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くるり



1st Album さよならストレンジャー 1999年 ★★★
2nd Album 図鑑 2000年 ★★★★
3rd Album TEAM ROCK 2001年 ★★★★
5th Album アンテナ 2004年 ★★★★
6th Album NIKKI 2005年 ★★★★★
7th Album ワルツを踊れ Tanz Walzer 2007年 ★★★★★








さよならストレンジャー 1st Album

01.ランチ
02.虹
03.オールドタイマー
04.さよならストレンジャー
05.ハワイ・サーティーン
06.東京(アルバム・ミックス)
07.トランスファー
08.葡萄園
09.7月の夜
10.りんご飴
11.傘
12.ブルース


 ロキノン界の大御所と言っても過言ではないバンド・くるりの1stアルバム。
 インスト曲#5・8では後に繋がる実験性を匂わせるものの、全体的にはフォーキーな雰囲気で、言ってしまえば普通。
 一概に悪いとは思いませんが。凄く過去の懐かしさに触れてくるものがあるんですよね。演奏技術はみんな低いですが。疾走系ギターロックの#3や、シャッフルの#9なんて明らかに演奏で損してるし。
 良い点は、ことごとく琴線に触れてくるようなメロディセンスと歌詞。歌詞はこの時点でもかなりのレベルなのではないでしょうか。グダグダ説明的にならず、的確に人恋しさや郷愁といった感情や風景を描き出す。しかも表現自体はシンプルだし。こういう部分でもフォークっぽいかも。
 上京してきた若者向け。きっと懐かしさに胸打たれることでしょう。#2・6だけでも是非聴いて頂きたいですね(2012.8.4)







図鑑 2nd Album

01.イントロ
02.マーチ
03.青い空(アルバムMIX)
04.ミレニアム
05.惑星づくり
06.窓
07.チアノーゼ
08.ピアノガール
09.ABULA
10.屏風浦
11.街
12.ロシアのルーレット
13.ホームラン
14.ガロン(ガロ〜ンMIX)
15.宿はなし


 全体的に、音が攻撃的に変化しているのが特徴。
 前作と同じ演奏力だったらまるで様になっていなかったでしょうが、一応良くなってます。いいんじゃないでしょうか。しかし#3や#11のヘナヘナした歌はダメだ。
 ちょっと変態的な実験性も、インスト以外で徐々に顔を覗かせ始めているし。中盤のカオスな音声が嫌でも印象に残る#12や、スーパーカーの中村弘二がリミックスした#14なんて面白いんじゃないでしょうか。
 他にも、#2の緩急激しい轟音に紛れたフィードバックギター、アウトロだけ雰囲気が変わる#3なんて面白いし、逆に静かに聴かせる#8・10も配備。
 土台部分は割と普通なのに、何故か違和感(革新的、に近い意味で捉えて下さい)んですよね。BUCK-TICKみたい。#4のように、オールドスタイルなロックもこなせるのは面白い。ちなみにこの曲、ベースリフが心地よいです。
 歌詞の方も、懐かしさとは別の面を見せるようになってます。すれ違いですとか焦燥、攻撃的でギスギスした感情が伝わってくる。
 歌声にイライラしなければお勧めです(2012.8.5)







TEAM ROCK 3rd Album

01.TEAM ROCK
02.ワンダーフォーゲル
03.LV30
04.愛なき世界
05.C'mon C'mon
06.カレーの歌
07.永遠
08.トレイン・ロック・フェスティバル
09.ばらの花
10.迷路ゲーム
11.リバー


 1曲目からヒップホップを取り入れた意欲作。全体に食い込んだ電子音が今作最大の特徴ですね。チームロックなんて名付けてるのに、一気にバンドサウンドから遠ざかるという作り。いいのかこれは。
 他にもエレクトロからダンスビート、三味線+シューゲイザーみたいな音、カントリー+ジャズと、様々なジャンルから引っ張って、またはクロスオーバーを行ってます。従来のようなギターロックもあり。
 この変化を自分がどう捉えたかと言いますと、ポップな曲ではプラスに働いてるんじゃないかと。#2や#9のポップさは胸がきゅっとなるくらい素晴らしい。この2曲は一般的な評価に違わぬ文句なしの名曲です。ポップなロックかくあるべきというか。
 あとジャキジャキなギターロック#4、ダウナーなのに柔らかいエレクトロバラード#10辺りもいいですね。
 また、音ではないんですが#6の歌詞。これは凄い。カレーを題材にして、こんな切なさが出せるものなのか。日本語の奥深さを垣間見た気がしました。ちなみに歌詞は全体的に少し飾りっぽくなった印象。
 逆に実験的な要素の強い曲は、そこまで入り込めませんでした。#1は歌も演奏もヒップホップに向いてないようだし、#5もいじり方が足りない気がするし、#7は冗長なだけだし。
 でもトータルで聴くと、いい作品だと思いますよ。面白いことは面白い。最低限、#2と#9を聴いてもらうだけでもお釣りが来るはず(2012.8.6)







アンテナ 5th Album

01.グッドモーニング
02.MORNIG PAPER
03.RACE
04.ロックンロール
05.HOME TOWN
06.花火
07.黒い扉
08.花の水鉄砲
09.バンドワゴン
10.HOW TO GO (Timeless)


 いつの間にかドラムがクリストファーなる人物に代わってリリースされた、5枚目のオリジナルアルバム。
 王道のギターロックに回帰したサウンドなんですが、ドンドンガリガリしたプロダクションから繊細なアコースティックまで、音作りに凝っている印象を受けました。素晴らしい変化ではないでしょうか。 歌も上手いとはまだ言えないにせよ、初期よりも遥かに安定してきてますね。
 代わったドラムも、プロダクション抜きにいい音を叩き出している。#2ではMVP級の活躍で引っ張ってるし、#7では広がりのある雰囲気を出す見事な調節具合。またベースもよく頑張っていて、派手には動かずとも中々の雰囲気作りぶり。くるりというバンドが練り上げたアンサンブルの結晶とも言える#6なんか、特にその中核を担ってるし。
 一番気に入ったのは#4。純粋なロックンロールって感じでいいですね。何か奥田民生とかを思い出す。トリビュートでこの曲をカバーしてたのはandymoriでしたが。
 女性ヴォーカルが裏で絡む怪しげな#5、オリエントな雰囲気を醸し出しつつも、妙な気持ち悪さのある#8もインパクトがある。
 この作品の方がチームロックって感じがしますね。ロック=衝動、みたいな固定観念がないのならお勧めです(2012.8.7)







NIKKI 6th Album

01.Bus To Finsbury
02.Baby I Love You
03.Superstar(Album Edit)
04.雨上がり
05.Tonight Is The Night
06.Birthday
07.お祭りわっしょい
08.冬の亡霊
09.赤い電車
10.Long Tall Sally
11.虹色の天使
12.Ring Ring Ring!
13.(It's Only) R'n R Workshop!


 クリストファー脱退後のアルバム。
 分かりやすいくらい技術が向上した訳でも、タフになった訳でもないんですけど、前作よりも更にロックンロールしている。ソフトな感触なのに、単純にカッコいいんですよね。
 全体的にビートルズとか、あの辺の時代へのリスペクトが透けて見えるというか。もっと単純に言うと演奏は洋楽的なアプローチで、メロディは邦楽ロック的。
 個人的には#13の柔らかさが、何故か胸を締め付けられました。中盤でギターの種類を次々言っていく所がもうたまらない。『TEAM ROCK』の頃を思い出す、アコースティックなバンドサウンドに絡んでキュートな電子音が鳴る#9も良いですね。
 マニアックさを求めてる人には物足りないかも知れませんが、自分はこれだけ割り切ってやってるならアリだと思います。普遍性で、聴く人の胸を打つだけの能力は十分に備わっているということを、改めて証明したようなもんだし(2012.8.8)







ワルツを踊れ Tanz Walzer 7th Album

01.ハイリゲンシュタッド
02.ブレーメン
03.ジュビリー
04.ミリオン・バブルズ・イン・マイ・マインド
05.アナーキー・イン・ザ・ムジーク
06.レンヴェーグ・ワルツ
07.恋人の時計
08.ハム食べたい
09.スラヴ
10.コンチネンタル} 11.スロウダンス
12.ハヴェルカ
13.言葉はさんかく こころは四角
14.ブルー・ラヴァー・ブルー (Bonus Trk.)


 クラシックとのクロスオーバーを図った作品。
 ロックとクラシックの融合自体は別に真新しくはないんですが、この作品はアプローチの手段が特殊です。岸田繁のノスタルジックなメロディセンス&詞世界と、クラシックのダイナミズムや切迫した空気感の美しき融合ですね。
 バンドサウンドも思いのほか食われておらず、ちゃんと軸になってるのは好印象。例えばミスチルとかだったら、こうはいかんでしょ。
 聴いた上で勝手に思ったことですが、そもそもロック×クラシックを斬新だと思ってやってなさそうで、あくまで表現するための手段と考えてるように思えました。曲によっては普通にバンドサウンド優先になってるものもありますし、極端に音がクラシックに寄ってる訳でもない。
 彼らの作品を全て聴いてはいないんですが、個人的にはこれが最高傑作。どの曲も様々な表情があって良いんですが、ベストトラックは#2かな。寓話的な切なさで淡々と進めながら、アウトロで一気に爆発・上昇させていく展開が何回聴いても最高(2012.8.9)






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