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THE YELLOW MONKEY



1st Album THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE 1992年 ★★★★★
2nd Album EXPERIENCE MOVIE 1993年 ★★★★★
3rd Album jaguar hard pain 1944〜1994 1994年 ★★★★★
4th Album Smile 1995年 ★★★★
5th Album FOUR SEASONS 1995年 ★★★★
6th Album SICKS 1997年 ★★★★★
7th Album PUNCH DRUNKARD 1998年 ★★★★★
8th Album 8 2000年 ★★★★








THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE 1st Album

01.Song for Night Snails
02.Subjective Late Show
03.Oh! Golden Boys
04.Neurotic Celebration
05.Chelsea Girl
06.不愉快な6番街へ
07.This Is For You
08.Foxy Blue Love
09.真珠色の革命時代
10.Romantist Taste
11.Walkin'In Sunshine


 日本のロック界に少なくない影響を与えたバンド・THE YELLOW MONKEYのメジャー1stアルバム。グラムロックですと言わんばかりのジャケットですね。雌雄同体のカタツムリと、グラムロックの中性をかけてるんでしょうか。人によってはヘビー・ウェザーを喰らっているように見えるかも知れません(爆)
 古き良きロックが機軸で、確かにタイトル通り所々ブギが入ったりしてます。その中に#1のように幻想的でドラマチックな曲、歌謡曲臭さがプンプン漂う#7、アコースティックなバラード曲#11のようなアクセントも配置。パワフル+タイトな演奏で存分に表現しています。
 歌詞は愛と性と金と死が入り混じった、ケバケバしい内容。テーマはともかく、個人的にはこういう英語と日本語が混ざったようなのは好きじゃないんだよな。
 Wikiにも似たことが書いてあるように、後の作品と比較するとヴォーカルの芯が弱々しい部分もあり、そこが難点でしょうか。
 このアルバムを聴いて一番に感じたのは、ロックな衝動や歌詞に表れているような色気ではなく、もっと内向的で繊細な空気。なので、やはりこの作品はV系が好きな人に向いているのかも知れません。こういう括りをすると怒る人もいるみたいですが(自分も彼らのことを別にV系と思っている訳ではない)ロックとしてはガチなので、勿論ロック好きにもお勧めしたい。
 しっかし#10みたいな曲がメジャーデビュー曲とは、中々挑戦的でよろしい(2012.4.2)







EXPERIENCE MOVIE 2nd Album

01.MORALITY SLAVE
02.DRASTIC HOLIDAY
03.LOVE IS ZOOPHILIA
04.仮面劇
05.VERMILION HANDS
06.DONNA
07.審美眼ブギ
08.4000粒の恋の唄
09.アバンギャルドで行こうよ
10.フリージアの少年
11.SUCK OF LIFE
12.PUFF PUFF
13.シルクスカーフに帽子のマダム


 ベートーヴェンの『月光』から始まる展開が、いかにも「テーマがあるアルバムです」という雰囲気を醸し出している、2枚目のアルバム。
 #7・9のように明るめなのもありますが、全体的にはヨーロッパのアングラ映画みたいな、妖艶な空気が充満しています。曲調も欧州を意識してるのか、ラテンの匂いがするギターソロだとか、シャンソンまでやりだす始末。それをイエモン流に昇華させているのは見事(この時点ではそこまで歌謡色が強くない)いいソングライティングしてますね。
 歌詞は相変わらず。『ナチス』『改造ペニス』等々、単語でもデンジャラスなのが目白押し(爆)しかし#7はなぁ。売れなかったことや評価されなかったことへの皮肉らしいですが、商業に乗っかったなら結果で示すべきだろと。陽気なブギ調で恨み節っぽくない分いいけど。今更突っ込んでもしょうがないですけどね。
 まとまりのあるテーマだし、曲のレベルも総じて高いし、とてもいいアルバムだと思います。素敵な官能映画のよう。『セックス・アンド・ザ・シティ』なんざ観るよりこっちを聴いた方が69倍いい(2012.4.3)







jaguar hard pain 1944〜1994 3rd Album

01.SECOND CRY
02.FINE FINE FINE
03.A HENな飴玉
04.ROCK STAR
05.薔薇娼婦麗奈
06.街の灯
07.RED LIGHT
08.セルリアの丘
09.悲しきASIAN BOY
10.赤裸々GO!GO!GO!
11.遥かな世界
12.MERRY X'MAS


 3枚目のアルバムは『ジャガーが死ぬ以前に祖国に残してきた恋人マリーの魂を見てしまったため肉体が滅んだことにも気付かず、魂だけが時を超え50年後の1994年にタイムスリップしてしまい、時代のズレを感じながらも恋人マリーを探す』というコンセプトで製作されたそうで(Wikiから丸々引用)
 まあストーリーについては、特に何も思うところがなかったので触れません(爆)別にマイナス評価になりうるような悪い所ばかりだったという訳ではなく、上記の説明が全てなので。「ああ、そうなんですか」と。テーマや表現といった部分では今までと特に変わらず。
 楽曲ですが、どいつもこいつも実に良いです。骨太でグルーヴィー、そして色気を増したロックサウンドに、表現力豊かなロビンの歌。#8・12のような歌謡曲バラードも、より情緒的で胸を打つ仕上がりに。グラム度が薄れたことで、バンドサウンドの選択肢が広がった印象。アングラながら華やかな空気も損なわれておらず、色んな意味で肉感的。
 本人が自信作と公言しているだけのことはある。素晴らしい作品です。作品のストーリーに感情移入しなくても、音だけで楽しめるかと(2012.4.4)







Smile 4th Album

01.Smile
02.マリーにくちづけ
03.Love Communication
04.サイケデリック・ブルー
05.See-Saw Girl
06.争いの街
07.エデンの夜に
08.イエ・イエ・コスメティック・ラヴ
09.ヴィーナスの花
10."I"
11.Hard Rain
12.嘆くなり我が夜のFantasy
13.熱帯夜


「売れたい」という目的の下に作られた4枚目のアルバム。実際売れたことで転機となりました。
 確かにアングラな所がなくなり、プロダクションも軽めになり、歌詞のエグさも剥ぎ取られたことで、全体的に聴きやすくなってます。
 しかし彼らのアイデンティティーはいささかも死んでいません。色気をプンプン振り撒いているし、下半身のしっかりしたグルーヴも衰えていない。サッカーでオフサイドラインの駆け引きみたいに、ちょうどここがギリギリのラインなんじゃないでしょうか。商業用ロックとアングラの。
『みんな笑顔でハッピ〜になって明日へGo!』的な糞喰らえな音楽じゃないし、安心して聴いていいと思います(2012.4.5)







FOUR SEASONS 5th Album

01.Four Seasons
02.Overture 〜太陽が燃えている
03.I Love You Baby
04.Tactics
05.ピリオドの雨
06.Love Sauce
07.Sweet & Sweet
08.月の歌
09.追憶のマーメイド
10.Father
11.空の青と本当の気持ち


「まず僕は壊す」と歌い出す5枚目のアルバムは、『Smile』から更に売れ線へと移行しています。本格的に"歌謡ロック"になったというか。明るめで健全な空気が出てるくらいに。
 悪くない変化だと思います。詞曲ともに陳腐でつまらなくなったとは切り捨てられない内容なので。#2・10は生の躍動感に満ちてるし、#9なんて日本人らしい情念がたっぷり篭った歌謡ロックになってるし。それに音が軽く明るく、分かりやすくなっても、リズムのアクセントを意識したメロディ配置だから、軽薄な印象を受けないんですよね。
 また今作はストレートな歌詞表現を心がけたそうですが、それがプラスに働いていますね。タイトル通り季節感、というか夏っぽいイメージ。父への思いを綴った#10も、曲調と相まって清々しさすら感じさせる。
 彼らならではの日本人らしさを打ち出してきた好盤。イエローモンキーですね確かに(2012.4.6)







SICKS 6th Album

01.RAINBOW MAN
02.I CAN BE SHIT,MAMA
03.楽園
04.TVのシンガー
05.紫の空
06.薬局へ行こうよ
07.天国旅行
08.創生児
09.HOTEL宇宙船
10.花吹雪
11.淡い心だって言ってたよ
12.見てないようで見てる
13.人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)


 バンドサウンドが、かなり直線的になった印象を受ける。かと言って、メロディが立っていたりクサみがある訳でもない。この時点である程度聴く人を限定してしまうかも。
 じゃあこのアルバムの武器って何と聞かれたら、自分は『昏さ』とでも答えましょうか。音の明暗ではなく、もっとディープな部分で人の本能や鬱屈した部分を描いているんですね。磨きがかかった詞が、一番分かりやすい形で示しているんじゃないでしょうか。

「できすぎた話を人は羨ましがるし 平気で高い金で嘘を何度も買わされるしで」
「どうすればモテるか どうすれば儲かるか
 それがダメなら SUICIDEさ」
「病い重い想い」
「僕は死神に気に入られた旅人」
「ロックンロールに希望なんてないよ
 あるのは気休めみたいな興奮だけ それだけさ」

 もう書ききれないくらい素敵な言葉が満載(笑)
 しかし絶望だけではない。その筆頭が某同人誌でりっちゃんも口ずさんでいた#3である(爆)これを安直にラストへ配置しないのがまた良い。

「いつも僕らは汚されて目覚めていく」
「汚れるだけ汚れるのいい
 笑いながら死ぬ事なんて僕にはできないから」

 後者は#7の詞ですが、彼は一度汚れることで希望や救いを見出そうとしてるんですね。
 この空気感にどれだけ浸れるか、シンクロできるかが唯一最大のポイントですね。受け付けない人は絶対ダメでしょうが、ハマる人は凄くハマるはず(2012.4.9)







PUNCH DRUNKARD 7th Album

01.パンチドランカー
02.球根
03.間違いねえな
04.ゴージャス
05.見して 見して
06.クズ社会の赤いバラ
07.セックスレスデス
08.エヴリデイ
09.SEA
10.BURN
11.甘い経験
12.離れるな
13.LOVE LOVE SHOW


 演奏がグッとUKハードロックのようにヘヴィになり、パンチが効いてます。バンドの地力を前面に押し出してきた作品。
 前作はいい意味で各曲が『薄まって』ましたが、これはどれも個のパワーが強力。タフで情緒的でエロい、今まで表現し続けてきたようなことをよりパワフルに見せ付けてくる。鍵盤の入れ方もすっかり堂に入っているなと。
 普通、歌謡ロックって『ダサカッコいい』路線になりがちですが、このバンドの凄い所はちゃんとカッコ良さが先に来てる所だと思うんですよ。実力的にもセンス的にも。そして下品なくらいのゴージャスなエロさと日本的な情緒が両サイドを固め、一列下がった所で仄暗さと生命の躍動が待ち受けてると。
 ホント日本人にしか出来ない音楽だと思いますよ。下手に洋楽を模倣してるだけのバンドを聴くよりは、イエモンを聴いた方が遥かにいい(2012.4.10)







8 8th Album

01.ジュディ
02.サイキックNo.9
03.GIRLIE
04.DEAR FEELING
05.HEART BREAK
06.人類最後の日
07.SHOCK HEARTS
08.聖なる海とサンシャイン
09.カナリア
10.パール
11.STONE BUTTERFLY
12.メロメ
13.バラ色の日々
14.峠


 過去最長のリリース間隔を経て製作されたラストアルバム。
 コンセプト性は薄いものの、その分幅が広くなったとも取れる。ストリングスが大勢を占める新境地のバラード#12なんてその最たるもの。
 全体的にかなりスッキリした音ですが、リラックスして作られたというより、諦めにも少し似た脱力感を感じました。歌詞も含めて当時の自身の状況を赤裸々に描いたアルバム、といった位置付け。
 赤裸々がゆえに、リアリティを伴ってリスナーに訴えてくるという利点もありますね。彼らに思い入れがなければ何の意味もないファクターですが。薄めな味付けのロックと取られてしまう可能性も。
 彼らを好きで、ある程度理解している人向けですね。最初に聴くには勧めにくい(2012.4.11)







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