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Sonata Arctica


1st Album Ecliptica 1999年 ★★★★
2nd Album Silence 2001年 ★★★★★
3rd Album Winterheart's Guild 2003年 ★★★★★
4th Album Reckoning Night 2004年 ★★★
5th Album Unia 2007年 ★★★★★
6th Album The Days of Grays 2009年 ★★








Ecliptica 1st Album

01.Blank File
02.My Land
03.8th Commandment
04.Replica
05.Kingdom for a Heart
06.FullMoon
07.Letter to Dana
08.UnOpened
09.Picturing the Past
10.Destruction Preventer
11.Mary-Lou


 フィンランドのメロスピバンド・Sonata Arcticaの1stアルバム。メタラーの間では有名かと思います。
 一言で言えば、キラキラ・疾走・クサいと三拍子揃った典型的な北欧メロスピ。しかしこれだけキッチリやってくれれば最早文句などありません。
 メロスピ系の中でも、かなり聴きやすいメロディを推してきているのが特徴。曲の主導権を、もっぱらヴォーカルが握っているからそう聴こえるんでしょうか。ギターはほぼリズムギターに徹しているような、ともすれば退屈に聴こえるかもしれないプレイだし、キーボードもフィーチャーされているものの、立場的には味付け。
 ヴォーカルはかなりハイトーン(メタル系って大体そうだけど)で、キーが上がりまくると、声は出てるけど何言ってるか分からなくなるのはご愛嬌。どうせ英語だし。
 ソングライティング能力が高いんでしょうね。複雑な機構でなくとも、まとまると良く聴こえる物を生み出している辺り。印象が被ってる曲もいくつかあるんですけど、そこは様式美の一環ということで。
 また、歌詞も良いです。全体的に悲劇の物語色が強めで、ちゃんと単独で完結している。ファンタジックな部分と現代的な部分、両方見せてくるのも特徴。曲と違って詞は振り幅がけっこう広いようです。
 特に#1は先見性を感じますね。ある意味Googleがもたらすかもしれない最悪のパターンを予測しているとも取れます。
 いい意味でメタル初心者向けのアルバムだと思います。マリオカートで言うノコノコやキノピオ。「北欧メロスピって何から聴けばいいの?」と考え始めたら、真っ先にこれを選んで問題ないでしょう(2012.9.26)






Silence 2nd Album

01....of Silence
02.Weballergy
03.False News Travel Fast
04.The End of This Chapter
05.Black Sheep
06.Land of the Free
07.Last Drop Falls
08.San Sebastian (Revisited)
09.Sing in Silence
10.Revontulet
11.Tallulah
12.Wolf&Raven
13.Respect the Wilderness
14.The Power of One


 前作の正当進化形、という捉え方でいいんじゃないでしょうか。
 語りが入ったり、瞬間的にデス声を織り交ぜたり、短いインストがあったり、ギターとキーボードが前に出てくるようになったり(前作はヴォーカルとキーボードが兼任でしたが、今作以降はキーボード専門のメンバーが参入)、単純に前作よりやることの幅を広げてきています。
 全曲キラーチューンと言ってもいいくらい、いずれの曲も印象に残りやすいですし、クオリティが高い。特に、バラード曲の出来が前作以上に良いですね。叙情的でドラマティック、何より聴きやすい。メタル系の音に耐性があまりない方でも聴けると思います。
 歌詞も若干、コンセプチュアルなまとまりが出ている印象。やはり総体的には冷えていて欝っぽいイメージ。
 昔ほどメタルに入れ込まなくなった今聴いても「いやーやっぱり美旋律っていいもんですよね」と思わずにはいられなくなります。それほどの臭気を放つ逸品でございます(2012.9.27)

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 『ブラックシープ』『セバスチャン』といえばこれでしょう。






Winterheart's Guild 3rd Album

01.Abandoned, Pleased, Brainwashed, Exploited
02.Gravenimage
03.The Cage
04.Silver Tongue
05.The Misery
06.Victoria's Secret
07.Champagne Bath
08.Broken
09.The Rest of the Sun Belongs to Me
10.The Ruins of My Life
11.Draw Me


 曲構成力に磨きをかけつつ、新機軸へのシフトチェンジを徐々に図ってきた印象のあるアルバムです。#4・7辺りはメロスピをやりながらシャッフルだとか三連譜だとか、変則的な手法を噛ませてきてて面白いです。あと全体的に間奏がド派手。
 従来通りの疾走美旋律曲も完備しているので、そういうのが欲しいそこのアナタも満足してもらえるでしょう。存分に悶絶していって下さい。
 個人的に感じたことなんですが、今作はより日本人の琴線に触れるクサメロを突いてきてるなと。#5・6辺り以外は別に歌謡曲っぽいとか、そういうことではないんですが。
 ヴォーカル・キーボード・ドラムが頑張りまくってて、間奏以外のギターは相変わらずちょっと物足りないというか、単調さを覚えることが。このバンドの作曲力なら、ギターがもっと動き回ってもゴチャつかせず聴かせられると思うんですけど。それかもっと印象的なリフが欲しい(2012.9.30)






Reckoning Night 4th Album

01.Misplaced
02.Blinded No More
03.Ain't Your Fairytale
04.Reckoning Day, Reckoning Night
05.Don't Say A Word
06.The Boy Who Wanted to Be a Real Puppet
07.My Selene
08.Wildfire
09.White Pearl, Black Oceans...
10.Shamandalie
11.Wrecking the Sphere


 この辺りから、メロスピ→メロパワ、時々シンフォニックへの移行が始まってきてます。ツーバスドコドコを減らしたりして。
 世界観にこだわるあまり、1曲辺りのインパクトが薄まってしまった感が。個人的には疾走を重視している訳ではないので、頻度が減っても構わないんですが、今作で好きな曲って何?と聴かれれば、やはり#1・3・7・8・11辺りの疾走系を挙げてしまいますね。
 #2みたいなのはちょっと退屈すぎる。演奏にもメロディにも捻りがなさすぎて。#10のように、アコースティック入りでじっくり聴かせることに特化してるならまだいいですが。
 物語色の強めな歌詞は相変わらずいいですね。#3なんて、映画『ネバー・クライ・ウルフ』に合いそう。北欧じゃなくて、確か北極辺りが舞台だけど。
 恋愛が絡むと、やっぱり若干自己陶酔的になるんですけど、曲には合ってると思います。所々で怒りが勝った詞を混ぜて来るのもまた引き締めてくれるし。
 最後に一言言いたいんですが、雰囲気作りにこだわるなら最後(厳密には12曲目扱い)のジャムセッションみたいな隠しトラックいらなくない?(2012.10.2)






Unia 5th Album

01.In Black And White
02.Paid In Full
03.For The Sake Of Revenge
04.It Won't Fade
05.Under Your Tree
06.Caleb
07.The Vice
08.My Dream's But A Drop Of Fuel For A Nightmare
09.The Harvest
10.The Worlds Forgotten, The Words Forbidden
11.Fly With The Black Swan
12.Good Enough Is Good Enough
13.They Follow
14.Out In The Fields
15.My Dream's But A Drop Of Fuel For A Nightmare(Instrumental)


 ついに初期のメロスピ路線を北欧の雪の下へと埋めて捨ててしまった5枚目のアルバム。
 そのため発売当時は賛否両論真っ二つでしたが、僕は完全に"賛"。前作で感じた物足りなさを見事に解消しているから。
 十分練り込んで作ってきたと思いますよ。クラシックやプログレ辺りからの影響を、ちゃんと血肉にできていますし。全てを取り込んでガチムチになることが、必ずしも正しいとは思わないんですよね。特にこのバンドが本来主力の武器にしていたのは、キャッチーなメロディですから。
 メタル+クラシックやオペラと言いますと、やはりRhapsodyが思い浮かぶでしょうが、それとはまた違った融合のさせ方。こういうシアトリカルな雰囲気も面白い。メロディを殺さぬまま、曲をレベルアップさせているのではないかと。
 音も良くなってますね。特にギターの質感が重くなって、グッと説得力が出た。歌唱力はRhapsodyのファビオ先生や、Queenのフレディ・マーキュリーよりは流石に見劣りしますが、とりあえずこの手の楽曲を歌うには及第点のレベルだと思います。
 今作は、生粋のメタラー以外のリスナーの方が楽しめるアルバムではないかと(2012.10.4)






The Days of Grays 6th Album

01.Everything Fades to Gray [Instrumental]
02.Deathaura
03.Last Amazing Grays
04.Flag in the Ground
05.Breathing
06.Zeroes
07.Dead Skin
08.Juliet
09.No Dream Can Heal a Broken Heart
10.As If the World Wasn't Ending
11.Truth Is out There
12.Everything Fades to Gray [Full Version]
13.In My Eyes You're a Giant


 今更疾走メロスピに戻るわけもない、6枚目のスタジオアルバム。
 うーん、改めて聴き直してみても、これは良くなかった。前回感想を書いた時点ではUniaをまだ聴いてなかったんですが、『Ecliptica』から通して聴いてみると、やっぱりダメだよなと。また『Reckoning Night』の頃の中途半端な雰囲気に戻ってるんですね。
 特に中盤のミディアム曲連発部分。やっぱり同じような曲ばっかりに感じる。何かもう、あまりメタルですらなくなってきてるというか。
 日本でも似たような現象を、V系バンド辺りで見られますよね。メジャー行って売れたりすると、今まで積み上げた音楽性を落雷したバベルの塔のように崩壊させ、全く違うような音楽になると。人はそれをセルアウトと呼ぶ。
 ソナタも母国では人気バンドの一つに数えられるようですが、フィンランドでもそういう現象があったりするんですかね? フィンランドの音楽シーンには詳しくないから、よく分からないんですけど。
 とりあえず、こういう路線ならもっとメロディを押し出した方がいいのでは。展開はともかく、演奏も割と地味だったりするから。そしてプログレ色をより濃くしたいなら、もっと徹底的に複雑にするとか。
 序盤の曲はおっと、思わず引き込まれてしまうんですけどね。アルバムの雰囲気とは別の意味でメランコリックになる一枚でした(2012.10.5少し改稿)








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