トップページ音楽感想
La'cryma Christi



Mini Album Dwellers of a sandcastle 1996年 ★★★★★
1st Album Sculpture of Time 1997年 ★★★★★
2nd Album Lhasa 1998年 ★★★★
3rd Album Magic Theatre 2000年 ★★★★★
4th Album &・U 2002年 ★★
5th Album DEEP SPACE SYNDICATE 2003年 ★★★
6th Album ZEUS 2005年 ★★★★
7th Album WHERE THE EARTH IS ROTTING AWAY 2006年 ★★★









Dwellers of a sandcastle Mini Album

01.Warm Snow
02.Forest
03.A.S.I.A.
04.カリブで生まれた月
05.Poison Rain


 洋楽プログレの歌詞を和訳したみたいな幻想的と電波の紙一重を行く歌詞の通り、総体的には日本的な感性からはかなりの距離を置いた作り。
 単なるオナニーで終わらない演奏技術や作曲能力は既に相当なもの。#1のタイトルなんてオシムの皮肉でありそうな付け方ですが、実際聴いてみると確かに暖かい雪が降る情景が浮かんでくるから凄い。
 その中核を担っているのがツインギター。複雑に絡み合うことでヴォーカルとは独立したメロディを形成してこの不思議な異国情緒ワールドを描き出している。
 そして良くも悪くも万人の印象に残るであろう、TAKAのハイトーンヴォーカル。変な言い方ですが、クリスタルキングの田中氏を少し気持ち悪くした感じのこの声が、このバンドの評価を分ける最大の要因。#4のファルセットなんか人によっては鳥肌物。
 歌だけ聴いているタイプのリスナーでなく、声に拒絶反応を起こすことがなければ高確率で名盤になり得るのでは(2010.6.29)







Sculpture of Time 1st Album

01.Night Flight
02.南国
03.Sanskrit Shower
04.Ivory trees
05.Angolmois
06.Letters
07.偏西風
08.ねむり薬
09.THE SCENT
10.Blueberry Rain


『Dwellers〜』よりもメロが立ってキャッチーになり、より広いリスナーに受け入れられるようになったのでは。しかしヴォーカルを差っ引いても、#3・5辺りのプログレ色強い曲はライトなリスナーには厳しいかも。
 緻密で変幻自在のアンサンブルもよりハイレベルに進化。下手なバンドがやったら陳腐なポップロックで終わりそうな#2・4・6・9も圧倒的な技術力で素晴らしき一品に早変わり。ちなみに個人的に特に好きなのは、ツインギターの絡みが神がかっている#7と夢のように不思議な世界に酔わされる#10。
 ヴォーカルの歌唱力がもう少し高ければより良かった。演奏隊が几帳面な分、尚更粗が目立つんですね。意味不明度の増した歌詞は雰囲気物と割り切ってスルーしましょう(笑)
 1stにして可愛げがないどころか、あまりに完成されすぎて円熟した渋みすら醸し出している名盤。飛行機に乗って南の島へバカンスに行きたくなる(2010.6.29)







Lhasa 2nd Album

01.未来航路(Album Mix)
02.月の瞼
03.With-you(Album Mix)
04.SHY
05.Lhasa
06.Green
07.PSYCHO STALKER
08.Frozen Spring
09.鳥になる日
10.Zambara


 #1〜5がポップ系、#6〜10がマニアック系の楽曲で固められ、二部構成になっているのが特徴。
 #1〜4のポップロックはストレートすぎてちょっと。しかし彼らがやるには、という意味で、ハイトーンを活かした高音主体の歌メロと爽やかなバンドサウンド自体は良好で気持ちいい。#5は曲名に反して意外と普通の鎮魂ソングですが名バラードですね。
 そして後半に並ぶ楽曲こそが彼らの本領。#6はケータイ小説並に人称代名詞がハチャメチャな歌詞に合わせるかのような変拍子ロックナンバー。#7は彼らには少し異色の、サイバーで近未来的な要素を取り入れた曲。完全に歌をおまけと割り切りやがった#8は後半の演奏バトルが圧巻。#9は割と普通のストリングス入りバラードですが、サビのヴォーカルの伸びが不完全燃焼。というか全体的に、明らかに過去の2作より発音がぼやけている。尚更気持ち悪くしてどうするんだ(爆)
 そしてプログレッシヴな#10が全てを持っていく。演奏や構成力はもとより、ヴォーカルも美しい高音を披露し、なおかつ彼が綴る歌詞もこの曲では電波→摩訶不思議へと変換され、プラスに働いている。
 Janne Da ArcやSIAM SHADEなど、技術面でも支持されているV系バンドの例に漏れず、彼らもまたポップ系・マニアック系両方こなせるのは大きな強み。彼らのアルバムで一番とっつきやすいのはこれでしょうか。彼らに興味があるならここから入って、気に入った曲によって次にどの作品を聴くか決めるといいかも(2010.6.29)







Magic Theatre 3rd Album

01.Magic Theatre
02.イスラエル
03.Cry Sour Grape
04.SCORPION GLASS
05.Blossom
06.Sweet Suicide
07.Subconcious Desire
08.GUM
09.Lime rain
10.ファシズム
11.雪になって消えた二人
12.Dear Natural


 マニアックな空気が薄れた代わりに、楽曲の振り幅が大きくなった。ダークなメタルナンバー#10やヴォーカルの声を最大限活かした透明感溢れるバラード#11みたいな曲から、#3のファンクや#7のジャズ、#8のカントリーなど、色々なジャンルに手を出しながらも散漫になったり中途半端にはならず、12曲全てが魔法をかけたようにファンタスティックな完成度。魔法というか演奏力と作曲能力の問題だけど。どいつもこいつもかつてないほどバッキングが凄まじい。テクもアイデアも。
 歌詞の方は社会・戦争・命をテーマにしたものが増えており、やけにシニカルで刺々しさが増してます。少し元同僚のPIERROTみたいになってるな(笑)
 ただ楽曲の圧倒的な描写力に反してこっちはどうも欠けてるというか、違和感があるんですよね。#5なんか特にそうですけど、文脈が少しズレてるというか。まあ言いたいことは分かりますが。#1で命の誕生を描き、#12で自然に還っていくという構成は良いですね。
 しかし歌詞がどうとか、そんなことは軽く消し飛んでしまうくらい瑣末なことと思わせてくれる名盤。そもそも彼らにとっちゃ歌詞はおまけか。彼らのお口と指テクに昇天されて下さい(2010.6.29)







&・U 4th Album

01.Your song
02.Sister mon amour
03.情熱の風
04.PRIDE
05.JUMP!!
06.ASH
07.カメレオン
08.LIFE
09.my generation
10.SCREAMING
11.Heart&Soul


 えらく普通のロックバンドになっちまったでござるの巻。ラクリマじゃなければ『演奏の上手いロックバンド』で済みますが、今まで散々変態的なものばかりを見せられてきたので、これでは物足りない。
 歌詞も陳腐なラブソングばっかになっちまってます。自分は彼らに歌詞の良さを求めちゃいないからそこは別段問題ではありませんが。
 一際劣った曲はない代わりに、強く印象に残るような曲も特にないなー。#7・10は少しいいと思ったけど。この作品は特に聴く必要はないと思います(2010.6.29)







DEEP SPACE SYNDICATE 5th Album

01.intro
02.Mystical Glider (ALBUM MIX)
03.GROOVE WEAPON (ALBUM MIX)
04.DEEP SPACE SYNDICATE
05.Vampire Circus
06.surrealism
07.Simply Red
08.raggle-taggle-revolver
09.HIRAMEKI
10.HAVEN
11.REVERSE


 前作に引き続いてのポップ路線ですが、明らかにグルーヴ感を強く意識して弾いている。#6のようにまさかのR&Bまで取り入れたのにはちょっと驚き。
 当然のように演奏隊は時に几帳面、時にルーズにと柔軟に弾きこなしていますが、ヴォーカルがついてこれてないですね。元々歌唱力の高い人ではないですが、横ノリ向きの歌い手ではないなと。暗めのバラード#7・10でのファルセットは我慢できるかアリというか(笑)少なくとも『カリブで生まれた月』よりは受け入れられる。
 ベストトラックは問答無用で#11一択。闇の底に沈み込んだような哀愁漂う曲調がただただカッコ良い。特にイントロが素晴らしい。立体的なツインギターに耳を引かれるファンクチューン#8、前述の#7・10もいいですね。
 ポップなだけじゃなく、明確に+αを盛り込もうと取り組む意志は見て取れる分、前作よりは良い(2010.6.29)







ZEUS 6th Album

01.AWAKEN
02.Lay down
03.Hot Rod Circuit
04.DESERT
05.DANCING IN THE DARK
06.Under my skin
07.CANNONBALL
08.Don't tell me lies
09.DRONE
10.SAME OLD SHIT!
11.yesterdays


 ギタリストの一人・KOJIが抜けた後のアルバム。
 こりゃまた大胆に進路変更してきたというか、歌詞の英語も増量されたガチのハードロック路線。もはや初期で感じさせたようなオリジナリティはありませんが、演奏力はもとより、金太郎飴状態になることなく曲毎の個性をはっきりさせたりと、オーソドックスな音楽性を極めてハイレベルに行っている所は流石。音源では二本使ってても、ライブではちゃんと一本で弾けるようにギターフレーズが考えられている所にも、彼らのこだわりを感じます。
 そんな重厚さの増した演奏に負けぬよう、ヴォーカルも健闘してます。この両者の関係をミスマッチと取るか味があると取るかは今まで以上に評価の分かれそうな所。メタルにありがちなハイトーンヴォーカルとはまた違う甲高い声質なので、同じ感覚で聴くには苦しい。
 ディープパープルを思わせるようなドライブ感の#3、過去の楽曲のソロパートが所々に散りばめられているインストナンバー#9辺りが特に好きです。そしてKOJIへの手向けではないのかと勘繰りたくなるパワーバラード#11は感動必至。
 ハードロックアルバムとしては非常に良質。路線変更を納得させるに余りあるくらいの力作。歌詞は聞き流せ!(2010.6.29)







WHERE THE EARTH IS ROTTING AWAY 7th Album

01.Shuttle
02.Breaking
03.Heartbreaker
04.Long distance
05.Standing on the edge
06.Soulful day
07.Sweet lil' devil
08.Back against the wall
09.Million miles away
10.Day by day
11.Fly to the moon


 前作同様のハードロック路線ですが、彼らの特色である細かく詰め込んだフレージングが控えめになっており、リフで押していく場面が格段に増えた。それでも並のバンドに比べればきめ細かいですが。
 更にメロディがキャッチーになったような気が。ヴォーカルが高音を張り上げたり、あのきm……独特なファルセットを使うこともほぼ皆無に。
 歌詞は電波っぽさも恋愛要素もほぼなくなりましたが、今度はどれもこれも似たり寄ったりに。「飛び出そうぜ!」的なことばっか。
 全体的に分かりやすくなった割に、即効性の高い派手な曲がない所は中期の作品と似てますね。売る為に分かりやすくした訳ではないってことでしょうか。
 個人的には前作の方が好みなんですが、これも悪くない。程よく力を抜いたハードロックアルバム(2010.6.29)


Fly Me to the Moon
 最後の曲との違い、分かりますか?







inserted by FC2 system