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THE BACK HORN



1st Album(Indies) 何処へ行く 1999年 ★★★★★
2nd Album(Indies) 甦る陽 2000年 ★★★
1st Album 人間プログラム 2001年 ★★★★★
2nd Album 心臓オーケストラ 2002年 ★★★★
3rd Album イキルサイノウ 2003年 ★★★★★
4th Album ヘッドフォンチルドレン 2005年 ★★★★
5th Album 太陽の中の生活 2006年 ★★
6th Album THE BACK HORN 2007年 ★★★
7th Album パルス 2008年 ★★★★
18th Single 戦う君よ 2010年 ★★★★
8th Album アサイラム 2010年 ★★★★★
9th Album リヴスコール 2012年 ★★★★★









何処へ行く 1st Album(Indies)

01.ピンクソーダ
02.カラス
03.冬のミルク
04.魚雷
05.雨乞い
06.怪しき雲ゆき
07.晩秋
08.何処へ行く


 この頃は歌謡グランジというより、不穏な歌謡ガレージロックといった感じで、ベース音のデカさが良い。大雑把に言うと、ミッシェルっぽいやさぐれたオーラを放っております。
 でも根っこの部分は物凄く真っ直ぐ。純粋すぎるが故にトチ狂ってるんですね。性衝動に訴えてしまうほどに。
『死ねば平等』『人生全部どうってこたねぇんだよ』的な無常観が見られますが、これは『何が起こっても生き抜いてやる』と覚悟していることの裏返しなんじゃないかと。
 物騒極まりない言葉で性衝動と人種平等を謳う#1・2・4、掠れた声で叫ぶ純粋に泣ける#3、邪教の儀式が如きインストナンバー#5、ハチャメチャが押し寄せてくる予測不可能な展開の#6、無常な哀愁を叫ぶ#7・8と、全てがインパクト大のキラーチューン。
 半端な厭世でなく、心から世界を憎んで愛している人にお勧めな一枚(2010.1.10)







甦る陽 2nd Album(Indies)

01.サーカス
02.走る丘
03.新世界
04.リムジンドライブ
05.無限の荒野
06.甦る陽
07.茜空
08.ひとり言
09.さらば、あの日
10.泣いている人


 自分が所持しているのはリマスタver.の方。
 シャッフル調の#1、初期の陰陽座的な序盤のおどろおどろしいメロが印象的な#2、何故か途中でミクスチャーっぽいパートが出てくる#3、実にバッドなメリケンロックンロール(爆)の#4、血生臭い言葉を軽快なパンクサウンドに乗せて歌う#5、レゲエを取り入れた#6など、前半〜中盤に実験的な曲を配しているのが目立つ。
 が、完全に血肉にし切れていない感が。歌は喜怒哀楽のうち『怒』が良くも悪くも突出しすぎているし、アレンジもまだ不器用。
 森羅万象、プラスとマイナスの狭間で葛藤している#3、危なっかしすぎるテンションの#8、他人への限りない優しさが温かい#10が良いですね。やっぱり彼らの歌詞は素晴らしい。
 今の実力で是非撮り直して欲しい佳作(2010.1.10)







人間プログラム 1st Album

01.幾千光年の孤独
02.セレナーデ
03.サニー
04.8月の秘密
05.水槽
06.ミスターワールド
07.ひょうひょうと
08.アカイヤミ
09.雨
10.空、星、海の夜
11.夕焼けマーチ


 攻撃的で鬱屈、何より純粋な歌謡グランジアルバム。いい意味での泥臭さはそのままに、インディーズ時代より格段に歌詞とアレンジが洗練されているのは良いですね。
『天国に空席はない』と冒頭から強烈なお言葉の#1、スカを取り入れエモーショナルに疾走する#3、閉塞不穏ナンバー#5、これまた不穏なサウンドで戦争による世界の終わりを歌う#6、自暴自棄と渇望の共存を叫ぶ歌詞が熱すぎる#7、某ジブリ作品を彷彿とさせる切ないメロディと叫びが胸を打つ#10が特にお気に入り。
 喜怒哀楽、希望絶望をドロドロギラギラと醜く美しく描いた傑作(2010.1.11)







心臓オーケストラ 2nd Album

01.ワタボウシ
02.ゲーム
03.涙がこぼれたら
04.夏草の揺れる丘
05.マテリア
06.ディナー
07.夕暮れ
08.野生の太陽
09.世界樹の下で
10.ぬくもり歌


 色んな意味で生々しく、センチメンタルで優しい体温を感じる作品。
 様々なアプローチを試みていますが、『甦る陽』のような微妙さはなく、今回はきっちり自分達の型に落とし込めている。シンプル四つ打ちに熱いメロディと歌詞が乗っかる#3、レトロで不思議なアレンジを施した#5が特に秀逸。
 生々しい比喩表現が秀逸な歌謡グランジ#2、ド変態ソング#6、泥臭くもロマンチックな#9も良い。
 人肌恋しい夜はこいつを聴いて自分を慰めるべし(爆)(2010.1.11)







イキルサイノウ 3rd Album

01.惑星メランコリー
02.光の結晶
03.孤独な戦場
04.幸福な亡骸
05.花びら
06.プラトニックファズ
07.生命線
08.羽根〜夜空を越えて〜
09.赤眼の路上
10.ジョーカー
11.未来


 彼らがずっと貫いてきた『生きる』というテーマに真っ向から対峙したアルバム。#7の『関係するのさ 命かけて』という一言にそれが集約されている。
 決して綺麗事ではない所が凄く評価できます。保母大三郎言うところの「自分探し&傷をナメあって明日へGO!」的な展開がなく、綺麗も汚いもノーマルもアブノーマルも全て飲み込んだ上で吐いている言葉だから嘘がない。押し付けがましさがなく、歌・演奏共に喜怒哀楽の吐き出し方が大分上手くなっているのも良い。技術じゃなく、表現力が優れてるんですね。
 某慈善番組の白々しいキャッチフレーズへの皮肉をぶつけた#1、人混み嫌いならきっと共感を覚えるであろう#3、生を叫ぶ熱いメッセージの篭った#7・9、鬱屈した少年を描いた叫びが悲痛すぎる#10が特に胸に響きました。ラストにピュアなスローナンバーを持ってくる構成も良い。
 この時期に生まれるべくして生まれた名盤(2010.1.12)







ヘッドフォンチルドレン 4th Album

01.扉
02.運命複雑骨折
03.コバルトブルー
04.墓石フィーバー
05.夢の花
06.旅人
07.パッパラ
08.上海狂奏曲
09.ヘッドフォンチルドレン
10.キズナソング
11.奇跡


 昔の作品より大分ポップに、丸くなった印象ですが、それでも#2・4・7・8のようなキレた歌詞はまだまだ健在で、いずれも強烈な破壊力。
 それにポップ寄りの曲だって悪くない。「誰もがみんな幸せなら歌なんて生まれないさ」という冒頭の一言が衝撃的な感動バラード#10、命の営みを描いた躍動感溢れる#11辺りは名曲。イントロのギターリフから失禁物な特攻ナンバー#3もカッコ良いですね。
 ある意味『甦る陽』『心臓オーケストラ』の進化形とも言えるアルバム。徹頭徹尾暗くないと音楽を聴けない、っていうロックリスナー以外にお勧め(2010.1.12)







太陽の中の生活 5th Album

01.カオスダイバー
02.アポトーシス
03.証明
04.ホワイトノイズ
05.世界の果てで
06.天気予報
07.ファイティングマンブルース
08.ブラックホールバースデイ
09.浮世の波
10.ゆりかご
11.初めての呼吸で


 前作みたいなポップさは喜んで受け入れられますが、こういうのは流石の僕でも無理です(笑)丸すぎるんだよ! イエモンを中途半端にしたような曲群がどうにも受け入れられない。
 ポエトリーディングを織り交ぜたドロドロベタベタな#6、戦うパパ達の病んでる応援歌#7、躍動感と爆発力に満ちた#8、彼らお得意の『死ぬまで生きてやる』的な覚悟を示した歌謡ロック#9、生活感丸出し故に心に浸みて泣ける#11辺りは好きですけど。物凄くポップな#1は評判悪いけど、生命の活力みたいなものが感じられて個人的には嫌いじゃないです。
 総じて今作は、ポップ寄りの歌謡ロックが好きな人向けでしょうか(2010.1.13)







THE BACK HORN 6th Album

01.敗者の刑
02.ハロー
03.美しい名前
04.舞姫
05.フリージア
06.航海
07.虹の彼方へ
08.シアター
09.負うべき傷
10.声
11.理想
12.枝


 前作の甘さを取っ払ったかのような歌謡ロックアルバム。
 叫び成分を減らしたことで、かえってドロドロとしたダークさが滲み出ている感じがします。ただあまりヴォーカルを活かしきれていないような気もするんですよね。逆に今回ベースがいつも以上にカッコ良い。
 死んだ犬を蹴飛ばすが如く容赦のない#1、空白を上手く音符として機能させているテクが光る切ないバラード#3、白虎隊をテーマにしたと思われる狂気の和風ロック#4、冷たく重々しいアルペジオからズルズル変化して更に重くなっていく#5、ジャズをポップスに仕立てたような曲調の他人事ソング#8が個人的に好み。
 前作が気に食わなかった人もこれなら聴けると思います。あと歌より演奏重視でロックを聴いているリスナーにもお勧め(2010.1.14)







パルス 7th Album

01.世界を撃て
02.フロイデ
03.覚醒
04.さざめくハイウェイ
05.鏡
06.白夜
07.蛍
08.グラディエーター
09.人間
10.罠
11.生まれゆく光


 歌謡ロックなんですけど、今回はより正統派に近付いたというか、ギターがハードロックなアプローチを多々見せています。
 それにいつになく健康的。病みっ気はまだ残っているものの、前向きなオーラが全身から発せられております。これはこれでかなり良い。無理してる感が全くなく、実にアグレッシブなロックサウンドを叩き付けている。ただシャウトがほとんどないのが物足りない。
 テンション上がりまくりな#1、熱血狂気ソング#2、メジャー初期〜中期を思わせる鬱屈とした#6・9、感動必至なバラード#11が良いですね。
 漲る力強さに、頼もしさと今後への期待を感じずにはいられない良作(2010.1.14)







戦う君よ 18th Single

●DISC 1
01.戦う君よ
02.神の悪戯
03.パラノイア
04.栄華なる幻想

●DISC 2
01.白い日記帳 at 渋谷O-EAST
02.カウントダウン at 渋谷O-EAST
03.異国の空 at 渋谷O-EAST
04.プラトニックファズ at 渋谷O-EAST
05.羽根 〜夜空を越えて〜 at 渋谷O-EAST
06.魚雷 at 大阪BIG CAT


 活き活きとしたパワーは感じるものの、曲が『パルス』収録曲の焼き直しみたいなのばかりであまり印象に残らなかったんですが、歌詞は相変わらずイカしてます。特に世界が回りながら狂っていくような歌詞の#3がいい。「神が人で人が神になったら頼まれるのが僕らの仕事でしょう」とか、クライマックスで歌詞が音階になる所とか最高なんですけど(笑)終末思想に基づいた背徳感がたまんねぇ#2もいい。
 ライブ音源もマニアックヘブンなだけに選曲が良いですな。最近微妙なライブ音源ばっか聴いてたせいか、演奏も上手く聴こえる(2010.5.9)







アサイラム 8th Album

01.雷電
02.ラフレシア
03.戦う君よ
04.再生
05.羽衣
06.海岸線
07.ペルソナ
08.太陽の仕業
09.閉ざされた世界
10.汚れなき涙
11.パレード


 カット入るくらい贅肉を削いだ体みたいな、ハードロックを基調としたサウンドに、走れだの生きろだの、松岡修造みたいに暑苦しいメッセージを乗っけた体育会系なアルバム。しかも今作、鬱要素や変態要素が皆無。もう本当に暑さ100%みたいな状態。
 まあその辺のフニャチンor脳筋バンドとは違い、きちんと血肉たるバックボーンを作詞技術なり過去からの経験値なりで積み上げてるから、聴いてるこっち側も跳ね除けたくなることなく栄養に出来ますけど。
 そんな感じで、1曲目からそりゃもうグイグイと押し付けてきます。中盤に2曲(#5・6)ミディアムスローな曲があるものの、今作は本格的なバラードがないので、ほとんど最初から最後まで熱風が吹き付けてくるような感覚。
 一番熱を感じたのは、暴力的なグルーヴと叩き込むようなヴォーカルが絡み合う#8。歌詞は全然いいと思えないけど(苦笑)サウンド的には最高。
 その他には、まるで読経みたいなヴォーカリゼーションで混沌とした歌詞を詠むオープニングナンバーの#1、メロはベタですが前曲の混沌と熱量を持続したまま突っ走る#2、歌詞とメロの噛み合わせが気になるものの、『商業主義の地獄行き』『傷口の浅い絶望に溺れそうさ』と挑発的なリリックがクールな#7辺りがいいですね。前述の、中盤の2曲もいい具合に中休みとなってます。
 歌詞はともかく、音の面においては昔の曲が好きなファンもある程度納得できるのではないかと。Vo.も今作は結構攻めてるし。
 しかしこのバンドの演奏隊、つくづくいい仕事をしてるなと思う。ソロで突っ走るようなことをしない代わりに、パート間の連携が本当に絶妙(2010.9.27)







リヴスコール 9th Album

01.トロイメライ
02.シリウス
03.シンフォニア
04.グレイゾーン
05.いつものドアを
06.風の詩
07.星降る夜のビート
08.超常現象
09.反撃の世代
10.自由
11.世界中に花束を(New Recording)
12.ラピスラズリ
13.ミュージック


 これまでの音楽性の蓄積、そして去年の震災を踏まえて、こういう方向性になることは予測できてました。『生』を力強く歌ったアルバムです。
 説得力は十分ですね。技術的にも心情的にも。叫ばなくても、音を過剰に汚く歪ませなくても、実にタフで骨太な音楽をやっています。#2にて脈打つ生命の躍動、妄想狂を皮肉ってるのかプラス方向に煽ってるのかよく分からない#8、若者に渇を入れるかのごとき#9、どれもダイレクトに鼓膜から全身を揺さぶってくる。ちなみに#8〜9の流れは前作『アサイラム』を彷彿とさせますね。ほぼまんま、前者が『ペルソナ』後者が『太陽の仕業』系統ですからね。
 演奏面では、とにかくベースが良いですね。縦横無尽の大活躍。ただ動き回るだけじゃなく、引く時は脇役に徹する冷静さも備えてますし。
 特に個人的なヒットナンバーは#2と、緩やかさと疾走感の鮮やかなコントラストの中にも、正にトロイメライ(=夢見心地)な幻想的な輪郭がどこか切ない気分にさせる#1ですね。
 そういえばファンクじみたダンスロック曲#7って、今までありそうでなかった曲なんじゃないでしょうか。アウトロで急に歌謡曲っぽくなる展開も含めて、妙にクセになりました。
 前年の震災をきっかけに製作されたらしい人気の高いミディアムバラード#11は、なんか聴いてるとGLAYの『ひとひらの自由』が浮かんできました。別に似てるってことはないはずなんですが。歌詞は凄くいいですね。言葉選び自体はシンプルなのが却って力強い。
 未だ初期の雰囲気を期待している、なんてことがないならお勧め。この『生の呼び声』に耳を傾け、活力を呼び起こしてはいかがでしょう(2012.7.1)







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