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サカナクション



1st Album GO TO THE FUTURE 2007年 ★★★★★
2nd Album NIGHT FISHING 2008年 ★★★★★
3rd Album シンシロ 2009年 ★★★★
4th Album kikUUiki 2010年 ★★★★★
5th Album DocumentaLy 2011年 ★★★★★








GO TO THE FUTURE 1st Album

01.三日月サンセット
02.インナーワールド
03.あめふら
04.GO TO THE FUTURE
05.フクロウ
06.開花
07.白波トップウォーター
08.夜の東側


 これを書いている現在、最もノっている若手バンドの一つであるサカナクションによる1stアルバム。
 いわゆる『踊れるロック』系のバンドサウンド。その中でも、あくまで歌とメロディを大事にしている姿勢が特徴で、その点が彼らをロック寄りのバンドと位置付ける大きな要因か。基本的に歌にエフェクトをかけないし。あとゴテゴテ音を装飾せず、すっきりシンプルなのも個人的にはポイント高し。
 基本的に音の主導権はキーボードが握っている印象ですが、時にはアコギを使ったり、ベースが跳ねて引っ張ったりしてくるのも面白い。
 このようにアレンジ能力や構成力が高く、一本調子・単調になりがちなこの手の音をしっかりメリハリつけて飽きさせずに聴かせられているのはいいですね。バンドのアイデアを的確に描写できている感じ。
 前述したように、歌を大事にしているので、ヴォーカルは無機質ではなく体温のある歌唱。が、決して上手くはないです。自分は平気でしたが、人によっては気持ち悪く聴こえるタイプ。
 あと個人的には音だけでなく、歌詞も良かったですね。内省的で情緒的、また『揺れる』表現がやたらと目立つ。歌詞でもグルーヴを意識してるのだとしたら、何気に細かいこだわり。
 日本人の琴線に触れるメロディが素晴らしい#1、シンプルなループが心地いい#2、3rd〜5th辺りのACIDMANのミディアム曲を彼らがカバーしたような#6、後ろ髪を引かれるような幻想的ムードの#8が特に良かった。
 楽器の鳴り方とかに興味がない人間でも、良質のポップなロックアルバムとして聴けるかと。歌唱力が気にならなければ(2011.10.2)







NIGHT FISHING 2nd Album

01.ワード
02.サンプル
03.ナイトフィッシングイズグッド
04.雨は気まぐれ
05.マレーシア32
06.うねり
07.ティーンエイジ
08.哀愁トレイン
09.新しい世界
10.アムスフィッシュ


 前作からの大きい変化はなし。メンバーのコーラスを入れた#3、インスト曲#5、沖縄音楽っぽい#9のような新しい試みや、音の厚薄でも緩急をつけてくるようになった、歌唱力が多少向上したなどのレベルアップ要素はありますが。
 なので前作から正しく一歩前進したアルバム、という捉え方でいいんじゃないでしょうか。なので前作よりもこちらを……と言いたい所ですが、是非前作と併せて聴いてもらいたいです。どちらも甲乙つけ難いグッドなアルバムですので(2011.10.3)







シンシロ 3rd Album

01.Ame(B)
02.ライトダンス
03.セントレイ
04.ネイティブダンサー
05.minnanouta
06.雑踏
07.黄色い車
08.enough
09.涙ディライト
10.アドベンチャー
11.human


 明らかにポップに傾いている、通算三枚目のアルバム。
「なーにセルアウトしとんじゃこの野郎!」と普通なら罵倒しかねない所ですが、このバンドにとっては野暮な言葉。何故なら元々ポップだからである。
 具体的に挙げると、"音数が増えた&隙間を音で埋めたがるようになった"、"歌詞が外向的になりつつある"この二つですね。
 要は人気が出たり、メジャーデビューしたバンドによくある傾向である(笑)両方とも地盤があった上で、かつ説得力を含んだ上での変化だから個人的にはアリですけど。やっぱりアレンジ能力が高いと強い。
 それにポップなだけじゃなく、より先鋭的な音を目指すことも忘れてはいないようですし。細かさ・複雑さを含んだフレージングも度々飛び出してきます。
 単純に完成度だけを見たら今までの2作を上回っているんですが、それでも自分は過去の作品の方が好きだな。ポップさを意識してるのが嫌だからじゃなく、隙間を活かす上手さに惚れ込んでた、というのがあったから。無論、今作も素晴らしい作品であることに疑いの余地はありません(2011.10.5)







kikUUiki 4th Album

01.intro = 汽空域
02.潮
03.YES NO
04.アルクアラウンド
05.Klee
06.21.1
07.アンダー
08.シーラカンスと僕
09.明日から
10.表参道26時
11.壁
12.目が明く藍色


 陳腐な一言ですが、シンシロからの正当進化って感じ。
 一応ちょっとは突き詰めてみると、まずバンド色がグッと強くなった。そしてどことなくアジカンに似てきた。機械的なフレーズに徹していたドラムが有機的に叩くようになった所とか。やっぱり上手い。
 と思えば今まで以上にフロアっぽさが増した曲も出てきたり。二極化が進んできたと言うのもちょっと違うんですよね。
 とりあえず、滲み出る哀愁がたまらない#4・10、大胆な曲展開を見せる、彼らにしてはロングナンバーな#12辺りが特に良かった。
 あと#6。これまでのインスト曲は個人的にちょっと足りなさを感じていたんですが、今回はいい!「これで歌が乗っかったら他の曲とあんま変わんなくね?」みたいな意見が微かな煙ほども浮かんでこない。
 にしてもこの、大衆をノらせながらもロック好きをも唸らせてしまうセンスの良さは本当に素晴らしいですな。聴いた感じ、軸も昔っからずっとブレてないし。ダンスミュージック好きがどう思うかは分かりません、すみません(2011.10.6)







DocumentaLy 5th Album

01.RL
02.アイデンティティ
03.モノクロトウキョー
04.ルーキー
05.アンタレスと針
06.仮面の街
07.流線
08.エンドレス
09.DocumentaRy
10.『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
11.years
12.ドキュメント
13.ホーリーダンス (Like a live Mix) (bonus track)


 あまり変わっているようには聴こえないんですが、元々ハイレベルなバンドなので高値安定と取れますね。とりあえずリズムへの意識が一層高くなってます。多彩。
 ただの淡々とした刻みにも意図が見えますし。現代社会の忙しなさと無機質さを表現している#6とか。
 中盤に静かな曲が集まってますが、退屈さは感じませんでした。むしろ彼らの作り込み具合が良く分かって、逆に感心させられた。それにこういうタイプの方がかえってグルーヴを感じやすい。余計な装飾で誤魔化せない分、真価が問われるので。過去の曲を聴けば分かるように、このバンドは元々シンプル寄りの方を得手としてましたからね。
 歌詞は#2が一番共感しやすいんじゃないでしょうか、若者は。個人的に一番気になったのは#12。
「今までの僕の話は全部嘘さ この先も全部ウソさ」なんというどんでん返し。夢オチ級。別に創作だろうが実体験だろうが、面白ければ構いませんけど。
 で、締めは「愛の歌 歌ってもいいかなって思い始めてる」セルアウト予告? 愛って言っても恋愛とは限らないけどさあ。そもそも彼らの曲に歌詞の良さを求めていないので、究極的にはどっちでもいい。
 叙情的なメロも殺されておらず、しっかり引き立っているので歌物としても聴ける。今作もロック、ポップス、ダンスと、器用貧乏になることなく多彩なジャンルをいいとこ取りしてます。良く出来てますね(2012.1.21)







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