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Sound Horizon



Album Chronicle 2nd 2004年 ★★★★
Album Elysion 〜楽園への前奏曲〜 2004年 ★★★★★
4th Album Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜 2005年 ★★★★
5th Album Roman 2006年 ★★★★★
6th Album Moira 2008年 ★★★★
7th Album Marchen 2010年 ★★★★★








Chronicle 2nd Album

01.黒の預言書
02.詩人バラッドの悲劇
03.辿りつく詩
04.アーベルジュの戦い
05.約束の丘
06.薔薇の騎士団
07.聖戦と死神 第一部「銀色の死神」
08.聖戦と死神 第二部「聖戦と死神」
09.聖戦と死神 第三部「薔薇と死神」
10.聖戦と死神 第四部「黒色の死神」
11.書の囁き
12.蒼と白の境界線
13.沈んだ歌姫
14.海の魔女
15.碧い眼の海賊
16.雷神の左腕
17.雷神の系譜
18.書の魔獣
19.キミが生まれてくる世界
20.<ハジマリ>のChronicle


 彼らが初めて製作したアルバムのリメイク版だそうです。
 頻繁に挿入されるナレーションと、ミュージカルのように音楽に乗せて歌われる台詞。黒の預言書だの組織だの詩人だの騎士だのといった設定に、いかにもな台詞回しやルビ。中世ファンタジーRPGのBGMを通過してできたような曲etc...  コッテコテな中世ファンタジーを徹頭徹尾、恥ずかしげもなくシアトリカルに表現し切っているのは凄い。洋モノ特有のバタ臭さはやや薄められており、オタ向けにカスタマイズされていますが。
 自主制作ゆえ打ち込み中心の音はチープですが、それがまたいい意味でB級っぽさが出ていて味があります。ソングライティング能力は高いと思う。特に構成力が高い。上でも少し触れましたが、RPGのBGMを作るのにも向いているのでは。
 要であるストーリーですが、基本的には悲劇的な物が多め。核心や結末が不明確なのも特徴ですが、これは意図的なものだそうです。考察や議論好きのオタ層を煽る上手いやり方だ(爆)計算してのことかどうかは分かりませんけど。
 この頃は声優を起用していないので、Vo.が登場人物の語りも兼任。女性側(Aramary)は線が細く高音域まで届くタイプの歌声で、演技でも一人二役をやったりなどそこそこ器用。ただ純粋な歌唱力や演技力が高い訳ではありません。男性側(Jimang)はかなりクセのある声ですが、それが妙にナレーションや演技とマッチしていて面白い。
 ゲームのドラマCD、ミュージカルのライヴCDみたいなものに拒絶反応が起こらなければ楽しめるのではないでしょうか。自分が聴いた限り矛盾点は感じられなかったし、よく作り込まれている。
 世間一般がイメージする、オタク音楽の形の一つを具現化したような存在なので、そこに耐性がなければ絶対無理。まかり間違っても、渋谷のクラブで狂喜乱舞しているようなサグな男女には勧められません(爆)
 ネガポジどちらにせよ、聴いてみて何の感情も湧いてこないということはあまりないと思われるので、人の心を動かすという意味では非常に優秀な一枚(2011.1.24)







Elysion 〜楽園への前奏曲〜 Album

01.Ark
02.辿りつく詩
03.恋人を射ち堕とした日
04.澪音の世界
05.魔法使いサラバント
06.雷神の系譜
07.檻の中の花
08.Yield


 過去に発表した曲と、次作からの先行発表曲で構成されたアルバム。なのでアルバム通してのコンセプト性がなく、短編集のような構造になってます。
 色々な面を見せたかったのか、疾走ロック系の#1、民族音楽風の#2・8、ヴァイオリンが美しすぎる#4(澪音で『れいん』と読ませるなんて、これDQNネームだよな(爆))、アラビアンな#5、フランスの風景が浮かんでくるジャズワルツ#7と、曲調のバラエティが豊富。
 そしてどの曲もメロディがいい。アルバム単位でのコンセプトやストーリーがないから、歌曲の力が強いものを選抜してきたからか。これはいい選曲。Chronicle 2nd以外昔のアルバムを聴いたことはないんですが。それにしても昔からこれだけの曲を作れていたというのは凄いな。そりゃ人気出るよなあ。
 入門編には最適。自分もこれから入って、他のアルバムへ進みました。聴く人間を凄く選ぶから、まず入門するまでが問題なんですけど(笑)(2011.1.25)







Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜 4th Album

01.エルの楽園[→ side:E →]
02.Ark
03.エルの絵本【魔女とラフレンツェ】
04.Baroque
05.エルの肖像
06.Yield
07.エルの天秤
08.Sacrifice
09.エルの絵本【笛吹き男とパレード】
10.StarDust
11.エルの楽園[→ side:A →]


 今作は全体的に、ストーリーテリングにより比重をかけているので、曲を楽しみたい派には少々物足りなく映るかも。勇壮なオーケストラに乗せて兵隊が白刃をぶつけ合う……みたいなのもないので、あまりクサメタラー向きでもない。
 そんな今回のストーリー、ジャケット等も含めて色々仕込みがしてあるようですが、詳細な考察などはファンサイトの方が綿密に行っているので、ここでは割愛。しかし幾つか考察サイトを巡って読んでみたんですが、ここまで十重二十重にレトリックを駆使してストーリーを構築しているのは凄いな。}  このように敷居が高く、楽園・奈落サイド両方とも音はキャッチーなものの、ストーリーまで考えて聴くと初心者には少しとっつきにくく感じるかも。感覚的に聴いちゃうという聴き方も、もちろんアリで可能です。言葉に頼りすぎず、きちんと音と連携して世界の表現に注力しているので。個人的にはそこが一番評価できるポイント(2011.1.26)







Roman 5th Album

01.朝と夜の物語
02.焔
03.見えざる腕
04.呪われし宝石
05.星屑の革紐
06.緋色の風車
07.天使の彫像
08.美しきもの
09.歓びと哀しみの葡萄酒
10.黄昏の賢者
11.11文字の伝言


 Revoと双璧を成すオリジナルメンバー・Aramary脱退後、初めてのフルアルバム。
 表現の要であったAramaryを失い、一体どうなる……と思いきや待っていたのは更なる豪華な環境でしたの巻。
 今作では人気声優を十数名起用しており、聴き手を物語へと没入させる引力がより強いものに。1曲目から大塚明夫ボイスで「幻想物語(ロマン)、第五の地平線!」なんてナレーションをされちゃあ、テンションを上げない訳にはいかない(笑)また曲の終わりに能登麻美子と田村ゆかりが交互に「そこにロマンはあるのかしら…」と呟いており、個人的にはたまらん(爆)
 ヴォーカルも男2人、女5人の計7人と大所帯で、遂に曲作りだけでは満足できなくなったかRevoもヴォーカルを取るように。やめといた方が……まあぶっちゃけカラオケレベルの下手さです(爆)
 女性陣はみんなアルバムに合ってるし、歌唱力的にもとりあえず安心。またFF10で主題歌を歌っていたRIKKIも参戦しており、グインの効いた歌唱で艶やかにアルバムを彩っております。
 演奏隊もかなりの大人数を使っており、全体的に曲周りのプロダクションが向上。ドラムの打ち込み臭さは解消されてませんが。同時に1曲ごとの情報量も増した印象が。悪い意味でゴチャゴチャはしてないし、いい傾向だとは思います。 ちなみに今作から作品毎に第二使用言語を切り替える傾向が見受けられ、今作ではフランス語を多く使用している。
 曲単位で一番印象に残ったのは、キャッチーで美しく流麗なメロディを持つ#5。歌詞に『澪音の世界』とのリンクも見られ、アウトロでは同曲のストリングスが入る演出も。Jimangの胡散臭さ極まりない声が、彫刻家のキャラ設定とアホみたいにマッチしている#7もインパクト大。
 他には、チャート上位に来そうな曲をサンホラ風にアレンジしたような、美しくも哀しく儚い季節の巡りを感じさせる#8もいい。
 Aramaryで聴きたかったとか、新ヴォーカルが演じ切れていないとか、色んな不満もあるようですが、自分はそこまで気にならなかったです。そこまで熱心なファンではないからでしょうか。まあ、納得できる部分もありますが(2011.1.27)







Moira 6th Album

01.冥王
02.人生は入れ子人形
03.神話
04.運命の双子
05.奴隷市場
06.雷神域の英雄
07.死と嘆きと風の都
08.聖なる詩人の島
09.遥か地平線の彼方へ
10.死せる者達の物語
11.星女神の巫女
12.死せる乙女その手には水月
13.奴隷達の英雄
14.死せる英雄達の戦い
15.神話の終焉
Bonus.神の光

※実際の曲名は全てギリシャ語が割り振られているが、ここでは割愛


 今作はTM NETWORKの宇都宮隆、『タッチ』で有名な岩崎良美といった、この手のアーティストとはあまり縁のなさそうな人達まで参加している。アニソン歌った経験があるくらい?
 後者は見事にマッチしてますが、前者は何か違う。というか声がRevoと似てますね。歌唱力は流石に違うけど。その為の起用?
 今回の曲調ですが、いわゆるクサメタラーやファンタジーRPGプレイヤーの大好物な音が詰まってます。多層的なコーラスワークを多く使っているのも特徴。
 シンフォニックメタル#1はNightwishを思い出さずにはいられない。出来なくてもコサックダンスしたくなる#2はJimangにクソワロタwwwwww でもこの人順当なスキルも確実にアップしてますよね。
 勇壮なBGMに導かれる#6、コーラスワークを駆使しながらプログレッシヴな展開を見せる#7、初期の曲を思わせる#10、女性Vo.のハモリが美しい#11、メロスピも入ってるシンフォメタル#13・14などが特にそういうタイプか。
 そして今回のストーリー、ギリシャ神話を知っているとより楽しめますね。ただし聖闘士星矢は除く(爆)彼らの作品の中でも比較的考察しやすい部類に入るのでは(2011.1.28)







Marchen 7th Album

01.宵闇の唄
02.火刑の魔女
03.黒き女将の宿
04.硝子の棺で眠る姫君
05.生と死を別つ境界の古井戸
06.薔薇の塔で眠る姫君
07.青き伯爵の城
08.磔刑の聖女
09.暁光の唄


 同人上がり組では最大級の勝ち組と思われる音楽軍団の7thアルバム。ちなみに今作の曲名、縦に並べると椎名林檎みたいにシンメトリーになってます。あ、でも字数だけでなくタイトルの意味もシンメトリーなのか。
 今作は『残酷な童話世界の復讐』がテーマのようで、どの曲も後半の「さぁ、復讐劇を始めようか」をトリガーに、詞曲ともに劇的な展開を披露。グリム童話とか七つの大罪とかを盛り込んでる感じ。
 一般的にも知られている物語を下敷きにすることで、ストーリーの把握がしやすくなったんではないでしょうか。
 また歌詞にコミカル色が強く出ており、現代的なくだけた言葉遣いもしばしば登場。ゲストは声優や歌手だけでなく、元宝塚の人や子役を起用することで更に表現の幅を広げてます。何故Romanの時のように能登麻美子をまた呼ばない!(超個人的意見)
 曲は今までよりもHR/HM寄りに傾いており、バンドサウンドが目立ってます。演奏陣にYUKIやマーティ・フリードマン、淳士といったそっち畑のプレイヤーを招聘しているからですかね。個人的にはありがたい(?)変化。
 性欲を持て余している大塚明夫が楽しめる(爆)#7が一番気に入りました。持て余しすぎて歌まで歌っちゃってますよ! 栗林みな実も色んな意味でいい仕事してます。
 個々のインパクトの強さは随一。まず、クラシックから多数引用している#1。しかし初音ミクが飛び出してきたのは笑ってしまった。いくらなんでもボーカロイドはないだろうと。そして東北弁みたいな訛りでクサメロを歌う#3、どポップな曲調に物凄い歌詞が乗る#5などなど。
 そんな感じでマンネリもなく上手に変化をつけ、今まで以上に遊びを入れている、余裕すら感じさせる貫禄の一枚。
 初見リスナーでも楽しめるかと思いますが(ただし特性上凄く人を選ぶし、内輪向けの面も強い)、他のアルバムも併せて聴いた方が絶対いいですね。今回も色々とリンクしてますし(2011.1.4)







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