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タニザワトモフミ



2nd Album 日本に落ちてきた男 2011年 ★★★★








日本に落ちてきた男 2nd Album

01.マインド・ゲーム
02.ブッ飛ばすぜ
03.コスモ・ガール
04.爽風
05.くたばれJ-POP
06.まぼろシーン
07.結婚です
08.ゆれるだけ
09.君の目で見たい
10.OK
11.惑う星
12.ドリーム・ガール、ドリーム・ボーイ


 自分がこの作品を聴こうと決めた理由。それは#5の存在である(笑)
 だって気になるじゃないですか! それまでの彼の曲に対するイメージが『リア充御用達ポップス』だっただけに尚更。
 で、そのくたばれJ-POPさんですが。以前、こんなタイトルがネット上で話題になったじゃないですか。『J-POPの歌詞における『何か』の探され率は異常』って奴が。1曲打ってしまう職人さんまで現れる事態となった奴。


 何故か曲調がスピッツ風で、ミクの絵柄が羽海野チカ風というのも笑いを誘いますね。断っておきますが、自分は羽海野先生の作品は好きですし、スピッツについても当サイトの感想ページを見て頂ければどう思っているかが分かるかと。
 話は戻りますが、正にここからインスピレーションを受けたかのような歌詞なんですよね。まんまコピペではありませんが。ちなみに曲はオーソドックスなポップスに一捻り加えたような音で、「俺の曲を今流行ってるようなチンケな奴らと一緒にすんじゃねぇ」的なスメルがプンプン。
 一言で感想を言うと、痛快でしたと。
 とは言えこの作品を聴いた限り、彼自身、斬新なスタイルを武器とするタイプではないようです。だからと言って「お前が言うなや」とは思いませんが。実際通して聴いてもらえば分かりますが、彼はJ-POP全てが嫌いなのではなく、着うた系などに代表されるチープなタイプのものが嫌なんでしょう。なので彼の作る楽曲がベタでも何ら問題はない。
 というか、凡そベタなのは歌詞の方です。流石にボロクソに言ってるような陳腐な言葉は使ってませんが、テーマや表現自体は取り立てて素晴らしいとは感じなかった。pillowsなどで感じたような衝撃は走らなかった。
 対して、曲の方には大分神経使ったんだろうなという細かさを感じました。打ち込みロックと打ち込みポップスがおよそ半々ぐらい、といったところで、そこにちょっとしたイビツさを加えてきてるアレンジ。装飾過多や不協和音のラインに引っかかりかけた、ギリギリの所を攻めてきてます。挑戦的な曲を入れてきたからには生半可なことは出来ないという気合と覚悟が伝わってくるよう。
 自分が冒頭で述べたようなイメージを抱くに至った先行曲#4は、ドラムの効いた打ち込みロックへとリアレンジ。#7では女性シンガーをフィーチャリングしてます(笑)でもこれ、オタ受けは悪いだろうな。女側をビッチと罵る様が生々しく想像できる。個人的にはソクラテスを引用した最後の言葉が、アイロニーが効いていて好きなんですけど。
 ちょっとひねくれながらも王道を行く、良質のポップスアルバムですね。星4つなのは、超個人的なことですが、歌声でちょっと評価が落ちたから(苦笑)ナヨナヨしすぎてるんだよなあ。スピッツの草野正宗ぐらい芯があるならいいんだけど。アレンジの妙は一聴の価値あり(2011.10.7)







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