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東京事変
教育 1st Album
01.林檎の唄
02.群青日和
03.入水願い
04.遭難
05.クロール
06.現実に於て
07.現実を嗤う
08.サービス
09.駅前
10.御祭騒ぎ
11.母国情緒
12.夢のあと
サポートミュージシャンをもバンドメンバーに据えた、豪華で高品質なロックンロールアルバム。椎名林檎のソロではなく、新しい一つのバンドですねこれは。勿論いいことです。そうじゃないと意味がない。
ソロ曲をリアレンジした#1からして最高にカッコ良い。そしてストレートな疾走感が気持ち良い#2みたいな曲にせよ、流麗なピアノが入り込む#3のような曲にせよ、バンドの醍醐味って奴をこれでもかってくらい発揮してます。やっぱ一流の人達が起こす化学反応は違いますな。
キャッチーさがやや薄めだからちょっととっつきにくいかも知れませんが、是非何回も聴いてバンドの良さってのを感じてもらいたいですね(2011.6.8)
大人(アダルト) 2nd Album
01.秘密
02.喧嘩上等
03.化粧直し
04.スーパースター
05.修羅場 adult ver.
06.雪国
07.歌舞伎
08.ブラックアウト
09.黄昏泣き
10.透明人間
11.手紙
前作とはうって変わって、タイトル通りアダルトでしっとりとした雰囲気を纏うアルバムに。
元々の持ち球だったジャズ系と、ボサノヴァなども取り入れたサウンドは演奏・アレンジ共に相変わらず綿密な作り込み具合。
また今作では、H是都Mと入れ替わる形で新規加入した伊澤一葉のアドバイスにより、彼女の特徴である巻き舌歌唱を封印しているのも特徴。しかしそこは流石椎名林檎、巻き舌を使わずとも完璧に曲が求める表情を演じてみせています。単純な歌唱力が高いんですね。直接的なエロさを感じさせないのに色気をプンプンに撒き散らしてる所が変わってないのもいいですね。
ロックな衝動感を求めている人には不向き。でも個人的には『教育』よりこちらの方が好きかな。スルメ系というよりスメル系。徐々に浸透していくような(2011.6.10)
娯楽(バラエティ) 3rd Album
01.ランプ
02.ミラーボール
03.金魚の箱
04.私生活
05.OSCA
06.黒猫道
07.復讐
08.某都民
09.SSAW
10.月極姫
11.酒と下戸
12.キラーチューン
13.メトロ
ロック系統ではあるんですけど、全体的にはポップにポップに、という意識が垣間見られるというか。ちなみに今作、椎名林檎は一切作曲に携わっておらず、作詞も彼女は一部の曲だけしか行っていません。
個人的にはアリです。あくまで東京事変はソロじゃなくてバンド活動ですし、作風的にもマッチしているし。椎名林檎とは明らかに違いながらも、彼女のカラーに合っているという職人ぶり。元々似ているのか、アジャストしたのかは分かりませんが。ギチギチな計算高さを感じる作品。
そんな楽曲面ですが、音をかなり散らしているのが特徴。しかし各パート毎の位置取りや連携の把握が完璧なので、凄く安定感のあるアンサンブル。今まで以上に、聴き込む度に奥深さを感じたり、新しい発見のできるアルバムだなと。
確かにバラエティ豊かで、お手軽に楽しむことも出来る一枚。『教育』とはまた違ったバンドマジックを体験できます(2011.6.14)
スポーツ 4th Album
01.生きる
02.電波通信
03.シーズンサヨナラ
04.勝ち戦
05.FOUL
06.雨天決行
07.能動的三分間
08.絶体絶命
09.FAIR
10.乗り気
11.スイートスポット
12.閃光少女
13.極まる
エレクトロな#2、三分間という時間に入るだけ濃密さを詰め込んだファンクソング#7、心地良いコード感を持つ#8、反対にクセのある進行の#10、艶めかしさを滲ませた#11とか、楽曲のクオリティは高いし、各パートのバランスや演奏技術といった部分には全く文句のつけようはないですが、耳触りがよすぎて彼女のアクを好むリスナーには物足りないかも。わざわざこの人達がやる必要があるとは思えない。
『大人』や『娯楽』ぐらいが個人的にはちょうど良かったんだけどなあ(2010.5.22)
大発見 5th Album
01.天国へようこそ (For The Disc)
02.絶対値対相対値
03.新しい文明開化
04.電気のない都市
05.海底に巣くう男
06.禁じられた遊び
07.ドーパミント! (BPM103)
08.恐るべき大人達
09.21世紀宇宙の子
10.かつては男と女
11.空が鳴っている
12.風に肖って行け
13.女の子は誰でも
14.天国へようこそ (For The Tube) (Bonus Track)
今までやってそうでやってなかったこと(#4辺り)や、今までにやったことを違った音作りで表現してる(ギターを潰したり)のが特徴でしょうか。そう考えると大発見というより再発見?
焼き直しなどにならず、新鮮さが損なわれていないのは流石のセンスの良さ。このくらいのレベルのバンドになると、余計な心配なのかも知れませんが。大抵のことではハズレはないだろうし。
集大成でありつつ、ネクストステージへのシフトも感じさせる、小気味よい一枚に仕上がってます(2011.8.14)
COLOR BARS 6th Album
01.今夜はから騒ぎ
02.怪ホラーダスト
03.タイムカプセル
04.sa_i_ta
05.ほんとのところ
各メンバーが作詞作曲した曲を一つずつ収録した、ラストミニアルバム。
最後の最後で、5人の個性を濃すぎるくらいはっきりと打ち出して来ましたね。椎名林檎が一切歌わない曲もあったり、やりたい放題。
椎名林檎曲の#1は、近年の事変でもやってそうな、正に林檎!といった趣のお洒落なラウンジジャズ風味。意外と演奏が堅実。これが個人的にはベストトラックでした。
伊澤一葉曲の#2は、前述したように林檎嬢が一切歌わず、伊澤氏がヴォーカルを取った曲。V系みたいな声質だな。櫻井敦司みたいなタイプの。つーかBUCK-TICKかと思ったわ! サビがメジャー初期のそれみたい。演奏技術だけならこちらの方が上だけどさ。
#3は亀田誠治曲。シンプルなバラード。歌詞もストレート。面白みに欠ける……と言いたいところですが、遠方から支援するキーボードのせいでそうも言えない。伊澤一葉も『電気のない都市』作ったりしてるし、別にアリか。
浮雲曲の#4は、凝ったフレーズは鳴らしてないのに全パートが飛び道具的な性格を持った、クラブミュージック風の曲。同時にキュートなポップさも有している。ちょっとレディー・ガガみたいな感じ? しかしこういう路線までやったら、並のポップスアーティストがかわいそうに思えてくる(爆)
#5は刃田綴色曲。いきなり野太い声で「たぬきが死んだら」などと歌い出してくれます。男性陣の中では一番味があっていい歌してますね。シュールな曲。
東京事変は椎名林檎が中心なのではなく、5人それぞれが主役である。それを最後にもう一度はっきりと教えてくれる一枚でした。聴いたことないなどの事情がある以外では今更いないとは思うんですが、今回は特に椎名林檎"のみ"を求める人には不向き。
しかしアルバム名や曲名を見た限り、どうも笑ってまたね的な解散には見えないんですが。自分はこのメンバーが生み出した素晴らしい楽曲にしか興味がなく、またそれ以上のことは知らないから、何も言えないんですけど。
将来的に復活するならそれはそれで当然嬉しい。とりあえず今は、最後の最後まで職人集団の粋を見せてくれたことに感謝したいです(2012.2.6)