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Opeth


1st Album Orchid 1995年 ★★★★★
2nd Album Morningrise 1996年 ★★★★
3rd Album My Arms, Your Hearse 1998年 ★★★★★
4th Album Still Life 1999年 ★★★★★
5th Album Blackwater Park 2001年 ★★★★★
6th Album Deliverance 2002年 ★★★
7th Album Damnation 2003年 ★★★★★
8th Album Ghost Reveries 2005年 ★★★★★
9th Album Watershed 2008年 ★★★★★








Orchid 1st Album

01.In Mist She Was Standing
02.Under the Weeping Moon
03.Silhouette
04.Forest Of October
05.The Twilight Is My Robe
06.Requiem
07.The Apostle In Triumph
08.Into The Frost Of Winter


 デス&クリーンヴォイスを使い分け、複雑なフレーズと展開の曲を長々と弾く。確かにプログレッシヴ・デスメタルと形容されている音楽そのものです。
 しかしスウェーデン産のバンドなだけあって陰鬱で冷えたメロディラインも有しており、思いのほか聴きやすい。歌詞も北欧の寒々しい景色が浮かんでくるような風景描写中心。
 そして長尺曲ばかりでも、1曲の中に数曲分のボリュームが詰まっているので退屈せずに聴ける。1曲目からクライマックスな盛り込みっぷり。
 後の作品と比べると少しだけデス声が細めだったり、音が悪かったりしてますが(#3のピアノソロはこれでちょっと勿体無いことに)、この時点できっちり音楽性を確立しているし、演奏技術やソングライティングも○。前述の#1、幽玄な美しさを秘めた#2辺りが好きですね。
 今作にはメロスピやスラッシュ寄りの速い曲がないので、そっち系が好きなリスナーにはあまり勧められませんが、メロディ派は十分楽しめるかと(2011.1.29)







Morningrise 2nd Album

01.Advent
02.The Night And The Silent Water
03.Nectar
04.Black Rose Immortal
05.To Bid You Farewell
06.Eternal Soul Torture


 前作よりも大作志向が、そしてプログレ色が強くなってます。それに加え閉塞的で息苦しい、鬱蒼とした空気が全編を包んでおり、少しとっつき辛い雰囲気に。
 でもまあ、こういうバンドに手を伸ばそうとしてる時点でけっこうな好き者でしょうからね(爆)、あまり気にしないでいいと思います。冬の寒い日、鬱りたい時にお勧め。でも自殺ダメ!(2011.1.30)







My Arms, Your Hearse 3rd Album

01.Prologue
02.April Ethereal
03.When
04.Madrigal
05.The Amen Corner
06.Demon of the Fall
07.Credence
08.Karma
09.Epilogue


 この作品からが、彼らの真骨頂と言った所でしょうか。音圧がグッと増し、デス声も迫力が出るようになり、更には歌詞の邪悪度も一気に増した感が。
 個々の曲におけるクオリティも隙がないものに。鬼のドラム捌きを見せる#3、複雑なツインギターワークに翻弄される#5、地獄に引きずり落とされそうな邪悪さがたまらない#6、そして#8。ラストの超ロングデスヴォイスには最早言葉も出ませんでした。オーバーダブのように聴こえないこともないですが、これ本当に人間業?
 野暮な突っ込みかも知れませんが、基本的な展開が激しくデスる→静かな叙情パートを交互に繰り返すのばかりなのがなあ。フレージングで工夫しているのは良く分かるんですが。
 そんな中、バラード曲#7はいいですね。真っ暗な部屋で孤独に震えているような感覚に陥りそうになる。
 初めて聴いた時は衝撃的でした。『フィンランドの暗黒神』の称号を名実共に確立した一枚(2011.1.31)







Still Life 4th Album

01.The Moor
02.Godhead's Lament
03.Benighted
04.Moonlapse Vertigo
05.Face Of Melinda
06.Serenity Painted Death
07.White Cluster


 前作をベースに、ゴシック色を強めた印象の4枚目。
 メロディが更に強化され、荘厳さすら感じさせる。で、そこかしこに印象的なメロディが散りばめられております。極まっておる。特に#3辺りの、耽美な美しさが半端ない。ほんとデス声からは想像もつかないくらい綺麗な声で歌い上げるなこのVo.は。
 ドラマティックなイントロに身体の各所がだだ濡れな#4、間奏の絡み合うツインギターカッコいい#7が個人的にベストトラック。デス派なら前作、メロ派なら今作を押さえておけば間違いはないかと(2011.2.1)







Blackwater Park 5th Album

01.The Leper Affinity
02.Bleak
03.Harvest
04.The Drapery Falls
05.Drige For November
06.The Funeral Portrait
07.Patterns In The Ivy
08.Blackwater Park


 今回は曲展開や構成、各フレーズ毎の連携といった構築美に重きを置いてきた印象を受けますね。あらゆる角度から美しさと邪悪さを追求しようとするその姿勢に乾杯。#6なんてもう完璧だろ。
 また、#2の間奏なんか失禁物だし、荒涼とした厳しい大地が目の前に広がりそうな#3・4、何でこれ以上進化してんだよって突っ込みたくなるデス声をかます#8も引き込まれる。
 曲の長さをむしろプラスにしているソングライティング能力には脱帽。個人的にはこれを最高傑作に挙げたい。こういうジャンルに抵抗がなければ絶対一度は聴いた方がいいです(2011.2.2)







Deliverance 6th Album

01. Wreath
02. Deliverance
03. A Fair Judgement
04. For Absent Friends
05. Master's Apprentices
06. By The Pain I See In Others


 更なる暗黒へと引きずり堕ちたアルバム。ドラムはツーバス踏みまくったり、ヴォーカルもデス成分が増量していたり、聴き手を殺りにきてますね。
 と言いたいんですけど、ちょっと綺麗な部分が残りすぎてるかな。#3のような静寂メイン系は外して、もっとアルバム通して押し切るような形でも良かったんじゃないかなと。デスメタル好きが聴くと中途半端に聴こえてしまうかも知れない。どういうコンセプトで作っているのか、明確には分からないんですが。
 闇の奥で魔物が蠢いていそうなアウトロに背筋が凍る、タイトルトラックの#2が一番良かったです。が、この曲の為にOpeth初体験を済ませるのはあまりお勧めしません(爆)もっと綺麗な子がいるので、他から入るのがいいかな(2011.2.3)







Damnation 7th Album

01.Windowpane
02.In My Time of Need
03.Death Whispered a Lullaby
04.Closure
05.Hope Leaves
06.To Rid the Disease
07.Ending Credits
08.Weakness


 こう来ましたか。彼らの静寂部分を徹底的に追及したアルバム。
 デス声を廃して全編クリーンヴォイスで美メロを歌い上げ、演奏も歪みや重さを取っ払い、ゆったりとした速度で。単純なアンプラグドにはなっていない。
 でも#3などで確認できるように、曲展開の変則性は残っている。彼らがルーツとする、キング・クリムゾンに近い音楽性になってますね。#7辺り特にオマージュを感じます。ちなみに歌詞の残酷さも特に変わってない印象。
 メタルではないけど、これを売れ線に走ったとか、無謀な路線変更と取る人は恐らくいないでしょう。暗い日曜日ばりに、聴いていて鬱々とした感情に襲われるアルバム。底知れない暗黒に誘われる#4が一番心を蝕まれました。
 これは本当に、精神的に危ない時には聴かない方がいい。単に美しいだけではない魔力を感じました。言いすぎ?(2011.2.4)







Ghost Reveries 8th Album


01.Ghost Of Perdition 02.The Baying Of The Hounds
03.Beneath The Mire
04.Atonement
05.Reverie/Harlequin Forest
06.Hours Of Wealth
07.The Grand Conjuration
08.Isolation Years


 元々疑いの余地なんかないくらい素晴らしいテクニックの彼らでしたが、今作ではそれを嫌ってほど味わわせてくれます。
 手を変え品を変え飛び出してくるギターリフ、変幻自在の曲展開、どんな状況下でも一糸乱れぬリズム隊。またキーボードの正式加入を踏まえ、音色が少し華やかにもなってます。#4辺りに顕著で、異国情緒が正にピンクフロイドやキングクリムゾン風のプログレを想起させる。
 もちろんメロディの良さは損なわれていない。ピアノ・アコギ・ストリングスを中心に絡み合う#6はうっとりするくらいの美しさだし、メランコリックな#8も最高の締め。
 輪郭のはっきりしたフレーズを聴かせることを意識したためか、音圧が下がってヘヴィさが少し薄れていますが、これは良い心遣いだと思います。難解そうで凄くとっつきやすいのがいい。プログレが苦手でも楽しめるかと。
 歌もクリーンパートでの表現力が上がって、更に良くなってる。細かいニュアンスの付け方が本当に上手。
 音楽性自体は人を選べど、スペック的には欠点らしい欠点が見当たらない、全ての要素で高得点を叩き出している万能型の一枚(2011.2.5)







Watershed 9th Album


01.Coil
02.Heir Apparent
03.The Lotus Eater
04.Burden
05.Porcelain Heart
06.Hessian Peel
07.Hex Omega


 飽きさせない。本当にこのバンドは飽きさせないです。
 #1では初の試みとなる女性Vo.が登場。寂寥とした空気に合った美しい歌声を披露。ここまではまあ普通と言えば普通ですが、次の曲から段々とイカれてくる。
 今作は2つ、大きな特徴がありまして。一つ目は、わざとらしいくらい曲に緩急をつけていること。そしてもう一つは、心の奥底に潜む恐怖を煽るような、不穏なメロディ付けや音作りをしていること。SEも多用しており、彼らが影響を受けているプログレ色がまた強まってます。基本的にギターヴォーカルのミカエルが曲作ってるんでしたっけ? つくづく悪魔的な作曲能力だ。
 静と動の急転換を繰り返す#2、ブラストビートの上に妙に明るいメロが乗っかったりしている#3、美しくも奇妙なオブリガードを見せるプログレ色の強い#4と、次々と恐慌の雨嵐が天から降るように押しかかってくる。後半ではアコギ率がグッと上がりますが、やはり背筋の凍るような雰囲気は変わらない。
 毎度のことながら歌詞も、生きてるのが嫌になるくらい暗いです。もう落ち込みすぎだろってなくらい。めちゃくちゃ大雑把にしか訳してないから、本当のところはどうか分かりませんが自分はそう感じました。
 真夏に涼みたい時、聴くのがお勧め(爆)(2011.2.6)







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