描く#5、複雑に入り組んだアンサンブルを有する#6辺りも見事。
 色んなバンドミュージックを聴いてきた人ほど、フックの数を多く感じるんじゃないでしょうか。同時に普段あまり音楽を聴かない人でも、単純に音を楽しむことが出来るポップさも健在です。歌唱力優先で聴くリスナーには苦しいか(2011.10.16)







TEENAGER 3rd Album

01.ペダル
02.記念写真
03.B.O.I.P.
04.若者のすべて
05.Chocolate Panic
06.Strawberry Shortcakes
07.Surfer King
08.ロマネ
09.パッション・フルーツ
10.東京炎上
11.まばたき
12.星降る夜になったら
13.TEENAGER


 今までの2作よりも変態要素が薄れてしまった印象。代わりに瑞々しさや青臭さのようなものが前に出てきてます。とは言っても技術的には既に若々しいとか、そういうレベルを軽く飛び越えているので、学生のように若々しい20代みたいな感覚。ちなみにネタ切れの挙句の苦し紛れ、ということもなく、むしろよく聴くと豊富なアイデアが盛り込まれている。
 変態要素が薄れたといっても、完全には消えていないのがミソ。性犯罪者の再犯率が高いように、変態が完全に更生するなど考えられないのである。我ながらどんな喩えだ。
 そんな訳で変態のかほりが残る#5はまず良曲認定。またキュートさをも取り込んだ#6、いつになくエレクトロな感触を押し出した#9辺りもいいね。色んな意味でダサい(笑)#3も印象には残る。
 ちなみに序盤に集まりがちになっている、センチメント系の曲の中では#4が最も良かったです。「ないかな ないよな なんてね 思ってた」こんな単純な言葉に込められた切なさに、胸が苦しくなってくる。これは是非聴いてもらいたいですね。
 しかし個人的には#10が一番好きだな。80年代後半の雰囲気を感じさせるメロ、ギターが弾き出す奇妙なコード感、奇天烈一歩手前のキーボード、ストレートそうでブレているリズム隊がひしめき合うミディアムナンバー。彼らのキャリアにおけるトップクラスの名曲と言いたい。このご時勢では不謹慎とわめく輩が出てきかねませんが。
 総合すると、結果的に彼らの柔軟な対応力を見せ付けられたような感じですね。薄々だけど、どこまでも伸びるコンドームみたいな(2011.10.18)







STAR 6th Album

01.Intro
02.STAR
03.スワン
04.ECHO
05.理想型
06.Splash!!
07.アイランド
08.君は炎天下
09.アンダルシア
10.Drop
11.パレード
12.cosmos


 ヴォーカルでもあり、作詞作曲の中核を担っていた志村正彦を欠いての、通産6枚目のアルバム。ちなみに自分は4,5thを聴いていません。その上でまず感じたこと。これは半ば別バンドですね。
 真っ先に気になったのは「一体誰が後任ヴォーカルなんだろう」ということですが、これはギターの山内総一郎が担当しております。声質は違うものの、レベル的には志村氏と大差ないので、問題なく聴けますね。
 曲については、大きく音楽性が変わった訳ではありませんが、スペーシーな音使いが増えています。これは正解だと思う。ヴォーカルの声と合ったアレンジ。
 作詞は山内氏と、ベースの加藤慎一が担当。傾向については、志村氏とかなり似ている。意図的に真似ているのか、元々同じセンスの持ち主だったのか定かではありませんが。
 ちなみに熱心なファンからしたら、この辺の違いがしっかり読み取れるのかも、ということを言い訳。
 まとめると、アレンジの巧みさや、水準を超える作詞作曲能力は健在です。志村氏へ宛てた歌のように聴こえてならない柔らかなバラード曲#4は、問答無用の名曲。熱心なファンではない自分も熱くなるものを感じてしまいます。
 初期っぽさや、古めかしいドライブ感が心地良いロックナンバー#6、ちょっとアイリッシュ入ってる#8、宇宙の星の海を漂うスペーシーさが安息をもたらす#12もいいですね。
 言うまでもなく賛否両論あるでしょうねこれは。このバンドは割と流動的にメンバーが変わっていた過去があるとはいえ、特に日本は「オリジナルメンバーじゃないと○○じゃない!」みたいな風潮がありますし。しかし残ったメンバーもそれは十二分に覚悟しての活動継続でしょう。
 で、個人的にはどう感じたかというと、「アリです!」と大きな声で言いたい。もうメンバーがネットで検索したらこれを見てくれるくらいの勢いで言いたい(爆)
 自分はメンバーチェンジの拘りが0.02mmコンドーム並に薄いというのもありますが、何より作品としてよく出来ているから。これに尽き申す(2011.10.19)







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