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陰陽座



1st Album 鬼哭転生 1999年 ★★★★
2nd Album 百鬼繚乱 2000年 ★★★★
3rd Album 煌神羅刹 2002年 ★★★★
Mini Album 封印廻濫 2002年 ★★★★★
4th Album 鳳翼麟瞳 2003年 ★★★
5th Album 夢幻泡影 2004年 ★★★★
6th Album 臥龍點睛 2005年 ★★★
7th Album 魔王戴天 2007年 ★★★★
8th Album 魑魅魍魎 2008年 ★★★★
9th Album 金剛九尾 2009年 ★★★








鬼哭転生 1st Album

01.降臨
02.眩暈坂
03.鬼
04.逢魔刻
05.文車に燃ゆ恋文
06.氷の楔
07.鬼斬忍法帖
08.百の鬼が夜を行く
09.陰陽師
10.亥の子唄


『妖怪ヘヴィメタル』という下手すればネタで終わりそうなコンセプトを、この時点でしっかりと"正統派として"具現化しているのが素晴らしい。ギターとか瞬火(ベース兼任の男性Vo.)の歌とかがちょっと拙かったりするものの、全体的にかなりハイレベルな完成度を誇ってます。特に曲展開を大胆かつ巧みに操作している点が素晴らしいですな。
 ポップ+演歌のラブソング#5、スラッシーな#7、超劇的和製メロスピとも言うべき名曲#9、童謡とハードコアを融合させたような#10辺りが特にお気に入り。
 単なるイロモノとして敬遠するには勿体無いです。アニソンが好きなリスナーにもお勧め(2010.2.15)







百鬼繚乱 2nd Album

01.式を駆る者
02.桜花ノ理
03.塗り壁
04.癲狂院狂人廓
05.八咫烏
06.歪む月
07.帝図魔魁譚
08.化外忍法帖
09.奇子
10.がいながてや


 ダークな長尺曲が3曲(#3・5・9)配置されており、ドロドロしていながらも聴きやすいアルバム。ただパッと聴きのとっつきやすさはないので、諦めず何回か聴いてみることをお勧め(笑)
 這うような瞬火パートと澄んだ高音をした黒猫パートの対比が映える#2、危険なタイトルとは裏腹にストレートなカッコ良さがある、ハードロックの匂いをさせた#4、妖しさの中に懐かしさを覚えるメロディを持つ#7、手塚治虫の作品をモチーフにした#9辺りが注目曲。特に#9では黒猫の幼女演技も聴けて、その筋の方々にはたまらないであろう(爆)
 ある意味一番陰陽座らしい、妖怪ヘヴィメタルらしいアルバム(2010.2.18)







煌神羅刹 3rd Album

01.羅刹
02.朧車
03.煌
04.牛鬼祀り
05.烏天狗
06.陽炎忍法帖
07.月に叢雲花に風
08.組曲「黒塚」〜安達ヶ原
09.組曲「黒塚」〜鬼哭啾々
10.おらびなはい


 テンションが上がる疾走系燃え曲が多い。
 正に日本人ならではの感性で創り上げられた#1・5・6、初っ端からクライマックスな高難易度メロを難なく歌いこなす黒猫に失神しそうな#2、聴いていて燃えない訳がない熱血ナンバー#3、ダークな長尺曲ですが多彩な展開で飽きさせない作りの#4、風情を感じる美しさを持つキャッチーな#7、切々とした空気から徐々に本性を現し、メタリックな展開へと移行する鬼婆ソング#9、はっちゃけまくりな恒例のお祭りソング#10、いずれも良曲。
 ただ、サビでの分かりやすい盛り上がりを求めるリスナーにはちょっと物足りないかも。個人的には勢い良くサビに突入していて良いと思うんですが(2010.2.20)







封印廻濫 Mini Album

01.火車の轍
02.百々目鬼
03.窮奇
04.空蝉忍法帖
05.土蜘蛛忌譚
06.蠎蛇万歳
07.侵食輪廻
08.月姫


 入手困難とされていたインディーズ時代の楽曲6曲に、新曲(#4・5)を追加したミニアルバム。
 カッコいいベースに心奪われる#1、歌メロとの噛み合わせの悪さが気になるものの、重戦車のような音圧に押し潰されそうな#2、切れ味鋭いリフが疾風の如く駆け抜ける#3、サビで異質なくらいポップなメロを展開する#4、ダークで妖しげな前半部と、瞬火の吐き捨てるようなヴォーカルが唸るアグレッシヴな後半部の二部構成を取る#5、世界が廻る感覚を味わえる酔いどれヘヴィメタル#6、怒涛の演奏で全てを押し流す#7、黒猫のソプラノボイスが映える壮大なアコースティックバラード#8と、とにかくヘヴィでアグレッシヴな曲が目白押し。他のアルバムと比較してもベースを基盤に音を組み上げているのが明らかで、それもプラスに働いている印象。
 ちぐはぐさが引っかかってしまい、個人的に#4はあまり好きになれないですが、単なるファン用のコレクターアイテムでは終わらない一品。
 他のアルバムより海外メタル色が強いので、彼らの和風・妖怪要素が苦手で敬遠していた人もこれなら聴ける……かも。にんじん嫌いな人ににんじんグラッセ勧めるようなもんですが(2010.2.27)







鳳翼麟瞳 4th Album

01.焔之鳥
02.鳳翼天翔
03.麒麟
04.妖花忍法帖
05.鵺
06.叢原火
07.飛頭蛮
08.面影
09.星の宿り
10.舞いあがる


 聴きやすくなって正統派HR/HMに接近した反面、おどろおどろしさが薄れてます。それがプラスにもマイナスにも働いている感じ。演奏隊のスキルが確実に向上していて、役割分担の幅に比例して対応力も広がっている所は心強いです。
 抗いがたい魔性を匂わせる黒猫の表現力にダダ濡れな#4がベストチューン。某鋼鉄神へのオマージュを臆面もなく出した#1・2、スラッシーな#3、ダメ男(?)な歌詞と瞬火の大味なヴォーカルの組み合わせが笑いを誘う#7も悪くない。#9はピアノ自体は非常に美しくて良いですが、主張しすぎて曲を破壊しがちなのが残念。ライブ的空間を意識して作られているどポップな#10は賛否分かれるか。
 黒猫の多彩でハイレベルなヴォーカルを楽しみたい人向けのアルバム(2010.2.28)







夢幻泡影 5th Album

01.夢幻
02.邪魅の抱擁
03.睡
04.鼓動
05.舞頚
06.輪入道
07.煙々羅
08.涅槃忍法帖
09.夢虫
10.河童をどり


 夢と現を交互に行き交うような、曖昧で幻想的な空気に包まれたアルバム。
 に統一してくれれば良かったんだけどなあ。掴みの#1・2のコンボは完璧にリスナーを引きずりこんでくれるし、某鉄乙女系のツインリードとパワフルながら幻想的な歌メロを有する#3も言うことなしのカッコ良さ。瞬火が渋く歌い上げるバラード#7、音のバランスが絶妙なバラードの#9も秀逸。
 また幻想的な曲で統一するのではなく、対比として#4のように現実世界側、更には#3・8といった"狭間"を舞台とした楽曲を配置しているのも良いアクセント。またヴォーカル二人とも、声質がこの幻想的な空気と非常に合っているのが更に完成度を引き上げている。
 だからこそ、出来の良し悪しは別として、#5・6・10がアルバムに合ってないのが実に勿体無い。そこを除けばハイクオリティな一枚(2010.3.1)







臥龍點睛 6th Album

01.靂
02.龍の雲を得る如し
03.彷徨える
04.甲賀忍法帖
05.不知火
06.鬼ころし
07.月花
08.蛟龍の巫女
09.組曲「義経」〜悪忌判官
10.組曲「義経」〜夢魔炎上
11.組曲「義経」〜来世邂逅
12.我が屍を越えてゆけ


 低音の効きが弱くなり、ヘヴィを抜いたメタルといった感じに。音が薄いので、#6みたいな曲をやられても威力に欠ける。イメージチェンジを図ったと解釈するにも、曲配置などのフレームワークが従来のアルバムと同じなので中途半端な印象。
 とはいえ、キラーチューンの破壊力は抜群。作り込みの密度が他の曲と圧倒的に違う#4、血管切れそうなくらいな高難易度メロをパワフルに歌いこなすメロスピチューン#8が該当。そして合計約23分半の組曲#9〜11にはただただ圧倒。語りがこっ恥ずかしくても最後まで聴くべし!(笑)
 音像を鑑みるに、意外と中年メタラーの方が受けが良かったりするのかも(2010.3.2)







魔王戴天 7th Album

01.序曲
02.魔王
03.黒衣の天女
04.不倶戴天
05.覇道忍法帖
06.ひょうすべ
07.大頚
08.骸
09.接吻
10.生きることとみつけたり


 本分である"妖怪ヘヴィメタル"が少し戻ってきていて、熱と魔を宿した獄炎のようなサウンドメイクがリスナーのことを皮はこんがり、中はしっとりと通火してくれます(謎)ギター二人が奮戦しているのが目立ち、ガンガンツインリードで煽ってくるのもポイント。
 彼らの王道であるドラマティックな展開力を存分に発揮した#2、正統派ヘヴィメタルをど真ん中ストレートで投げ込んでくる#3、切れ味鋭いリフと歌メロの#4・8、これまた正統派HMの中に叙情的なメロディが胸を打つ#5がお気に入り。
 コミカルな#6、複雑なフレーズと構成、美メロと邪メロを使い分け翻弄する#7、モロ演歌バラードな#9も悪くないです。ラストは勿論お約束の爽やかソングですが、とりあえず許容範囲か。
 魔王と言ってもDMCみたいなのを期待すると肩透かし喰らいますが(爆)、素直にカッコいいと感じることができる良アルバム(2010.3.3)







魑魅魍魎 8th Album

01.酒呑童子
02.蘭
03.がしゃ髑髏
04.野衾忍法帖
05.紅葉
06.青坊主
07.魃
08.しょうけら
09.鬼一口
10.道成寺蛇ノ獄
11.鎮魂の歌
12.にょろにょろ


 艶とドロドロした妖怪っぽさが程よく混ざり合って、えも言われぬ甘美さを醸し出しているアルバム。
 取っ付きやすいキラーチューンがないに等しいですが、バランスが非常に良い。ヴォーカルだけを押し出さず、各パートが均等に主張し連携するミックスも絶妙。経験と技術を順当に積み上げた結果ですな。
 特に耳を引いたのは妖花忍法帖を思わせるミディアムナンバー#5、約11分半の大作#10。
 新規リスナー向けではなく、ほぼ旧来のファンを納得させるための一枚、といった所ですかね(2010.3.4)







金剛九尾 9th Album

01.貘
02.蒼き独眼
03.十六夜の雨
04.小袖の手
05.孔雀忍法帖
06.挽歌
07.相剋
08.慟哭
09.組曲「九尾」〜玉藻前
10.組曲「九尾」〜照魔鏡
11.組曲「九尾」〜殺生石
12.喰らいあう


 いつもならラストに配置してくるような曲を頭に配置している所からも読み取れるように、今回は随分とポップ。スラッシュしていたりデリデリしている曲が皆無で、全編通して黒猫の声を活かしたようなしっとり風味に。いやまあ、確かにこういう曲調の方が合ってるけどさ。
 とはいえ、安易に売れ線に走ったりするほど浮き足立っているバンドでもないことは分かっているし、軸がブレている訳でもない。ポップなだけじゃなくしっかりメタルした曲も、相変わらず良く練り込まれた構成に唸らされる組曲も用意されていて、その点は抜かりないです。
 パワフルな歌唱で天誅を下す#5、そして無駄に暑苦しい空耳メタル#12が意外にもグっと来ました、すっかり十八番と化した#2・7辺りの出来は流石の安定感。
 これを聴いた限り、まだまだ安定して活動を続けていけそうだと感じました(2010.3.4)







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