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THE HIATUS
Trash We'd Love 1st Album
01.Ghost In The Rain
02.Lone Train Running
03.Centipede
04.Silver Birch
05.堕天
06.Storm Racers
07.Little Odyssey
08.The Flare
09.紺碧の夜に
10.ユニコーン
11.Twisted Maple Trees
エルレにピアノを足しただけと言ってしまえばそれまでである(笑)英語タイトルは全英詞、日本語タイトルは日本語詞入りというスタイルもエルレと同じ。
ピアノが入ったことで更に聴きやすくなったのは、エルレ時代からのリスナーには賛否分かれるところか。差別化を図れるという意味で個人的にはアリですが、せっかく入れるんならもっと目立たせてもいいのでは。本当、調味料程度にしか使われてないので。そう思ってしまうのは自分がschool food pnishmentやミドリに毒されすぎているからでしょうか(笑)
Insomnia 1st e.p
01.Insomnia
02.Curse Of Mine
03.Antibiotic
一発目の音源『Trash We'd Love』が「単にピアノの入ったELLEGARDENじゃねぇか」ぐらいにしか思えなくて正直期待してなかったんですけど、まさかこう来るとは。一皮剥けて黒光りするブツが飛び出してきやがりましたよ!(下品)
しかし曲は下品ではない! 美しく壮大なストリングスとアコギが導く旋律に掠れた歌声が乗る『Insomnia』は抑えきれない強烈な悲痛さを聴き手にぶつけてくる異色作。今までポジティビティ溢れる楽曲ばかりをやってきた彼からすればこれは異例。いかにも細美武士的な、捻りのなさすぎる直線的なギターだけが浮いていて実に勿体無いが、これはいい意味で意表を突かれました。
立体的な音の配置+緩急ついたカオスさ+浮遊感あるメロディが中毒性抜群な『Curse Of Mine』、どことなくRadioheadを彷彿とさせる『Antibiotic』と、まさかまさかのポストロック要素を取り入れてきた他の2曲も素晴らしい。
驚いたのは音楽性そのものの特異さではなく、まるで元SMAPの森君がレーサーに転向したかのような意外性に対してですが、クオリティには一切異を唱えるつもりはない。
しかしこれ、本来の細美武士のファン層に受けるんだろうか。
ANOMALY 2nd Album
01.The Ivy
02.Talking Reptiles
03.My Own Worst Enemy
04.Monkeys
05.Insomnia
06.ベテルギウスの灯
07.Walking Like A Man
08.Doom
09.Antibiotic
10.Notes Of Remembrance
11.西門の昧爽
大きな壁を一つブチ壊しましたね。いきなりジャカジャカ掻き鳴らされるギターとドラムの乱打がお出迎えする#1からして違うように、前作みたいな『ピアノが入ったELLEGARDEN』という枠では到底括れない。ネガティブで影のある歌詞とは対照的に、サウンドは過去最大級に攻撃的で繊細なポストロック/オルタナ寄りのバンドサウンド。バンド全体で曲作るようになったのが大きいですね。本当に練り込み具合というか、1曲単位での情報量が明らかに増えている。
本格的に路線変更してきた訳でもなく、#6・11のようにエルレっぽい、カラっとした明るめの曲もあるので、恐らく光と影、両方やっていくつもりなのではないかと。
演奏面では、ピアノとドラムが積極的に曲を飾り盛り立てている印象。暴れるだけじゃなく、ちゃんと抑えるべき場面では抑えてるのがいいですね。
相変わらずギターが直線的すぎるのが少し勿体無いと思うこともありますが、あまり動かれるととっ散らかってエルレじゃなくエレメンツなガーデンになりかねないから、まあ仕方ないか(爆)
細美武士の進化を感じさせる名作。今後このプロジェクトを継続させるにせよ、エルレを再起動させるにせよ、きっと次もより一皮剥けた物を作ってくれるはず。日本に生まれて良かったー!(死語)(2010.7.20)
A World Of Pandemonium 3rd Album
01.Deerhounds
02.Superblock
03.The Tower and The Snake
04.Souls feat. Jamie Blake
05.Bittersweet / Hatching Mayflies
06.Broccoli
07.Flyleaf
08.Shimmer
09.Snowflakes
10.On Your Way Home
今までの2作とはまた違った音楽性。ポストロックの要素も継承しつつ、ギターの歪みを排し、アコースティックな響きを中心とした繊細なロックに。一筋縄では行かない音の絡め方のおかげで、適当に作った印象は全く受けない。東京事変とはベクトルが違えど、あちらと並び立つ職人集団と言っていいなこれは。
描きたい風景ありきで音とフレーズを選んでるというか。荒涼とした、寒々しい風景が浮かび上がってくるよう。しかし一握りの温もりも込められている。
歌詞の詩的度も上がってます。動物や自然、製品への置き換え方が外人的な感性というか。何か一つ悟りを開いているようにも聴こえる。激動の年であった2011年の出来事にインスピレーションを受けたのかな? タイトルからして『大混乱の世界』だし。しかし、直接的に震災のことを歌ったような曲は見受けられないんですね。アコースティックにしたのって、別に節電とは関係ないですよね?
希望と可能性と温かみを感じさせてくれる名作です。同時にHIATUSの表現力、引き出しの多さに唸らされ、次回作の期待へのワクワクも禁じえない。しかしこれライブではどうなるんだろう。演奏出来るかどうかじゃなく、あまりガーッとは盛り上がらなさそうだから(2012.1.4)