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Holy Fuck


2nd Album LP 2007年 ★★★★★
3rd Album Latin 2010年 ★★★★★








LP 2nd Album

01.Super Inuit
02.Milkshake
03.Frenchy's
04.Lovely Allen
05.The Pulse
06.Royal Gregory
07.Echo Sam
08.Safari
09.Choppers


 カナダはトロント出身のエレクトロニカ・ポストロックバンド。
 声優・小松未可子のデビューシングルはBlack Holy。こちらはHoly Fuck。果たしてどちらがより相反するネーミングとして相応しいんでしょうか。
 それはさておき、音楽性としては大きくかけ離れていますね。こちらはリズム隊が紡ぎ出す正確かつノリノリなグルーヴの上に、様々なエレクトロサウンドを乗せた音楽を鳴らしています。単純な演奏技術は相当なレベルですが、ストイックさよりも遊び心の方が強い。以下、印象に残った曲を挙げていきます。
 #1はパンキッシュな音にエディットした吐き捨てヴォーカルとシンセを乗せた曲。ポストパンクとはまた違った新しさが良いですね。
 #2はダンサブルなリズムに、クリスタル系のシンセを絡ませた曲。フロア向き。
 #4はハッピーなテーマパーク的BGMを歪ませて表現しています。どこか不可思議な世界へと連れて行ってくれるよう。
 #5は直線的なピコピコシンセにフィードバックギターが絡んだりする曲。土台のベースとドラムが凄く堅実に音を支えているのも聴き逃せないです。隠れた実力者ぶりを発揮してますね。
 #7は密教的な不穏さを微かに匂わせた曲。アレンジが優秀です。
 #8はどっかで聴いたようなファミコンBGMを随所で鳴らす曲。遊び心を最も発揮した曲であり、日本人リスナーを最も唸らせてくれることでしょう(笑)
 #9はこれまたゲームのBGMで使われていそうな、プレイヤーの緊張を煽り立てるような曲。何か暗い森の中で敵と戦闘してるような感じ?
 ミニマルな展開が多いんですけど、全然飽きが来ないんですよね。何回でも聴いちゃえる中毒性は危険。リズム・ハーモニー・コード・アレンジ・技術をバランス良く高レベルで兼ね備えた優良バンドと言えるでしょう。ちなみに基本的には全てインスト曲です。Battles辺りが好きな人は気に入るでしょう(2013.4.6)






Latin 3rd Album

01. MD
02. Red Lights
03. Latin America
04. Stay Lit
05. Silva & Grimes
06. SHT MTN
07. Stilettos
08. Lucky
09. P.I.G.S.


 バンドサウンド部分をもっと前に押し出してきた印象。そういう意味ではポストロックに近接してますね。また音数も全体的に絞って、よりタイトになってます。
 1曲目こそAnoiceみたいですが、シンプルだけど強靭なリズム隊が紡ぎ出すファンキーな#2は確かにラテンっぽいです。しかし上に乗るシンセは縦ノリってのが面白い。かと言って#3は別にタイトル通りにあまり聴こえないんです。つまるところ、掴み所がないってことですね。
 幻想的な雰囲気を醸し出しながら、歪みの効いたシンセが完全にトリップさせることを許さない#4は、音の多層構造に驚かされます。よーく聴くと凄い緻密な組み立て方なんですよ。
 前曲の余韻を残すかのような#5は、ハイテンポながら浮遊感を漂わせていて、さながら空中庭園を駆け巡る情景が喚起されます。
 #6ではちょっと雰囲気が変わり、ピーピーガーガー言う音がメインに。加工ヴォーカルやパーカッションも入っていて、他ジャンルも匂わせつつインダストリアル入ってて面白い。
 #7はリズム隊のテクを存分に発揮した曲。忙しないフレーズを完璧に合わせてクール&クレイジーなポストロックを披露。もう人力リズムマシーンのレベルです。
 #8は再びメカニカルな音が登場。ちょっとレイジザアゲインストマシーンみたいな弄り方をしつつ(あちらのようにラップ調でノリノリじゃないですが)、呻くようなエフェクトボイスを噛ませた楽曲に。ラストの#9はエレクトロニカに近接した、フロアでかけても良さげな曲です。
 前作と似ているようで違う、相変わらず極めてハイクオリティな逸品です。ラテンっぽさを期待しなければオススメ。ポストロックを聴いたことがない人にも、入口としていいんじゃないかと。ヴォーカルが入ってないと聴けない人にはしんどいかもしれませんが(2013.4.7)






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