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鬼束ちひろ
インソムニア 1st Album
01.月光
02.イノセンス
03.BACK DOOR (album version)
04.edge
05.We can go
06.call
07.シャイン (album version)
08.Cage
09.螺旋
10.眩暈
11.月光 (album version)
ピアノの弾き語りを基調としたアンプラグドサウンド。難解すぎず、かつ詞的な表現を的確に盛り込み、心理描写と風景描写のバランスを上手く取り、怒り・焦燥・閉塞・孤独・渇望etc...といったテーマが綴られた歌詞。冷えた暗闇に凛と響くような、圧倒的な存在感に満ちた歌声。
自分で作詞作曲してるし、独自の世界観を持ってるし、声質もいい+歌唱力も高い、歌姫としてほぼ完璧と言ってもいいかも。そしてどこか邦楽離れした空気を纏っています。
何より内面的な醜さを徹底して綺麗に歌い上げようとしているのが自分の胸に響いた。しかも多くの人に伝えるためとか、オブラートに包みたいからとかじゃなく、その醜さをより強調してやろうという意図が見えてきそうで。ちなみに歌詞は結構暴力的で生々しい表現も出てくる。グロさはないけど。
もっと言うと、最終的にポジティブに繋げるため、敢えてこういうスタイルを取ってるように聴こえる所もいい。もがいてるというか、ツンデレ? 違うか。
全編通して覆っているのは夜・闇・氷をイメージさせる冷たい空気感ですが、#5・8のような温かみのある曲も入れることで上手くアクセントをつけているのもいい。
ちなみに#7ではベートーヴェンの方の月光を一部引用している。敢えてシャインの方で使うという。深読みさせる気か。
自分みたいなタイプの人間には足元からビシビシと霜が張って全身氷漬けになっちゃうくらい共感しちゃう音楽性なんですけど、内省的な世界観が嫌いな人間には多分受け付けないかと。とりあえずflumpoolのファンには是非聴いてもらいたい名盤ですね(爆)(2011.3.4)
This Armor 2nd Album
01.ROLLIN'
02.茨の海
03.シャドウ
04.everything, in my hands
05.Our Song
06.流星群
07.LITTLE BEAT RIFLE (album ver.)
08.Arrow of Pain
09.infection
10.CROW
Armor、RIFLE、Arrowなど、争いを連想させるような単語が多い印象のある2枚目。その他にも生々しい痛みを深々と伝えるような描写が目立つ。
前作ほどピアノを主軸としたに音構成にこだわっておらず、アプローチの幅が広がってます。しかしアンプラグドを大事にしたサウンドメイキングはそのままなので、違和感なく聴けるかと。
自分的にもアリですね。割とシンプルだけど、プロダクションに凄くこだわっているのが改めて良く分かりました。#8の浮遊感なんか心地よすぎる。
歌唱的にも幅が広がった感が。闇ではなく"影"をクローズアップした#3では意図的に歌い回しを変えているし、壮大な展開を見せる#9では彼女の歌唱力に圧倒される。
彼女なりのスタイルで痛みを表現した作品とでも言いますか。痛みを恐れず凛と立ち向かって行こう、というメッセージが読み取れないこともないです。パブリックイメージほど後ろ向きでもない、個人的には強さを感じた一枚(2011.3.5)
Sugar High 3rd Album
01.NOT YOUR GOD
02.声
03.Rebel Luck
04.Tiger in my Love
05.Castle・imitation (album version)
06.漂流の羽根
07.砂の盾
08.King of Solitude
09.BORDERLINE
1st路線への回帰が見られる3枚目。ピアノを基調としたバラードが再び増えてます。
個人的にどちらが好きかというと、インパクトを含めて1stの方なんですが、こちらも良く出来た秀作。
痛みと焦燥・怒りと生への意志を荘厳な曲調で綴った#5は名曲。シングル版とは異なりストリングスを基調として半音下げになってるんですが、こっちの方がいいな。一時期ハマって聴きまくりました。ピアノロックスタイルで激しさを表現している#4も、彼女のカッコいい一面が見られていい。
ある意味、彼女の王道とも言えるスタイルなので、安心して聴けるでしょう。やっぱこういう冷えたオーラを纏った孤高の歌姫、というスタンスが良く似合いますね(2011.3.6)
LAS VEGAS 4th Album
01.Sweet Rosemary
02.bad trip
03.蝋の翼
04.僕等 バラ色の日々
05.amphibious
06.MAGICAL WORLD
07.A Horse and A Queen
08.Rainman
09.Angelina
10.BRIGHTEN US
11.everyhome
長い活動休止期間を経ての4枚目。1曲目を聴いた時「あれ? 声老けた?」と思っちゃったりしました。
続けて聴いていく内、そんな問題じゃないことに気付きました。そう、憑き物が落ちたというか、声にあの他を寄せ付けないかのような、冷気を帯びた孤高のオーラを感じなくなった。アカペラの#10とか活動休止前に聴いてみたかった。
曲の方も2ndの延長線上というか、柔らかい響きが目立つ。そして何より歌詞。一発目から「人生は長いのだろう」ですよ。やはり休止期間が彼女の中の何かを変えたのか。
並のシンガーソングライターとは比べるべくもないレベルとはいえ、個人的にはやはり休止前の雰囲気の方がいいやと思ってしまいますね(2011.3.7)
DOROTHY 5th Album
01.A WHITE WHALE IN MY QUIET DREAM
02.陽炎
03.X
04.ストーリーテラー
05.STEAL THIS HEART
06.I Pass By
07.帰り路をなくして
08.Losing a distance
09.ラストメロディー
10.蛍
11.VENUS
前作よりも自身の変化に上手く折り合いをつけてきた印象を受けました。具体的にはロック色が強くなってます。また#2・10のように、歌謡曲全開になったりも。元々歌唱力は高いので、問題なく適応できています。決して一本調子な歌い手ではないことを証明してくれている。
曲作りやアレンジも丁寧な仕上がり。聴きやすいですが、数曲を除いて基本的にはJ-POPとは少し距離を置いた作り(J-POPが雑と言いたい訳ではないです)いいですね。導入・テンションの抑揚・そしてクライマックスで盛り上げる所ではきっちり盛り上げる。ちゃんと全曲がアルバムに必要不可欠なピースとして機能している。
歌詞は、本質的なメッセージは変わっていないように見受けられますが、やはり確実に光が強くなってますね。何より、声が戻っていることが大きなプラス要素。
何というか、音楽活動をようやく楽しめてきているのかな? という感想が浮かんでくる。盾を放り、鎧を脱ぎ捨てた彼女の姿が見えてくる一枚(2011.3.8)
剣と楓 6th Album
01.青い鳥
02.夢かも知れない
03.EVER AFTER
04.IRIS
05.僕を忘れないで
06.An Fhideag Airgid
07.SUNNY ROSE
08.NEW AGE STRANGER
09.CANDY GIRL
10.罪の向こう 銀の幕
11.WANNA BE A HAPPY WARRIOR
12.琥珀の雪
ジャケ写を見て思ったこと。「なんか梶芽衣子みたい」
そしたら1曲目から日本的な情念が込められた曲が流れ出すし。まさか今回はそういう方向性なのか!?
何て考えながら聴いてたら全然違ったでござるの巻。今までになくバリーエション豊富でまとまりのないアルバムです。
軽快なストリングスが主導権を握り、中盤では初期ラルクみたいなフィードバックかけまくったギターも鳴る、最近のアニメのOPみたいな#3は流石にはっちゃけすぎじゃないのかとも思いましたが。
しかし、全体的に作曲もアレンジもやはり丁寧だし、意外と柔軟に対応している彼女のヴォーカルが確かな説得力を感じさせてくれる。個人的にこれだけのレベルでやってもらえるんなら特に文句はありません。打ち込み系の#8なんてかなりの冒険だと思うんですが、歌の存在感を殺しすぎないエディットが絶妙すぎるもんな。
従来のイメージに近い曲も高い完成度を維持。アンプラグドの楽器のみで構成された、格調高さすら感じさせる孤高系スローバラード#5・6、トラッドな#7、そして最後の曲も冷え冷えとしながらも情感がたっぷり篭ってます。アウトロで吐息を入れているのはいいアイデア。
#9はちょっと中途半端な印象かな。キュートさを売りにするにしても、大人っぽさを消しきれてないし。
歌詞の方も恋愛物が増えたり、はっちゃけ気味の表現が目立つ。それでいて楽曲同様、従来のシリアスな物も幾つか残っているから、結構カオスな状況に。これを感性の赴くままのやりたい放題と取るか、意図的な変化を求めているかはリスナー次第でしょうか。
自分は新たな可能性を示した一枚だと信じています(2011.8.1)