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The Who


2nd Album A Quick One 1966年 ★★★★★
3rd Album The Who Sell Out 1967年 ★★★★★
4th Album Tommy 1969年 ★★★★★
5th Album Who's Next 1971年 ★★★★★
6th Album Quadrophenia 1973年 ★★★★★
Compilation Album Odds & Sods 1974年 ★★★
12th Album Endless Wire 2006年 ★★★★








A Quick One 2nd Album

01.Run Run Run
02.Boris The Spider
03.I Need You
04.Whiskey Man
05.Heatwave
06.Cobwebs And Strange
07.Dont Look Away
08.See My Way
09.So Sad About Us
10.A Quick One While Hes Away
11.Batman
12.Bucket T
13.Barbara Ann
14.Disguises
15.Doctor Doctor
16.Ive Been Away
17.In The City
18.Happy Jack (Acoustic Version)
19.Man With The Money
20.My Generation Land Of Hope And Glory


 世界的に有名な大御所ながら、今一つ日本では知られていない感のあるイギリスの大御所ロックバンド・The Who。最近ではロンドン五輪の閉会式に出てましたね。なんて、自分も偉そうなことは言えないんですけど。
 The Whoといえばボリューム全開で音鳴らしたり、ウインドミル奏法したり、マイク振り回したり、果ては楽器や機材をブッ壊したりと過激なライブパフォーマンスが有名だそうですが、音楽だけを聴いてもそんな凶暴性が透けて見えてくるようです。やたらでっかいシンバルのクラッシュ音や、ディストーションの効いたギター、声を張り上げるヴォーカル……それでいて演奏は上手いんですよね。
 そして実験的な要素もふんだんに盛り込んでます。跳ねるリズムに乗せて変な声色出して「クリクリコリコリ……」と何だか聴き方によっては卑猥な#2、何か色々混ざって忙しないインストナンバー#6、ひたすらバットマンを連呼する#11、終始裏声で歌う#15、三拍子に乗せて歌と演奏が軽やかに舞う#16、轟音が唸りながら、ファンファーレにすり替わっていくアウトロが印象的な#20辺りが特に面白い。ロックオペラ形式の#10はまだ繋ぎにぎこちなさがあるものの、個々で聴けばいい曲。
 ビートルズとかよりも音が厚いので、昔のロック特有の隙間がある音が苦手な方でもある程度は聴けるんじゃないでしょうか。「フーって誰だよ」なんて言わずにいっちょ試してみちゃいかがでしょう(2013.3.8)






The Who Sell Out 3rd Album

01.Armenia City In The Sky
02.Heinz Baked Beans
03.Mary Anne With The Shaky Hand
04.Odorono
05.Tattoo
06.Our Love Was
07.I Can See For Miles
08.I Can't Reach You
09.Medac
10.Relax
11.Silas Stingy
12.Sunrise
13.Rael 1
14.Rael 2
15.Glittering Girl
16.Melancholia
17.Someone's Coming
18.Jaguar
19.Early Morning Cold Taxi
20.Hall Of The Mountain King
21.Girl's Eyes
22.Mary Anne With The Shaky Hand (Alternative Version)
23.Glow Girl


 ラジオ番組を意識して作ったというアルバム。なんか広告戦略にもこだわったようで、いっそ思いっ切り売れ線の産業構造に組み込まれちゃおうという開き直りっぷりが面白いですね。
 音的にも、確かに前作よりポップになっています。音色が増えていますし、曲調の幅も広がっている。それでも演奏のハードさ、タイトさ、テクニカルな細かさは全然死んでいないし、いい意味でBGMのように聴き流せるアルバムですね。
 特に、本人の挙行と反比例するかのようなキース・ムーンの正確無比なドラミングが映える映える。ポップな曲だろうと何だろうと、きっちり自己主張してますしね。無論、曲は壊すことなく。
 高い声色でしっとりと歌い上げる#5、ちょっとサイケ入った、機械のようなドラムと美しいコーラスが魅力の#7、ピアノがポップに跳ねる#8、オルガンシンセとギターの絡みが心地よい#10、ちょっとレトロで冷たい雰囲気の#11、表現力豊かなアコギが美しいバラード#12、ベースが細かく動き回る#18、ポップながら卓越した演奏を見せつける#19、人を食ったようなコーラスが迫り来るインスト曲#20が特に好みでした。また、曲と曲の繋ぎに入っているジングルも、案外凝っていて面白いです。
 今聴いても特に古さを感じません。良い曲は時代を超えて愛することができるということを体感させてくれる名盤ですね(2013.3.9)






Tommy 4th Album

01.Overture
02.It's A Boy
03.1921
04.Amazing Journey
05.Sparks
06.Eyesight To The Blind (The Hawker)
07.Christmas
08.Cousin Kevin
09.The Acid Queen
10.Underture
11.Do You Think It's Alright
12.Fiddle About
13.Pinball Wizard
14.There's A Doctor
15.Go To The Mirror Boy
16.Tommy Can You Hear Me?
17.Smash The Mirror
18.Sensation
19.Miracle Cure
20.Sally Simpson
21.I'm Free
22.Welcome
23.Tommy's Holiday Camp
24.We're Not Gonna Take It
25.See Me Feel Me / Listening To You

●Disc 2
01.I Was
02.Christmas (take 3)
03.Cousin Kevin Model Child
04.Young Man Blues (verison 1)
05.Tommy Can You Hear Me? (alternate take)
06.Trying To Get Through
07.Sally Simpson (out-takes)
08.Miss Simpson
09.Welcome (take 2)
10.Tommy's Holiday Camp (Band's version)
11.We're Not Gonna Take It (alternate take)
12.Dogs (part 2)
13.It's A Boy
14.Amazing Journey
15.Christmas
16.Do You Think It's Alright
17.Pinball Wizard


 映画化やミュージカル化もされた、別格の地位を得ていると言っても過言ではないロックオペラの歴史的名盤。
 1969年という時代にこんなのを作ってしまったことが信じがたい。ビートルズのレボリューション9を初めて聴いた時同様「なにこのオーパーツ」っていう言葉が浮かんできました。
 自分の稚拙な文章力ではどれだけ美辞麗句を並べ立てても足りないくらいの、圧倒的な完成度です。神的なものが降りてきたとしか思えないソングライティング能力。プログレとかオペラとか、そういうラインを超越しております。表現するプレイヤー側も、そんな要求に対して完璧に呼応。ロックの作法や、持ち味であるダイナミズムを殺すことなく、変幻自在な音で演じてくれております。
 自分が思うに、クラシック音楽へ寄りすぎていないのがかえってクオリティを高めたのではと感じました。ロック色を強めに出したことで伸び伸びやれているというか。高級レストラン級の料理を、ドレスコードなしにジャージ姿で食べてもいいようなもの。
 このような一大スペクタクル絵巻ですが、ストーリーがさっぱり頭に入らなくとも、音楽だけで十分楽しめますのでご安心下さい。重要なのは長さに耐えられるかどうかです。
 次回作はこの路線に固執せず、あっさりと別路線へと乗り換えてみせてるのが更に凄い。ゴールドサックスマンの幹部まで行きながら、それを捨ててファジアーノ岡山の社長になるようなもんですよ。
 もうこれは聴くしかなかろうなのだァーッ!!(2013.3.10)






Who's Next 5th Album

●Disc 1
01.Baba O'Riley
02.Bargain
03.Love Ain't For Keeping
04.My Wife
05.The Song Is Over
06.Getting In Tune
07.Going Mobile
08.Behind Blue Eyes
09.Won't Get Fooled Again
10.Baby Don't You Do It
11.Getting In Tune
12.Pure And Easy
13.Love Ain't For Keeping
14.Behind Blue Eyes
15.Won't Get Fooled Again

●Disc 2
01.Love Ain't For Keeping (Live At The Young Vic)
02.Pure And Easy (Live At The Young Vic)
03.Young Man Blues (Live At The Young Vic)
04.Time Is Passing (Live At The Young Vic)
05.Behind Blue Eyes (Live At The Young Vic)
06.I Don't Even Know Myself (Live At The Young Vic)
07.Too Much (Live At The Young Vic)
08.Of Anything (Live At The Young Vic)
09.Getting In Tune (Live At The Young Vic)
10.Bargain (Live At The Young Vic)
11.My Generation (Live At The Young Vic)
12.(I'm A) Road Runner (Live At The Young Vic)
13.Naked Eye (Live At The Young Vic)
14.Won't Get Fooled Again (Live At The Young Vic)


 自分が聴いたのはデラックス盤なので、ライブディスク付です。
「これがfrom UK's rockの金字塔じゃあッ!」と言わんばかりの出来栄え。演奏・楽曲・まとまり、全てが充実しております。
 ミニマルなシンセループから始まる1曲目からしてツカミはバッチリ。耳に流れ込む壮大なスケールのせいで、全裸で槍持って草原を駆け出したくなりますね。
 時に手を取り合ってクール&ホットなグルーヴを、時にスタンドプレーでテクを披露する表情豊かな演奏陣、いわゆるJ-POP的なとっつきやすさはないものの、しかと胸に染み入るメロディセンス、メタルとはまるで違った方向性でパワフルかつ伸びやかに歌い上げるヴォーカル、楽曲を上手に引き立ててくれるピアノやオルガン、シーケンサーといったスパイス、もう現代のロックにも散見される王道要素がこれでもかッ!ってぐらい詰まってます。
 全曲問答無用の名曲揃い。ちなみにオリジナル盤に入っていたのは#9までだそうです。#10〜16はカバー曲だったり、収録曲のセッションver.だったり、後の作品に収録される曲だったり。こちらの方も、どれも素晴らしい内容。#10の段々とヒートアップしていく演奏の掛け合いなんて痺れずにはいられない。
 2枚目のライブディスクがこれまた凄いんですよ。彼らの精密かつ情感的な演奏技術を一層ハッキリと堪能できます。曲によって、スタジオ収録の時とはノリのニュアンスを変えたりしていて、そういった違いを見出しながら聴くと面白いんじゃないでしょうか。
 OASISを聴いててまだこっちは聴いてないなんてBoy's & Girlsがいたら、絶対聴きましょう。must itemです(2013.3.11)






Quadrophenia 6th Album

●Disc 1
01.I Am The Sea
02.The Real Me
03.Quadrophenia
04.Cut My Hair
05.The Punk And The Godfather
06.I'm One
07.The Dirty Jobs
08.Helpless Dancer
09.Is It In My Head?
10.I've Had Enough

●Disc 2
01.5:15
02.Sea And Sand
03.Drowned
04.Bell Boy
05.Doctor Jimmy
06.The Rock
07.Love, Reign O'er Me


 邦題『四重人格』。一言で言うならば、TommyとNextを経た上でこそできた作品。
 Tommyほどスケール感がある訳でもなく、Nextほどロックに特化した訳でもなく。アートワークスのくすんだ色遣いがこの作品の音を象徴しています。前述の2作品よりは、全体的には派手さには欠ける。
 でもそんな雰囲気が逆に聴いていてしっくり来るんですよね。映画『ローマの休日』をHD画質のフルカラーで観てしまったらちょっと醒めてしまうように、モノクロだからいいんだよ的な。
 音の組み立て方の上手さに改めて驚かされます。複雑なフレーズ同士でもシンプルなフレーズとの組み合わせでも、ちゃんと互いの音を潰し合わないラインを取ってるんですよね。破壊的なパフォーマンスがウリのはずなのに、こういう計算高さも見せてくるあたり、世界屈指の実力派バンドの名に相応しい神技だなと。
 このアルバムにもコンセプトがあって、映画『さらば、青春の光』などにも派生したりしてるんですが、その辺についてはノーコメント、というか名前だけしか知らなくて観たことないんですよ。
 とはいえ、知らなくても音だけで楽しめることは保証致します(2013.3.13)






Odds & Sods Compilation Album

01.I'm The Face
02.Leaving Here
03.Baby Don't You Do It
04.Summertime Blues (Studio Version)
05.Under My Thumb
06.Mary Anne With The Shaky Hand
07.My Way
08.Faith In Something Bigger
09.Glow Girl
10.Little Billy
11.Young Man Blues (Studio Version)
12.Cousin Kevin Model Child
13.Love Ain't For Keeping
14.Time Is Passing
15.Pure And Easy
16.Too Much Of Anything
17.Long Live Rock
18.Put The Money Down
19.We Close Tonight
20.Postcard
21.Now I'm A Farmer
22.Water
23.Naked Eye


 1964〜1973年に録音された楽曲を集めたアルバム。収録曲のほとんどが、当時未発表だった楽曲だそうです。
 なので今聴いても、大きな旨みはないかもしれません。流れをダイジェスト的に追うのにはいいでしょうが。ちなみにモッズ色の方が強く出ています。
 一番最初にではなく、他の作品を一通り聴いてシメに持ってくるのがいいでしょう。お茶漬け。
 お茶漬けだけに、文章量もあっさりなのです(2013.3.14)






Endless Wire 12th Album

01.Fragments
02.Man in a Purple Dress
03.Mike Post Theme
04.In the Ether
05.Black Widow's Eyes
06.Two Thousand Years
07.God Speaks of Marty Robbins
08.It's Not Enough
09.You Stand by Me
10.Sound Round
11.Pick Up the Peace
12.Unholy Trinity
13.Trilby's Piano
14.Endless Wire
15.Fragments of Fragments
16.We Got a Hit
17.They Made My Dream Come True
18.Mirror Door
19.Tea & Theatre
20.We Got A Hit- Extended Version
21.Endless Wire- Extended Version


 長〜い期間を経て、何だかんだと紆余曲折ありながら、再結成後初のスタジオアルバム。
 演奏に関しては、若かった頃に比べて大分落ち着いてきた印象を受けました。アコースティックな音色が増え、ジジイの渋みを茶葉をダイレクトで口に含んだくらいのレベルで出しております。
 かと言って、完全に丸くなったのとは違うんですよね。曲によっては年齢を感じさせないくらいパワフルでぶっとい歌をかましたりしますし。力抜いてそうで抜いてない。確かに加齢の衰えを感じないことはないですが、魂がこもってりゃいいんですよ。それがロックじゃ!
 #10〜19はロックオペラ形式となっていますが、かつてのようなスケール感を押し出すというか、わりかしコンパクトにまとめた感が。
 これはこれでアリなんじゃないかと思います。ただこれだけを聴いて、これがThe Whoの全てであるとは思っちゃいけないでしょうね。「現在のThe Whoである」と考えるのはいいと思いますが。
 生涯現役。この言葉を体現するが如き勢いをパッケージングした、ナイスな一枚。まだまだ第一線で頑張っちゃってもらってもいいんじゃないでしょうか(2013.3.12)






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