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People In The Box



1st MiniAlbum Rabbit Hole 2007年 ★★★★★
1st Album Frog Queen 2007年 ★★★★★
2nd MiniAlbum Bird Hotel 2008年 ★★★★★
3rd MiniAlbum Ghost Apple 2009年 ★★★★
2nd Album Family Record 2010年 ★★★★★
4th MiniAlbum Citizen Soul 2012年 ★★★★★








Rabbit Hole 1st MiniAlbum

01.She Hates December
02.Alice
03.ブリキの夜明け
04.夜の人々
05.サイレン
06.鍵盤のない、


 この手の音は凄く困りますね。感想書き辛いから(笑)
 バンプやRAD系列の柔らかいヴォーカルに加え、個々のメロはポップながら、変拍子を駆使したり、何考えてんだってぐらいエグいコード進行で切り込んできたりと、プログレッシヴギターポップとでも言うべき様相を呈している。歌詞も描写は具体的なのに、完全な実体を掴ませない。所々残酷さや救いのなさを匂わせているのも特徴。タイトルや曲名にもあるように、所々『不思議の国のアリス』から引用したような要素はありますが、モチーフやコンセプトにしている訳でもないし。
 フレーズが流動的なため、印象的な1フレーズを掴みにくい。だから抽象的に聴こえるんでしょう。同時に、良くも悪くも覚え辛いという要素も浮かび上がってくるんですが。そして技術をひけらかすのを目的にしておらず、精々煙に巻く程度にしか使ってないからポップに聴こえるのかな。
 適当に聞き流しても楽しめますが、凄く聴き手の感性に訴えてきて、答えを各自用意させるようなバンドといった印象を受けました。夏休みの自由研究みたいなものか(2010.12.25)







Frog Queen 1st Album

1.はじまりの国
2.水面上のアリア
3.犬猫芝居
4.バースデイ
5.失業クイーン
6.泥の中の生活
7.6月の空を照らす
8.ペーパートリップ
9.一度だけ


 ポップさを忘れずに、変わらずひねくれたままの作品。グルーヴ力が一段階上がり、加えて静と動をより上手く使えているようになってます。ほんと新人離れした弾きっぷり。
 #1の間奏や#6の後半部分などのように、グルーヴィーな高速ソロやアグレッシヴな轟音を掻き鳴らす部分も。残響所属らしいと言えば、通じる人には通じますかね。
 ちなみに#9だけはとても普通。アコースティックな弾き語り曲で、ヴォーカルの歌を楽しみたい人には最適。正直歌は上手くないけど。
 気になったのは、前作でもそうでしたが、ベースが部分部分で消えがちになる所。3ピースの音に強いこだわりがあるみたいですから、ベースも目立つようにして欲しかったな。
 前作の正当進化という風に捉えて構わないと思います。ひねくれたバンプみたいな肩書きで、彼らを光としたらこちらは影みたいな地位には……ならないだろうな(2010.12.26)







Bird Hotel 2nd MiniAlbum

01.完璧な庭
02.海抜0m
03.レントゲン
04.月曜日消失
05.昏睡クラブ
06.ヨーロッパ


 ポップさが増し、より洗練された印象。今回は隙間を活かすことに注力しているように聴こえますね。
 Rabbit Holeから続けて聴いていると、より高いレベルへ行くために一つ一つテーマを設けてクリアしていっている、という生真面目さが見て取れるというか。PDSAサイクル?
 児童文学的なモチーフを下地に、現実世界のレイヤーを重ねたみたいな歌詞も、相変わらずいい意味で抽象的。
 総体的な感想としては、Rabiit HoleやFrog Queenと結局同じになってしまうので割愛。これだけ実体を掴ませてくれなかったり、ある程度完成された音を聴かされるともうね。普通の人間では何十回聴いても全てを理解できるか怪しい、魔性の一枚。自分も未だ迷わされています(2010.12.27)







Ghost Apple 3rd MiniAlbum

01.月曜日 / 無菌室
02.火曜日 / 空室
03.水曜日 / 密室
04.木曜日 / 寝室
05.金曜日 / 集中治療室
06.土曜日 / 待合室
07.日曜日 / 浴室


 9mmやte'などを擁する変わり者バンド共の梁山泊(爆)・残響レコード所属の初メジャー音源。
 曲名だけ見た時、カリガリみたいな音楽を期待してたんですが、全然違ってました。
 表層的には下北辺りにいそうな、もやしロッカーが鳴らしてそうなギターポップで聴きやすいものの、その皮を一枚剥がせばやっぱり残響所属なだけあり、変拍子を駆使したり突如カオティックに豹変するアンサンブル、メルヘンの皮を被った無慈悲で残酷な歌詞など、一筋縄ではいかない歪んだ本性が確実に内在している。
 売れ線にもマニアックにも傾きうるというか、境界線を跨いだまま停止しているような所が面白い(2010.1.1)







Family Record 2nd Album

01.東京
02.アメリカ
03.ベルリン
04.レテビーチ
05.旧市街
06.ストックホルム
07.リマ
08.マルタ
09.新市街
10.スルツェイ
11.JFK空港
12.どこでもないところ


 プログレ度が増し、曲展開や各楽器の交錯具合がより複雑なものに。しかし同時にポップさも増しており、とても聴きやすいです。またベースが強く主張するプロダクションもいい。それを抜きにしても、スリーピースとしては非常に高い構成力を有してるかと。
 今作の曲名は世界各国の地名+αで統一されてますが、音に国ごとの個性が出ている訳でもなく、パッと見では歌詞との深い関係もない。なので世界旅行をしているような感覚で聴けるアルバムではないですね。
 歌詞は相変わらずいくらでも深読みできそうな表現を多々用いてますが、バンド的には特定の回答を出してもらうより、自由な解釈を求めている模様。インタビューでもそう答えていたり、CDにそういうメッセージがあったり、歌詞中でも「ちゃちなメタファーでっち上げるな」と言っているくらい。
 ここまで書いてふと思いましたが、この言葉にしづらいモヤモヤ感、Dir en greyの曲を聴いた時の感想に似てるんですね。あちらも似たようなこと言ってたし。硬軟こそ違えど、漠然とした音の傾向やリスナーに自由な解釈を求めるスタンスも共通してますね。
 Dirファンが気に入るかはさておき、小難しく考えるタイプの人も、感覚的に聞き流したい人も楽しめる魔法の一枚ではないかと。きっかけがあれば9mmぐらい売れると思うんだけどなあ(2010.11.4)







Citizen Soul 4th MiniAlbum

01.沈黙
02.親愛なるニュートン街の
03.ニコラとテスラ
04.技法
05.ニムロッド
06.汽笛


 字面上は『Ghost Apple』『Family Record』のようなはっきりしたコンセプト性は薄らいでますね。
 にしても、今作も歌詞が分かり辛い! ちゃちなメタファーをでっち上げようが上げまいが、まるで小学生がジョジョの6〜7部をいきなり読むような感じですよ、自分の頭では(爆)独創性があってよろしいと思います。これぐらいしか浮かばぬ。凍結させてしまおう、思考回路を。
 音的には、轟音が影を潜め、クリーンギターをメインにした力の抜けたバンドサウンドが中心。#2では「ハーイホー!」の掛け声+ハンドクラップ、#3ではぶつ切りブレイクを入れたり、#6ではカントリーな空気を纏ったりと、色々新しいことにも手を出してます。
 ポップだけど耳に残りにくい、独特の変則的な歌メロはそのままなので、パッと聴きでもアイデンティティーは揺らいでいない風に聴こえる。
 無駄のないパーツ構成で組み上げた、時計仕掛けのように精巧で密なサウンド。路線変更とはまた違った意味合いの変化を楽しめます。
 ちなみに自分はCitizenよりCASIOの製品が、何故か結果的に手元へ集まってきます。CASIOの方が好きってことは別にないんですけど、CASIO Soulだったら星が6つになってましたね(2012.2.24)







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