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Stratovarius


1st Album Flight Night 1989年 ★★
2nd Album Twilight Time 1992年 ★★★★
3rd Album Dreamspace 1994年 ★★★
4th Album Fourth Dimension 1995年 ★★★★★
5th Album Episode 1996年 ★★★★
6th Album Visions 1997年 ★★★★
7th Album Destiny 1998年 ★★★★★
8th Album Infinite 2000年 ★★★★★
9th Album Elements Pt.1 2003年 ★★★
10th Album Elements Pt.2 2003年 ★★★★
11th Album Stratovarius 2005年 ★★★★





Flight Night 1st Album

01.Future Shock
02.False Messiah
03.Black Night
04.Witch-Hunt
05.Fire Dance
06.Fright Night
07.Night Screamer
08.Darkness
09.Goodbye


 フィンランド産のメロディック・パワーメタルバンド、Stratovariusの初アルバム。
 同郷にして後輩のSonata Arcticaが、影響を受けた筆頭ですね。自分はソナタを聴いた後にこちらのバンドを聴きました。
 バンド名は、ギターのストラトキャスター+ヴァイオリンのストラディヴァリウスを掛け合わせた造語ですが、特に音楽性には反映されていません。ギターをヴァイオリン的に鳴らしている訳でもないですし、ボウイング奏法もやってません。
 そんな彼らの当時の音楽性ですが、普通のパワーメタルって感じですね。キーボードもいますが、ほぼ目立ってないような状態。
 正直、楽曲はあまり面白くなかったです。曲展開が単調で間延びしがちだし、#2みたいに意図が分からないブレイクが入ったり。特に#6〜8は印象が似通ってるので、聴く時ついつい飛ばしがちになってしまう。ダメ押しとばかりに、1曲辺りの時間も長いし。
 ぶっちゃけオリジナリティもあんまり……何かHelloweenみたいな曲が……あとヴォーカルがあまり上手くない。一瞬声が裏返ったりする箇所があったりします。
 歌詞は基本的に暗くて破滅的。暗闇とか夜とか叫びとか儀式とか魔女とか。そんな中唯一、核の危険性に触れている#1と、「叫べばとりあえず解決しちゃうよ!(超大雑把)」的な#7は異彩を放ってますね。
 明確ないい所は、ギターをめっちゃ弾き倒してることぐらい。ギターは本当にカッコいいです。なのでギター好きな人向け(2012.10.6)






Twilight Time 2nd Album

01.Break The Ice
02.The Hands Of Time
03.Madness Strikes At Midnight
04.Metal Frenzy
05.Twilight Time
06.The Hills Have Eyes
07.Out Of The Shadows
08.Lead Us Into The Light


 怪しげな曲あり疾走ありネオクラあり、雰囲気物のキーボードありと、曲展開に幅を持たせられるようになった作品ですね。ギターも迸りつつ、リフでも聴かせてくれます(インストで顕著)そしてブレイクをきちんと活かせるようになっている。
 #2みたいなのが北欧メタルのパブリックイメージなんじゃないでしょうか。疾走とクサさを兼ね備えた曲。やっぱいいですね。
 しかし個人的に一番好きなのはタイトルトラックの#5。トワイライトの名の通り、淡い光のような幻想性をまとったミディアムパワーチューンです。メロディは単調なんですけど何故か飽きない。
「えっ?」と感じた点も挙げさせて頂きます。まずは#7みたいな曲。飛翔系の疾走曲ですが、楽曲と演奏はいいんですけどVo.が……声にあまり伸びがないから気持ちよくなれない。あと歌の入りが遅れ気味なんですよね。あとバラード系の#8もあまり面白くなかったかな。
 しかし歌詞のネタチョイスはいかにもって感じ。#3・5・6辺り、特にB級。前作は暗闇暗闇ィでしたが、今作は『光』を意識したものが増えてます。
 アートワークス含めて、いい意味のB級メタルでいいんじゃないでしょうか(2012.10.7)






Dreamspace 3rd Album

01.Chasing Shadows
02.4th Reich
03.Eyes Of The World
04.Hold On To Your Dream
05.Magic Carpet Ride
06.We Are The Future
07.Tears Of Ice
08.Dreamspace
09.Reign Of Terror
10.Thin Ice
11.Atlantis
12.Abyss
13.Shattered
14.Wings Of Tomorrow


 若干プログレッシヴな曲展開が目立つ、3枚目のアルバム。幻想的とか空間的というより、妖しげな感じなんですよね。#5なんてまさかの中近東っぽいアラビア〜ンな要素も取り入れてますし。
 他にも#10の、悲鳴みたいな楽器の音作りだったり、短めのインスト曲#11ではギター2本+αをちょっと絡めてるだけなのに妙な味があったり、プレイ部分でのアイデアの冴えは随所で感じさせてくれます。
 しかし、やはりどの曲が良かったかと聞かれれば、疾走しててクサい曲の方が好みなんですよね。彼らの作る曲に関しましては。#6・13辺りの。
 歌詞では風刺的なテーマがやや目立ちますが、そんなにメッセージ性が強くないんですよね、良くも悪くも。#7みたいに、雰囲気物で終わってるのもありますし。
 あと#6とか#14みたいな曲。言ってしまえば、J-POPでもあるようなキレイゴトソングに近いんですよ! こんなことも言っちゃうんですねこのバンド。今だったら「何回ストラディヴァリウス没収してんだこの野郎!」みたいなお怒りの曲をやったら受けそうなもんですが。
 それはともかく、疾走感やドラマティックな要素は他の作品より薄めなので、そういったものを求めるならこれは聴かなくてもいいかも知れません(2012.10.10)






Fourth Dimension 4th Album

01.Against the Wind
02.Distant Skies
03.Galaxies
04.Winter
05.Stratovarius
06.Lord of the Wasteland
07.030366
08.Nightfall
09.We Hold the Key
10.Twilight Symphony
11.Call of the Wilderness


 今までヴォーカル兼ギターだったティモ・トルキはギターに専念し、新たにティモ・コティペルトを専任ヴォーカルとして迎えた心機一転の4枚目。
 ヴォーカルを変えて大正解だと思います。ヘタウマ……というより正直ヘタなレベルだったトルキとは異なり、コティペルトはメチャウマ……とまでは行かなくとも、上手いと言っていいレベル。声質もけっこう似ているので(コティペルトの方が若干ハイトーン)なので違和感もないでしょう。ってメタラー以外であんまり初期のアルバム聴いてる人もいないかな?
 ギターに戻ったトルキは弾き倒しまくり……ということはなく、よりメロディを大事に弾くようなスタイルになった印象。
 それがバンド全体に波及したかしたのかは分かりませんが、前作の雰囲気を継承しつつもクサさを上手く取り入れたアルバムに仕上がってるのではないかと。
 1曲目から最高にクサいです。特にサビ後半。もう失禁するレベルですわ。ハイトーンシャウトも綺麗。
 飛行機の恐怖を実体験混じりで歌う#2、空間的ながらB級臭溢れるキーボード、単調ながら存在感抜群のベース、分かりやすいサビメロが集まって銀河を形成する#3、ファルセットが印象的な荒涼としたバラード#4、バンド名を冠した、全パートがプレイをぶつけ合うインストの#5、ネオクラスタイルで疾走する#6、個性的な曲展開と無機質なベースが目立つ、コンピュータを題材にした#7、ネオクラバラード#8、勇壮なイントロから何故かスローな展開へと移行し、また加速したりする#9、ネオクラ要素を凝縮抽出したクサさがたまらない#10、全曲の雰囲気を継承して叙情的にアルバムを締めるインスト#11と、いずれも個性派揃いの曲が集まっていていいですね。
 こんな感じで、バンドの転換期といっていいアルバムではないでしょうか。彼らを聴くなら、この作品から入っていくのがオススメです(2012.10.11)






Episode 5th Album

01.Father Time
02.Will The Sun Rise?
03.Eternity
04.Episode
05.Speed Of Light
06.Uncertainty
07.Season Of Change
08.Stratosphere
09.Babylon
10.Tomorrow
11.Night Time Eclipse
12.Forever


 キーボードとドラムを取っ替えて臨んだ、5枚目のアルバム。
 えらく正統派の楽曲ばかりで勝負してきてますね。パワメタ、メロスピ、メロパワ、ネオクラ(具体的な基準が分かり辛いのでまとめます)、インスト、テンポも速いものから遅いものまで揃え、フィジカルな部分でガチムチ鼓膜のメタラーと渡り合おうとする気概が伝わってくるかのようですね。
 こういう勝負を仕掛けたくなるのも分かりますよ。何せキーボードはイングヴェイやDioで弾いていたイェンス・ヨハンソン、ドラムはレイジなどで叩いていたヨルグ・マイケルですからね。ちょっとでもHR/HMをかじった人間なら、これらのバンド名くらいは聴いたことくらいあるはずですよね。
 ヴォーカルも歌に磨きをかけ、硬いのから柔らかいのまで、曲に合わせて液体金属のように歌いこなしてます。
 今作はバラードも良いです。特にライブの定番曲でもあるらしい#12。全然メタルじゃないですけど、とにかく叙情的でクサい!
 しかし正統派であるがゆえに、即効性があるのが前述の#12くらいなんですよね。メタルに耐性がないリスナーにはちょいと敷居が高めに感じられるかも知れません(2012.10.12)






Visions 6th Album

01.The Kiss of Judas
02.Black Diamond
03.Forever Free
04.Before the Winter
05.Legions
06.The Abyss of Your Eyes
07.Holy Light
08.Paradise
09.Coming Home
10.Visions (Southern Cross)


 メタラーが「この軟弱者めが!」と切り捨てそうなくらいロケンローな#1がいきなり出てきて、何事かと思いました。
 が、続く#2ではネオクラの代名詞、チェンバロが鳴り響き、クサメタラーの心をがっちりキャッチ。残りの曲も従来通りの雰囲気(というか従来の曲と似ているものもチラホラ……)で進行していき、終わります。つまり最初の曲だけが浮いているということです。悪い曲ではないんですけど、入れなくても良かったような。
 直線的なギターリフが印象的な#8も多少似た臭いがしますが、こちらはアルバムに溶け込んでるのではないかと。
 ベストトラックはインスト曲の#7ですね。ギターとキーボードがバトルしつつ、休戦中は他のパートがさりげにアピールしてくるネオクラスタイルがたまらない。
 世間的には評価の高い作品ですが、個人的には『Fourth Dimension』の方が好みでした(2012.10.31)






Destiny 7th Album

01.Destiny
02.S.O.S
03.No Turning Back
04.4000 Rainy Nights
05.Rebel
06.Years Go By
07.Playing With Fire
08.Venus in the Morning
09.Anthem of the World


『運命』と名付けられたこのアルバムは、オープニングからクライマックスな曲を配するという大胆な構成。全体的にも大曲志向が濃く出ていますね。
 そんな1曲目ですが、飽きることなく聴けるドラマティックな内容。自信満々に配置してくるのも頷けます。その他の曲も高カロリーながら、もたれずに聴ける。
 今作は『善と悪の戦い』がテーマになっているそうです。そうこなくっちゃって感じですね。メロスピだのパワメタだのネオクラだのはこういうテーマじゃないと燃えないんですよ!
 ……なんて思ってたんですが、実際はファンタジックなバトルというよりも、現実的な悲壮さを押し出した内容が多いです。そして最後は美しい内容で締めると。ある意味ベッタベタではありますね。
 何よりも構成力に唸らされた作品でした。多少メロディが地味でもお釣りが来るくらい素晴らしかったです。善人も悪人も、聴いて損はありません(2012.11.1)






Infinite 8th Album

01.Hunting High And Low
02.Millennium
03.Mother Gaia
04.Phoenix
05.Glory Of The World
06.A Million Light Years Away
07.Freedom
08.Infinity
09.Celestial Dream
10.What Can I Say?


 これまでやってそうでやってなかったラインを攻めてきてますね。ジャンル自体は従来通りなんですが、フレージングや音色で変化をつけてきてます。今までにもあったようなバラードと思わせときながら、中盤以降予測し辛いドラマティックさを見せる#3、概ね王道の疾走系ながら、間奏で独特な音を鳴らしてくる#5など、展開の妙も相変わらず聴き逃せない。
 また、#7のように超ポップな曲をやったりしているのも特徴。『Visions』収録の『The Kiss Of Judas』は、このアルバムなら浮かず、違和感なく溶け込めたかと思います。
 今作を聴いて自分が最も強く受けた印象は、美しいということ。クサいとか劇的とか、疾走とかよりも、『癒される』という言葉をつけたくなる美しさが浮かんできました。
 別にメタリックな要素が薄れた訳ではなく、頼りなさよりも徐々に再生していく力強さすら感じますね。前作がどちらかといえば暗いトーンの作品だったから、尚更そう感じたのでしょうか。
 全体的にかなり聴きやすいので、メロスピ系に興味があるならここから入っていくのも十分アリですね。クオリティ的にも、もはや昔のようにB級ではなく、A級以上メタルと言っていいでしょう。名盤(2012.11.2)






Elements Pt.1 9th Album

01.Eagleheart
02.Soul Of A Vagabond
03.Find Your Own Voice
04.Fantasia
05.Learning To Fly
06.Papillon
07.Stratofortress
08.Elements
09.A Drop In The Ocean


 前作から約3年空けてのリリース。おまけに2部構成。
 今作の歌詞は、精神世界に足を踏み入れたティモ・トルキの価値観が色濃く反映されているとのことです。
 こう聞くと、何だかとてつもなく哲学的で難解な方向に突っ走ってるかのように思えるかもしれませんが、相変わらず単語だけ追っかけていっても分かるくらい表現は簡易ですので、興味のある方は覗いてみるといいでしょう。内容的にも、そんなに深遠な感じはしませんでしたし。普遍的な平和希求とでも言いますか。
 詞についてはこれくらいにして、楽曲ですが、プログレ色・シンフォニック色が強めです。
 路線変更すること自体は構わないんですが、どうも中途半端に聴こえてしまいました。武器であったクサメロも弱まって、従来のようなメロスピ系もあまり印象に残りませんでしたし、これはちょっといただけませんね。手放しに良かったと言えるのは、メロスピインスト曲の#7ぐらいでしょうか。存分にテクをぶつけ合ってます。
 せめてテーマをお得意の戦いにして『火と水と風と土の戦い』みたいにしてくれれば良かったかもしれませんね。それかFF的なものでいいや(2012.11.7)






Elements Pt.2 10th Album

01.Alpha & Omega
02.I Walk To My Own Song
03.I'm Still Alive
04.Season Of Faith's Perfection
05.Awaken The Giant
06.Know The Difference
07.Luminous
08.Dreamweaver
09.Liberty


 ティモ・トルキのパーソナルな部分が前編よりも色濃く表れてますね。希望への再生ですとか、そういうテーマを多く歌っています。言うなれば、トルキのメンタル・リハビリテーションアルバム。
 こういう曲を聴いた場合、リスナーはどういう顔をすればいいか分からないの。「おめでとう」と拍手すればいいと思うよ。しかし本当に昔、魔女狩りがどうとか歌ってた人達と同一なんだろうか。
 楽曲の傾向は前作と大差ありません。が、前作よりも良いんじゃないでしょうか。
 ポジティブなパワーが迸るメロスピナンバー#2は、印象的なリフとメロディでガッチリとハートキャッチプリキュア。続く#3ではタフなメロスピを披露し、完全にプリキュアマックスハート。
 ヘヴィなリフが印象的な#5も、再生を感じさせる力強さに満ちていますし、ちょっとネオクラ入った#6は間延び+高音攻めのメロディがイマイチながら、圧倒的なドラムテクが印象的。フィルの入れ方が半端ないです。
 残りの曲ですが、#4・7・9はわりかしベタなバラードで、そこまで個人的な琴線に触れはしなかったんですが、悪くはないんじゃないでしょうか。
 #1みたいな曲は声質が合ってない気が。上手いんですけど、声に荘厳な厚みがないと厳しい。#8は#2と印象が被ってますね。
 前作のアウトテイク集、みたいな位置付けをされているそうですが、個人的にはこちらの方が好みでした。別に両方聴かないとこの『Elements』を楽しめないってこともないし、こちらだけでもいいんじゃないでしょうか(2012.11.8)






Stratovarius 11th Album

01.Maniac Dance
02.Fight!!!
03.Just Carry On
04.Back To Madness
05.Gypsy In Me
06.Gotterdammerung (Zenith Of Power)
07.The Land Of Ice And Snow
08.Leave The Tribe
09.United


 もはやプロレス並のマッチポンプ騒動を経てのセルフタイトル作。曲単位のセルフタイトルは、既に『Fourth Dimension』でやってるんですが、忘れてしまったのか、それとも意図したものなのか。
 王道回帰……なんてこともなく、メロスピもプログレもシンフォもほとんど捨ててきてます。正統派ヘヴィメタルに近い内容。
「こういうのもまあアリか」というのが第一印象でした。さすがに#1でいきなり8bit音が飛び出した時は何てことだと思いましたが。所々に彼ららしいクサさや、北欧メタルらしい冷気を潜ませたり、前述の8bit含めて差別化を図ろうとする気概は感じられますしね。このバンドが持つベタっぽさと上手く融合しているのではないでしょうか。
 ドラムは前作ほど弾けてないのがちょいと残念ですが、ギターはリフが多めながらも間奏で暴れていたりと、バランスを上手く取っていますね。キーボードは音色で遊んでいる印象。
 疾走することにこだわりがなければ、けっこう楽しめるんじゃないでしょうか。すっかりベテランと言ってもいいキャリアである彼らの、円熟した技を楽しめる一枚。
 ラストの#9は、メンバーの和解がテーマになっているそうです。しかしその後、中心人物のトルキと、ベースのヤリ・カイヌライネンは脱退してしまうというオチが。やっぱりプロレスか(2012.11.9)






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