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スピッツ



1st Album スピッツ 1991年 ★★★★★
2nd Album 名前をつけてやる 1991年 ★★★★★
Mini Album オーロラになれなかった人のために 1992年 ★★★★
3rd Album 惑星のかけら 1992年 ★★★★★
4th Album Crispy! 1993年 ★★★
5th Album 空の飛び方 1994年 ★★★★★
6th Album ハチミツ 1995年 ★★★★
7th Album インディゴ地平線 1996年 ★★★★
8th Album フェイクファー 1998年 ★★★
Special Album 花鳥風月 1999年 ★★★★
9th Album ハヤブサ 2000年 ★★★★★
10th Album 三日月ロック 2002年 ★★★
Special Album 色色衣 2004年 ★★★★
11th Album スーベニア 2005年 ★★★
12th Album さざなみCD 2007年 ★★★
13th Album とげまる 2010年 ★★★★★
Special Album おるたな 2012年 ★★★★★








スピッツ 1st Album

01.ニノウデの世界
02.海とピンク
03.ビー玉
04.五千光年の夢
05.月に帰る
06.テレビ
07.タンポポ
08.死神の岬へ
09.トンビ飛べなかった
10.夏の魔物
11.うめぼし
12.ヒバリのこころ


 これを書いている今も、現役でセールスと人気を維持し続けるバンド・スピッツの1st。今聴いても古臭さがなく、瑞々しさに溢れているのは凄いな。
 アコギも絡めたポップなギターロックを主軸としながらも、所々に隠し持ったロックやパンクな衝動を突き出してくる。そして高い演奏技術。#6の強弱を意識したプレイなんて、草野マサムネ以外のメンバーが決して単なるおまけではないということを、まざまざと証明してくれる。
 そして、擬音語や擬態語を駆使した柔らかい感触ながら、毒やニヒリズムを匂わせる、独特の世界観を持った歌詞。世間一般から抱かれているイメージとは大分距離があると思います。#8とかあまり想像つかないんじゃないんですかね。#11のようにシュールでふざけ気味な詞も書けるってのがいいね。草野氏がPeople In The Boxを推してるのは、かつての自分に似た物を持ってるからなのかなと、聴き直してて思った。
 言うまでもなく、メロディもグッド。コード進行やフレージングなどは基本的にシンプルなのに、これだけ面白い物を作ってしまう辺り、卓越した才能の持ち主なんだろうなと。やはり天才か……(2012.3.5)







名前をつけてやる 2nd Album

01.ウサギのバイク
02.日曜日
03.名前をつけてやる
04.鈴虫を飼う
05.ミーコとギター
06.プール
07.胸に咲いた黄色い花
08.待ち合わせ
09.あわ
10.恋のうた
11.魔女旅に出る


 デビュー作から1年も空かずにリリースされた2ndアルバム。大きな音楽性の変化はなく、バージョンアップのような内容となっております。演奏的な部分で、押す時は押す、引く時は引く、という曲単位でのコントラストが前作よりはっきりしてるのが分かりやすい変化ですかね。
 特にギターが良い。時にシューゲイザーみたいなフィードバックを効かせたりして、甘酸っぱいメロディをより引き立ててくれる。#5のイントロやサビでは、正に鈴虫を表現したような音を出してるし。サウンドメイクのセンスも優れてるということを教えてくれます。
 どの曲もいいんですけど、自分は最後の曲が一番好きかな。ストリングスを上手く導入して、アルバムの締めを感動的に演出しています。
 すっごく濃い作品ですね。マニアックだとかコアじゃなく、センチメントを突き詰めてきたような。かつ、色んな要件をバランス良くハイレベルで満たしている。素晴らしいです。大した奴だ……(2012.3.6)







オーロラになれなかった人のために Mini Album

01.魔法
02.田舎の生活
03.ナイフ
04.海ねこ
05.涙


 オーケストラを盛り込んだ、コンセプチュアルなミニアルバム。前作のラストナンバー『魔女旅に出る』を継承した世界観とでも言うべきか。
 ここまでは歌詞はともかくサウンド自体はポップだった訳ですが、この作品はサウンドもかなり内省的でダウナー。自分はこういう音も好きだからいいんですが、この時点でポップな部分を求めてる人は脱落すると思う。更に言うと、あまりロックでもない。
 メロディをオーケストラに委ねてるからか、バンドサウンドはリズム作りに徹している印象。よく聴くとかなり拘っていて、彼らの職人気質が垣間見える。これじゃあ「草野氏のソロ状態になってもいいから、フルオーケストラにすれば良かったのに」なんて絶対言えない。ちなみに#5だけは全てオーケストラだけで構成されています。
 ミニアルバムってボリュームもいいですね。フルアルバムでやってたら冗長だと思うので。この作品はトータル25分弱なんですが、これでも長く感じたんですよ。なのでこれが飽きが来ないギリギリのライン。
 草野氏のナイーブな部分が表に出た作品、って所でしょうか。彼が紡ぐ歌や世界観の、影の部分に浸りたいって人にはお勧め(2012.3.7)







惑星のかけら 3rd Album

01.惑星のかけら
02.ハニーハニー
03.僕の天使マリ
04.オーバードライブ
05.アパート
06.シュラフ
07.白い炎
08.波のり
09.日なたの窓に憧れて
10.ローランダー空へ
11.リコシェ号


 前作の反動からか、かなりロック色の強いアルバム。1曲目からギュンギュンに歪んだギターがお出迎えしてくるし。最初から冗長な気もするけど。#6のような曲調での長さはアリだと思うけど。ピアノとフルートが絡む、ちょっとワールドミュージックの要素を含んだ曲なんですが、ついしっとりと聴き入ってしまう。
 このように、ロックを押し出しながらも曲調に幅を持たせているので、飽きが来ません。4ビート+ノイジーなギターリフで重さと軽快さを両立している#2、カントリーナンバー#3、#4では間奏に何故かサンバを取り入れてくるフリーダムっぷり。またギターソロも聴け、ハードロックリスナーも満足できるんじゃないでしょうか。
 冒頭から「僕のペニスケースは〜」なんて素敵な言葉が飛び出す#8は、タイトル通り所々にベンチャーズっぽさを匂わせる曲。#9は終始鳴り続けるシンセが印象的。#11は半インスト曲で、彼らの演奏力を見せ付けてくれます。
 演奏だけではなく、#7のように言葉の力も加えて押していく曲もあり、本当によく出来ているなと。で、これらの曲たちを、惑星というテーマにてちゃんと統一感を持たせている。
 彼らが決してナヨナヨしただけのもやしバンドなどではないということが、これを聴けばよくお分かり頂けると思います。そして、幅広い素養を有したアーティストであるということも。名盤です(2012.3.8)







Crispy! 4th Album

01.クリスピー
02.夏が終わる
03.裸のままで
04.君が思い出になる前に
05.ドルフィン・ラヴ
06.夢じゃない
07.君だけを
08.タイムトラベラー
09.多摩川
10.黒い翼


 売れ線を作るべく、外部プロデューサーを迎えて製作された4枚目のアルバム。そのためか、外部音を多く盛り込んで一層聴きやすい作りに。自分の感性だと、別にこれまでも十分売れ線な音だと思うんですが。
 そんな訳で、牛乳かけたチョコクリスピーにハチミツをぶっかけたような音になっており、好きな人にはたまらないんでしょうが、個人的にはやっぱりアレンジが過剰気味に感じる。#4とかもう、売れたいオーラが全開(笑)『オーロラになれなかった人のために』とは明らかに毛色が違う。
 そうなったことの全てが悪いとは言いませんが、今までのようにもう少し演奏隊を活躍させて欲しかったな。ホーンやストリングスに合わせるように、ギターはカッティングを多用してたり、外部音ありきの演奏になってる状況が多々あるんですね。でもベースがスラップしたりはしないという。
 歌詞も毒気が消えてしまっています。世界観もちょっと地に足がついた感が。言い換えると、従来のイメージに近付いている。
 底抜けに明るい#1、いい塩梅にポップでファンク化した#3、シンセが完全に空間を形成しているスローナンバー#9、どこか凛とした力を持つ#10辺りが好み。
 何だかんだ言いましたが、ポップスアルバムとしてはよく出来ていると思うので、別にバンドサウンドにこだわりがないのならお勧めできます。歌やメロディは変わらず活きてるし(2012.3.9)







空の飛び方 5th Album

01.たまご
02.スパイダー
03.空も飛べるはず
04.迷子の兵隊
05.恋は夕暮れ
06.不死身のビーナス
07.ラズベリー
08.ヘチマの花
09.ベビーフェイス
10.青い車
11.サンシャイン


 前作に引き続き、笹路正徳をプロデューサーに迎えてのアルバム。
『Crispy!』が全くロックではないとは言いません。が、上手い具合に『ロックバンド』へ微調整してきた辺りは、流石プロフェッショナルと言うべきか。外部音を控えめにし、バンドサウンドを立たせた内容。外部音が引き立て役になったことが、大いにプラスに作用していますね。
 演奏のさりげない派手さも戻ってきた感があります。#10なんかどのパートもカッコ良いです。メロディや歌詞もいいし。他にも#4の、攻撃的なワードを散りばめて、かつベースをガツガツ鳴らす攻め方や、『惑星のかけら』の曲たちに負けないくらいギターが唸る#6、#9のギターとの絡みを意識したベースライン辺りにロック脳を刺激されましたね。
 ポップサイドの曲も良い。アコギも音のアクセントに参加している#2なんて実にノリがいい。そして、有名な大ヒットナンバーの#3。これはホント凄いな。こんだけシンプルで超ベタなのに、メロディと歌の魅力だけで名曲に仕立て上げている。
 歌詞も若干、毒味が戻ってきてるかな。でも個人的に一番好きだったのは、エロエロしい#7である(爆)しかもちょっと変態入ってる。そして音は縦ノリ系というギャップね。
 メンバーもプロデューサーも、実に見事な売れ線作りの仕事をしたと思います(2012.3.11)







ハチミツ 6th Album

01.ハチミツ
02.涙がキラリ☆
03.歩き出せ、クローバー
04.ルナルナ
05.愛のことば
06.トンガリ'95
07.あじさい通り
08.ロビンソン
09.Y
10.グラスホッパー
11.君と暮らせたら


 大ヒットを記録したアルバム。全体的な印象は、甘いというより柔い。そして浮遊感。といっても『名前をつけてやる』であったシューゲイザーっぽさとはまた違う感触。これはこれで心地良い。大ヒット曲の#8を聴くだけでも、アルバムの輪郭をぼんやりと掴んで頂けるかと。
 プレイ面では、一層メンバーの連携が強まっていますね。特にリズム隊。正に蜜月。しかしその割に、ガツンとインパクトに残る曲が今作はあまりなかった。曲の良さというより、順番のおかげで活きている曲もちらほら。#9はロビンソンの余韻のおかげだし、#11は締めだからこそ映える曲。  単品で魅力的だったのは、前述の#8、絡み合う各パートが最高のアンサンブルを紡ぐボサノヴァ・ブラスロックとでも言うべき#4、歌メロが絶品な#5、レゲエ+昭和歌謡みたいな#7、躍動感に満ちたロックチューン#10辺り。あれ、意外と多かった(爆)
 #6はとがったサウンドと歌詞でツンツン突っついてくるのはいいんですが、どうもサビが淡白すぎる。#3は歌詞自体は好きです。若者に向けたメッセージとも取れるところも。
 ちなみにプロデューサーのアレンジについての不満はありません。『空の飛び方』同様、良く魅力を引き出せている。
 にしても、ほんと色褪せないよなこの人たちの作品は。『時代を感じる』という現象が全く起こらない。イメージほどナヨナヨしてないので、食わず嫌いで敬遠してた方はちょこっとつまみ聴きしてみるといいかも(2012.3.12)







インディゴ地平線 7th Album

01.花泥棒
02.初恋クレイジー
03.インディゴ地平線
04.渚
05.ハヤテ
06.ナナへの気持ち
07.虹を越えて
08.バニーガール
09.ほうき星
10.マフラーマン
11.夕陽が笑う、君も笑う
12.チェリー


 インディゴとついているだけあり、イメージは『青』。彼らの特徴でもある清涼感でもあり、憂いの象徴でもあり、青春の空気でもある、色々な意味を内包した青。
 プロダクションもそういうコンセプトに沿ったからか、やや篭り気味。#6・7のように、それを利用し敢えて古臭い空気の曲を作っているのは面白いアイデアですね。
 初めて草野氏以外のメンバーが作曲した曲も登場。ギターの三輪氏作曲の#1は、やっぱり明らかに違いますね。綺麗さが薄く、衝動が前に出てる曲。ベースの田村氏が作った#9は、ボヨンボヨンしたベースが鳴るサイケな曲。それぞれ個性が出てていいんじゃないでしょうか。
 今作のハイライトは何といっても#3・4。両者の連携も絶妙なんですね、詞的にも音的にも。青の地平線へと音が広がっていくように錯覚してしまう、スケール感のあるサウンドとやや憂いを帯びた美しいメロディラインを持つ前者と、終始鳴るシンセと長めの音符、休符を使って柔らかく情緒的な空気を生み出す後者。どちらも名曲です。
 チェリーはあからさまに、場所に困って最後に配置した感がある。ヒット曲だから入れざるをえなかったんだと思うけど。単品ではいい曲なんですけどね。
 とにかく色彩が綺麗。そんなアルバムでした(2012.3.13)







フェイクファー 8th Album

01.エトランゼ
02.センチメンタル
03.冷たい頬
04.運命の人(Album Version)
05.仲良し
06.楓
07.スーパーノヴァ
08.ただ春を待つ
09.謝々!
10.ウィリー
11.スカーレット
12.フェイクファー


 笹路正徳から離れて製作した(#11だけは関わってますが)8枚目のフルアルバム。
 寒暖両面で温度を感じる曲が多いですね。サウンド的には初期の方向性にやや回帰しつつ、シンプルな演奏を心がけている感じ。この辺をシンプルと取るか、単調と捉えてしまうかで今作の評価が変わってくるのではないでしょうか。
 個人的には「まあいいんじゃない?」といった所。歌とメロディが素晴らしいくらいマッチしているという部分は変わらず良いから。特に#3・6・11辺り。心に直接響いてくるね。
 変わったのは歌詞の傾向。明らかに外に向いている。#6にしても、単なる喪失だけで終わっていないし。
 ガツンと来るような勢いやパワーはない代わりに、小奇麗にまとまっている作品といった所。ジャケットはディスコグラフィー中一番といってもいいくらい好きなんですけど(2012.3.14)







花鳥風月 Special Album

01.流れ星
02.愛のしるし
03.スピカ
04.旅人
05.俺のすべて
06.猫になりたい
07.心の底から
08.マーメイド
09.コスモス
10.野生のチューリップ
11.鳥になって
12.おっぱい
13.トゲトゲの木


 アルバム未収録曲を集めた作品ですが、これが中々。掘り出し物を集めたような内容ですね。
 #1は草野氏が辺見えみりに提供した曲。提供した方のver.も良いですが、こちらはよりノスタルジーを掻き立てられる。パフィーに提供した#2も、バンドサウンドを活かしつつキュートなアレンジが施された優良セルフカバー。
 #3は転調が凄く綺麗にはまっている曲。そして特に複雑なことはしてないのに、ギターが目立つ目立つ。柔らかいメロディが心に沁みるミディアムナンバー#6、しっとりを通り越してダウナー気味、おまけに詞も暗い#9、強靭なグルーヴが心を高揚させる#10・11も好き。
 タイトルからして好きな人にはたまらない#12は、音的には普通のミディアムスローロック。歌詞も、そこまで変態じみてる訳でもないです。でも嫌いじゃない(笑)そして最後の#13は、童謡風のふざけたメロディーと歌詞の曲。
 単なる寄せ集めではなく、普通にオリジナルアルバムとして聴ける内容です。こうやって未収録曲だけ集めても、彼らは振り幅の広い音を鳴らしているということが良く分かりますね。何よりメロディの付け方が適当に聴こえない所がいい(2012.3.15)







ハヤブサ 9th Album

01.今
02.放浪カモメはどこまでも(album mix)
03.いろは
04.さらばユニヴァース
05.甘い手
06.HOLIDAY
07.8823
08.宇宙虫
09.ハートが帰らない
10.ホタル
11.メモリーズ・カスタム
12.俺の赤い星
13.ジュテーム?
14.アカネ


 スピッツ史上最強ともいえるロック度。かっこいい!
 メロディは当然死なず、胸打つ美旋律。かっこいい!
 だから僕は彼らの音が大好きなんです。かっこいい!

 ディストーションさせてもアコギを鳴らしてもシンセを入れても、ちゃんとロックというぶっとい軸が全然ブレてないんですね。
 アコギを散らし鳴かせる短いギターロック#1、開放的なバンドサウンドとメロが引っ張ってくれる#2でアルバムの導入はバッチリ。
 シンセとギターが絡むデジタルなリフが印象的な#3を経て、スペーシーなミディアム曲#4、甘いクリーンギターとディストーションギターが交互に押し寄せてくる#5は、メランコリックな気分に浸らせてくれる。
 軽快なシャッフルビートとアルペジオが絡む#6、サビで一気に疾走する展開が気持ちいい#7と勢いづけた所で、#8では空間系インストを聴かせるという構成がいい。
 後半の曲もいい曲揃い。#4をエモーショナルにしたような#9、刹那的な美しさを描いた#10、ノイジーでザクザクな#11、ヘヴィながらメロディアスなバラード#12、アコギの弾き語りに胡弓を加えた#13、そして最後は#2のように軽快で開放的な曲で締めると。
 各曲のクオリティもさることながら、流れも凄くいい。やっぱスピッツはロックバンドなんだよな(2012.3.16)







三日月ロック 10th Album

01.夜を駆ける
02.水色の街
03.さわって・変わって
04.ミカンズのテーマ
05.ババロア
06.ローテク・ロマンティカ
07.ハネモノ
08.海を見に行こう
09.エスカルゴ
10.遥か (album mix)
11.ガーベラ
12.旅の途中
13.けもの道


 亀田誠治との共同プロデュースで生み出された10枚目のフルアルバム。
 今作もロックしてます。ハヤブサをちょっと柔らかくした感じ。激しさや重さは薄まったものの、叙情性はプラスされているので、ダメになったとは思いませんでした。
 1曲目からとてつもない名曲が登場。正に夜を駆けていくようなシーンを見事に演奏で描写。そして鳴り続けるピアノが非常にアクセントとして機能している。
 他に良かったのは、初期の匂いがするロックチューン#4、叙情的なミディアムバラード#11、パンキッシュなパワーに満ちた#13。あと四つ打ちのダンスビートを導入した#5もいい感じ。ベースをそこまで直線的にしなくてもいいんじゃとも思いますが。魅せられるベーシストなんだし。柔らかさを備えたギターポップ#3は好き嫌いはっきり別れてるようですが、個人的には嫌いじゃない。
 亀田アレンジが全く鼻につかない、と言えば嘘になるんですが、Cripsy!ほど前に出すぎてはいない分良い。ハヤブサと比べなければ悪くはない(2012.3.17)







色色衣 Special Album

01.スターゲイザー
02.ハイファイ・ローファイ (NEW MIX)
03.稲穂 (NEW MIX)
04.魚
05.ムーンライト
06.メモリーズ
07.青春生き残りゲーム (NEW MIX)
08.SUGINAMI MELODY
09.船乗り
10.春夏ロケット
11.孫悟空
12.大宮サンセット
13.夢追い虫
14.僕はジェット (previously unreleased track)


『花鳥風月』同様、アルバム未収録の曲を集めたアルバム。
『三日月ロック』よりもゴリゴリとパワーが効いている所が、まず気に入ったポイント。#5は渋いリフがいいし、#7はサビでシンセが出すぎてたり、ギターソロの音が潰れすぎてるのが勿体無いものの、それを差し引いてもカッコいい曲。しかし#10のように、輪郭をはっきりさせた音作りもしてる辺り、失敗ではなく何か意図があるのでしょう。
 もちろん#3・12のようにアコースティックで聴かせる曲も完備。前者は歌詞も沁みる。また、最後の曲はインディーズ時代の未発表曲だそうですが、やっぱり全然色褪せないな。言うまでもなく、カッコ良くもネジが飛んでいる。良曲です。
 花鳥風月でも書きましたが、こちらもオリジナルアルバムとして十分通用するクオリティ。お勧めです(2012.3.18)







スーベニア 11th Album

01.春の歌
02.ありふれた人生
03.甘ったれクリーチャー
04.優しくなりたいな
05.ナンプラー日和
06.正夢
07.ほのほ
08.ワタリ
09.恋のはじまり
10.自転車
11.テイタム・オニール
12.会いに行くよ
13.みそか


 歌詞がストレートになってますね。それはいいんですけど、ストリングスとリバーブが過剰すぎるのはちょっといただけなかった。せっかくのバンドサウンドを殺しすぎてる。それと#7みたいなのもやめてくれよと思ってしまった。鐘の音がミスチルの何かの曲を連想させたりするし。炎の爆ぜる様を表現してるようなシンバルワークは面白いんですけど。
 良かったのは甘酸っぱい美メロを堪能できるアコースティックな#1、琉球民謡を取り入れた#5、ただひたすらにストレートでアッパーな#8・13辺りかな。
 #10はレゲエを取り入れた意図が読み取れなかったんですが、曲自体は悪くない。シンセうっさいけど。ロック色の強い#3は音が混ざりすぎててどうも。
 並のバンドよりもクオリティは高いんですけど、スピッツだということを考えると、個人的にはディスコグラフィーにおいて下位に位置付けてしまいますね。『Crispy!』みたいな路線が好きならお勧め(2012.3.19)







さざなみCD 12th Album

01.僕のギター
02.桃
03.群青
04.Na・de・Na・de ボーイ
05.ルキンフォー
06.不思議
07.点と点
08.P
09.魔法のコトバ
10.トビウオ
11.ネズミの進化
12.漣
13.砂漠の花


 まず言っておくと、曲自体は良いものばかりです。特にメロディ。胸打つ美メロがてんこ盛り。
 今作を気に入るかどうかのポイントは、亀田誠治のアレンジを受け入れられるかどうか。個人的には別に嫌いじゃないんですけど、前作みたいなプロダクションがなあ。ベースが引っ込み気味になってシンセが前に出てくるようなバランスはどうかと思いました。#6のハットとか台無しになってません?#8みたいに完璧にシンセありきで作られてる曲なら別にいいですけど。
 アコギもあまり活きてないというか、掻き消され気味。例えば#1にしても、ドラマチックにしすぎるよりアコギメインで聴かせた方が良かったのでは。続く#2もアコギがあまり活きてないのが惜しい、詞曲ともに素晴らしい分。
 #3・5・9・12辺りはベッタベタすぎて、自分はサラサラっと聴き流してしまう内容。日々の生活に疲れている人にはいいかも知れない。#4は歌詞のインパクトだけで持ってる曲。#10は勢いだけで持ってるようなもんですが、演奏力でどうとでもなるのでこちらは良いです。
 凛として時雨『テレキャスターの真実』みたいなイントロで始まる#7は段々と変化する展開や、転調がカッコいい。シンセも良いアクセントとして機能してるし。これが個人的にはベストトラックかな。
 70〜80'sハードロック風の#11は順当に良い曲。最後の曲はクサメロ全開のマイナーバラード。好きな人は絶対ハマる。草野氏のメロディセンスを存分に堪能できます。
 ロックよりもポップスに寄った作品。バンドサウンドを重視しなければ良作になるんじゃないでしょうか。歌とメロディが楽しめればいいやってリスナー向け(2012.3.20)







とげまる 13th Album

01.ビギナー
02.探検隊
03.シロクマ
04.恋する凡人
05.つぐみ
06.新月
07.花の写真
08.幻のドラゴン
09.TRABANT
10.聞かせてよ
11.えにし
12.若葉
13.どんどどん
14.君は太陽


 どこまでもマイペースに歩んでいくロックバンドの13thアルバム。
 素晴らしく絶妙なポジションに収まったアルバムです。ベテランらしい余裕や老獪さも、衰えを知らない若々しさもなく、すっごいエイジレスでニュートラルな立ち位置。とげ=ロック、まる=ポップと考えると分かりやすい。
 そして相変わらずの美メロと、どのタイプの曲にも違和感なく馴染む、草食系なのに芯のはっきりした歌声。ちょっとユニークな言葉選びを交えつつ、五感に対してフルで訴えてくる歌詞もやっぱり素晴らしい。ほとんどの曲がベストトラックになり得るんですが、美しいピアノが延々とリフレインする#6、タイトに切り込んでいくロックナンバー#9が特にお気に入り。
 あらゆる部分において最強の正攻法で来たアルバム。それで完璧にロックたりえてるのが本当に凄い。ロックは単純に歌や音を歪ませて重くすりゃいいってもんじゃないってことを再確認させてくれます。紛うことなき名盤(2010.11.8)







おるたな Special Album

01.リコリス
02.さすらい
03.ラクガキ王国
04.14番目の月 (おるたなMix)
05.三日月ロック その3
06.タイム・トラベル
07.夕焼け
08.まもるさん
09.初恋に捧ぐ
10.テクテク
11.シャララ
12.12月の雨の日
13.さよなら大好きな人
14.オケラ


 アルバム未収録曲に加え、今作はカバー曲(#2・4・6・9・12・13)が多いのも特徴。
 カバーの傾向としては、原曲を大胆に壊したりはしていませんが、原曲を尊重しながらも、もう一つの道を示すアレンジが目立つ。正にオルタナ。この辺は選曲や演奏も含めて本当に上手いな。
 最も大胆にいじってる曲は荒井由実の#4ですが、これも面白い。やたらヘビーなイントロに面食らいましたが、叙情的なBメロ、壮大なサビに入る頃には完璧に曲に引きずり込まれる。
 花*花のカバーである#13も、アコギとクリーンギターのアルペジオでしっとりと聴かせてくれる。歌うのはもちろん一人ですが(笑)ここしかないよねという落とし所。
 その他の曲ですが、#1はサビの間延びを逆に武器としたアイデアがいい。アコギを中心に生み出す独特の空気感も綺麗。#3はタイトルでイメージするようなキッズっぽさはないんですが、カッコいいからいいや(笑)テクを効かせてガンガンに弾くロックンロール。逆に#7は、ギターソロはいらなかったんじゃないかな。
 今回は『花鳥風月』『色色衣』のようなオリジナルアルバムっぽさはなく、ラーメンと半炒飯みたいな、半カバーアルバムといった状況ですが、これはこれで非常に良い作品。カバー元の曲が嫌いじゃなければお勧めです(2012.3.21)







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