トップページ音楽感想
ムック



1st Album 痛絶 2001年 ★★★★
2nd Album 葬ラ謳 2002年 ★★★★★
3rd Album 是空 2003年 ★★★★
4th Album 朽木の灯 2004年 ★★★★★
5th Album 鵬翼 2005年 ★★★
6th Album 6 2006年 ★★★
7th Album 極彩 2006年 ★★★
8th Album 志恩 2008年 ★★★★
9th Album 球体 2009年 ★★★








痛絶 1st Album

01.―――――。
02.盲目であるが故の疎外感
03.廃
04.イタイ手紙
05.鎮痛剤
06.夜
07.砂の城
08.背徳のヒト
09.娼婦
10.断絶


 自分が所持しているのは3rd press版の方。
 ダークな歌謡ヘヴィロックを基調に、フォークを所々散りばめた曲が特徴的。作曲センスの高さ、メロディセンスの良さは充分窺えますが、技術面ではまだまだといった印象で、ベースが奮闘しているものの他のパートが弱い。ヴォーカルも技術的には上手くないですが、曲調との相性は抜群で、感情も篭っていて良いです。
 他人の建前を嫌う少年目線でほぼ統一された歌詞から滲み出る情念も、聴き手の気持ちを重くしてくれる(褒めてます)喜怒哀楽で言うと怒・哀に突き抜けている。
 一際クサい歌謡メロを有する疾走曲#8、モルダウをモチーフにしたギターフレーズが印象的な疾走曲#9、ギタリストであるミヤの実体験を基にした痛すぎるバラード#10が出色。
 思春期な少年少女以外が聴いても楽しめる作品(爆)(2010.1.18)







葬ラ謳 2nd Album

01.ホムラウタ
02.絶望
03.幸せの終着
04.君に幸あれ
05.僕が本当の僕に耐えきれず造った本当の僕
06.ママ
07.暗闇に咲く花
08.嘘で歪む心臓
09.およげ!たいやきくん
10.前へ
11.黒煙
12.スイミン
13.帰らぬ人
14.ズタズタ


 音に厚みが増し、技術的にも多少向上を見せた2nd。
 歌詞の面では、動物を主人公にした視点での歌詞を書いたり、自身を二人用意して客観的な目で観察する手法を使ったりと、基盤はそのままにしながらも幅を広げようとしているのが見て取れます。
 どの曲も平均点以上ですが、正にタイトル通り重く圧し掛かる絶望を叩き付けてくる#2、当時の彼らなりに出来得る限りの技術を尽くした#5、割とキャッチーな音像ながらやっぱり歌詞は救いがない#6、誰もが知っている曲をヘヴィにアレンジしてカバーした#9、重戦車が爆進するが如き破壊力を持つ#11、悲痛すぎる歌詞がインパクト絶大な#12、前作収録『断絶』の続編に当たる#13・14辺りが特に良い。
 インディーズらしからぬ完成度の高さ。これで技術があと少しあれば。重たくネガティブな空気に満ちていますがエログロな単語はないに等しく、昭和歌謡をベースにしたようなメロなのにレトロっぽさは意外と薄めなので、そういうのが苦手な人も安心して聴けます(2010.1.19)







是空 3rd Album

01.心奏
02.茫然自失
03.我、在ルベキ場所
04.商業思想狂時代考偲曲(平成版)
05.悲観主義者が笑う
06.死して塊
07.双心の声
08.1979
09.嘆き鳥と道化人
10.この線と空
11.9月3日の刻印
12.蘭鋳


 歌詞表現が全体的に遠回しになっているのが目立ちますな。とはいえ単語単位でちょっと日常で使わないような漢字入れたり、テーマ自体は明快な物が多いので、難解ではない。だったらストレートな表現の方が良かったような。
 演奏面では着実に経験値を積み上げており、ドラムの奮闘ぶりが前2作より目立ち、土台がより強靭になったことで安定感が増した印象。ただ中盤の曲に顕著なように、構成の甘さも少し目立ちます。
 和製スリップノットな強烈ナンバー#2、歌謡メロコアとでも言うべき#4・12、感情搾り出しで痛みと怒りを訴えるミディアムバラード#11は文句なしに名曲。
 前後の作品が特に名盤と名高いためか、低く見られがちですが、個人的には良作(2010.1.20)







朽木の灯 4th Album

01.朽木の灯
02.誰も居ない家
03.遺書
04.未完の絵画
05.濁空
06.幻燈讃歌
07.暁闇
08.2.07
09.ガロ
10.悲シミノ果テ
11.路地裏 僕と君へ
12.溺れる魚
13.名も無き夢
14.モノクロの景色
15.朽木の塔


 ムックがここまで掘り進めてきた暗黒の最下層とでも言うべきアルバム。歌詞・メロ・アンサンブル・アレンジ・構成・アイデアの昇華などなど、あらゆる部分でほとんど隙がなく、破格の完成度。特に音圧に頼り過ぎずに重たさを出すことと、構成面の洗練化がとても上手く出来ている。
 どの曲も素晴らしい出来ですが、メランコリックなダークさが圧し掛かる#2・7、リアリティが痛みをもたらすムック最強クラスの名曲#3、ヘヴィ&アグレッシヴに攻め込んでくる#5・6、ロカビリーチックな#9、フォークとパワーバラードの二段構えな#12、唯一『光』を感じるメロコア調の#13、ドゥーミー極まりない大作#15が特に秀逸。
 これを作っただけでも、今後どうなろうとこのバンドが活動した価値を120%見出せるくらい問答無用の名盤。ここで突き詰めてしまったが故に、以降音楽性が変遷していくのも必然だったのかも知れません(2010.1.21)







鵬翼 5th Album

01.輝く世界
02.サル
03.赤線
04.最終列車
05.1R
06.昔子供だった人達へ
07.鳶
08.雨のオーケストラ
09.こもれび
10.蜘蛛
11.モンスター
12.優しい記憶
13.ココロノナイマチ
14.つばさ


 明るーい。
 けど、そんなに嫌いじゃないぜこういう方向性も! 代わりに曲展開のダイナミズムが増しているので退屈さは感じないし。音質の悪さは許しがたいですが。
 そのためか、『温もり』をテーマにした楽曲が多い。それはいいんですが、#6みたいな青春回顧系のこっ恥ずかしい歌詞はどうかと。あとオシャレ気取りなギターカッティングもだ(爆)
 千切れそうな熱唱が鼓膜の温度を上げるロックチューン#2、ストリングスが鮮やかに色取るしっとりバラード#8、広がる雪空の如き重たさながら温かさを感じるバラード#12、視覚に訴える温かみを持つポップな#13、これまた寒々しさと温もりを同時に感じられる雄大なスローチューン#14が良いです。今作は攻撃的な楽曲よりバラード系に惹かれました。
 ポップさに無条件で嫌悪感を示すタイプでなければお勧め(2010.1.22)







6 6th Album

01.666
02.空虚な部屋
03.赤い空
04.はりぼてのおとな
05.フォーティーシックス
06.神の星
07.春風のふいた日
08.夕紅
09.遥か


『朽木の灯』と『鵬翼』のアウトテイク集というか、両アルバムから入ったリスナーの為の救済企画というか、そんなアルバム。
 少しでも統一感を持たせるためか、曲順がグラデーションになってますね。その中でもヘヴィ&アグレッシヴなサウンドに浮遊感ある歌メロが乗っかる#2、サビのメランコリックさが印象的な#3、特にラフでパンキッシュな#5、哀愁漂うスローバラード#9が良い。
 良くも悪くも作り込みが薄くラフですが、変にこだわってたら恐らくバランスが悪くなっていたと思うので、これはこれで良い。
 このアルバムが一番THE BACK HORNっぽいので、バクホンリスナーにもお勧め(笑)(2010.1.23)







極彩 7th Album

01.レイブサーカス
02.極彩
03.嘆きの鐘
04.謡声
05.月光
06.パノラマ
07.ガーベラ
08.リスキードライブ
09.キンセンカ
10.ディーオージー
11.25時の憂鬱
12.ホリゾント
13.優しい歌
14.流星


 極彩の名の通り、曲調のバリエーション豊か。技術面でというより、どちらかと言うとアイデアに依存した区別の付け方ですね。これでも悪くはないですが、極彩ってくらいならもっと大胆にアレンジしてもいいのでは。
 演奏面はともかく、今度はヴォーカルが足を引っ張ってきてるような。声質の時点である程度適性が限られてしまうし、元々技巧派ではないので爽やか系などになるとファン以外には厳しいのでは。
 向いている曲では相変わらず安定していて強い。疾走しながらヘヴィネスを叩き付ける#3、歌詞中に過去の曲名が登場する決別ソング#5、日本人の琴線を愛撫しまくる歌謡ロック#7、ダウナーな空気を維持しながら目まぐるしく展開が変化する#11、フルートが温かく彩る耳触りのよい歌謡ロック#12、流麗なアルペジオとメロディが美しい#14辺りが該当。
 かゆい所に手が届いているのにかけていない作品(2010.1.25)







志恩 8th Album

01.水恩
02.梟の揺り篭
03.塗りつぶすなら臙脂
04.ファズ
05.ゲーム
06.フライト -Album ver.-
07.アンジャベル
08.小さな窓
09.蝉時雨
10.志恩
11.空忘れ
12.シヴァ
13.リブラ -Album ver.-


『トライバル』『ダンサブル』を主軸に据えたアルバム。
 後者の要素が活かされているとは言いがたい(どうにも中途半端)ですが湿った質感で、初期の曲が好きなリスナーには結構受けがいいかも。
 転調と反復が次々押し寄せてくるプログレチックな#10がずば抜けた名曲。他の曲も、全体的に結構良い出来で平均点高め。ただし#6、テメーはダメだ。明らかにアルバムの空気を破壊してる。
 横ノリ系ではないので、そういった方向を期待すると肩透かしを食うと思います。かといって踊れるロックでもなく。やっぱりロックが好きなリスナー向け(2010.1.26)







球体 9th Album

01.球体
02.咆哮
03.アゲハ
04.ハイドアンドシーク
05.陽炎
06.レミング
07.オズ
08.浮遊
09.賛美歌
10.空と糸
11.hanabi


 近年の海外転戦で相対したバンドの影響を露骨に受けてるなー、と。要するにメタルコア的。
 彼らが本来持つメロディーセンスの良さや、デジタルサウンドを掛け合わせて仕上げてある曲(#3・4・10)は良いけど、まんま模倣になってるような#2・6辺りはキツい。直球勝負されると、音のバランスの悪さだとかアレンジのまずさだとか、色々と追いついていない部分が目立ってしまう。
 多要素をごっちゃにブチ込んだミクスチャーロック#7もアイデア自体は面白いですが、まとめきれてない。音の配置が面白い#8は良いですね。ファルセット使いまくりの、聖歌意識なバラード#9はやめれ(笑)
 アイデアは尽きていないんだろうけど、咀嚼しきれてない所が惜しい。ディスコグラフィーを顧みても、方向性を絞ったアルバム作りの方が向いてると思うので、次回はまたコンセプト系でお願いします(2010.1.27)







inserted by FC2 system